ワードローブの入換と心境の変化と
最近ワードローブの大半が無印良品のものであることにふと気づく。
サイズ感、色、デザイン。三拍子揃っていて、値段も手ごろ。品質もよいとなると、つい手が伸びる。
全体的に、黒の服が増えてきた。
もともと黒い服は好きだ。
子どもの頃、洋服に特にこだわりはなかった。
スカートを履きたくないということを除いては。
草むらの中をズンズン進むのに、スカートは適さなかったから。
木を登るにも、フェンスを乗り越えるのにも、適さなかったから。
小学生の時のお気に入りの服で唯一覚えているのは、黒のトレーナーで、植物の刺繍が施されているものだった。
高校生になり、バイトをして自由に使えるお金が手元にあるようになり、友だちと洋服を買いに行くこともしばしばあった。
圧倒的に制服を着ている時間の方が長かったのに、あの時は服を買うのが楽しかったことをよく覚えている。
よく行くショップの店員さんと仲良くなって連絡先を交換したこともあった。服を見るだけでも楽しかったし、自分に似合うもの、そうでないものを知ることができたのは、この時期の経験が大きいように思う。
ファッション雑誌を読むのもすきだった。ファッションだけでなく、カルチャーを同時に知れて、読み物としてすきだった。
学校やバイト先の制服以外でスカートを履くことはなかった。
「ドラム叩くのと、バイク乗るのに不便だから」という理由ができた。
足がスース―する感覚も苦手だったし、行動の自由度が低くなると思っていた。いわゆる女の子的な恰好が苦手だったものあるし、スカートを履く理由が自分の中に見つけられなかった。
長かったフリーターを経ていわゆる社会人となり、オフィスカジュアルとなる。仕事着と私服を分けるのは面倒だったので、両立できるデザインを着ていた。転職しても、その繰り返しだった。基本はパンツスタイル。
当時服を買いに行くときは夫と一緒のことが多かった。買い物に行くことはイベントのひとつのようなものであったからだ。
気になったものを手に取り、相手に意見を聞くことがあったのだが、「色味が暗い」と言われ、気になったアイテムを却下されることもしばしば。
自分では手に取ることがない色味、例えばピンクなどの暖色系、のアイテムを着るきっかけをもらったといえばそうではあるし、自分では気づかないアドバイスをもらったことも確かにある。
けれど、第一印象でこれいいなって思った服を買えない、着られないことも多かった。
約1年半前に離婚し、実家に戻ってから、ワードローブに変化が起きた。
好きな服を気兼ねなく着られるようになったことがその要因だ。
黒の服が一気に増えた。反動でそうなったわけではなく、いいなと思うものがたまたま黒であることが多かっただけだ。もちろん他の色の服も持っているけれど、圧倒的に黒の割合が多いという感じ。
洗濯物を干すと、ベランダが黒で埋め尽くされることもしばしば。
一番の変化というか、大きな出来事は、去年久しぶりにロングスカートを買ったこと。素直にこれほしいなって思えた。自分でもびっくりした。今ではお気に入りの一枚だ。
ワンピースの枚数も増えたし、欲しいなと思うことも増えた。
「着たいな」と思う服のテイストやデザインも、大きく変わった気がする。
心境や環境の変化に適応したのと同じように。
実家に戻ってから、ゆっくりと2年ほどかけて、ワードローブの入換ができた気がするなと、先日衣替えをしていたときにふと思った。
離婚前に来ていた洋服のほとんどを手放すことができたからだ。
洋服って生活必需品で、手に取ると、それを着ていた日常や思い出が浮かんでくる。服を入れ換えることで、生活を入れ換えるというか、リセットするような気持ちになった。
服って、素肌の上に着るもので、触れるものだから、できれば気に入ったもの、すきなものを着たいと思う。その日のモチベーションにだって影響すると思う。
服を買うとき、「これを着て○○に行きたい」とか「○○と会うときはこれを着たいな」とか、そんなことを考えたり、思い浮かべることもあると思う。
生活に密着した必需品であるからこそ、時には思い切った入れ換えもしてみるといいかもしれない。
日々の生活は常に小さなアップデートの積み重ねだと思う。できるだけ気持ちよく過ごすために、ワードローブの入換も一つの手だと思ったのだった。
おしまい
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