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【活動報告】気候変動に立ち向かうカカオ農家を支援!
ピープルツリーの母体NGOグローバル・ヴィレッジのムラタです。
ピープルツリーの創業から関わり、フード事業に長らく携わってきました。
フェアトレード、さらにカカオポイントによる支援
毎年10月下旬から、秋冬シーズン限定でお届けしているピープルツリーのフェアトレード&オーガニック・チョコレート。
包み紙の裏面には、このチョコの背景とともに、農家を応援する「カカオポイント」のことが書いてあるのをご存じでしたか?
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ピープルツリーの活動を知っていただけるアンバサダー的存在です。
【カカオポイントの背景】
カカオポイントは、ピープルツリーが2013年にスタートした、カカオの生産者を支援する寄付プロジェクトです。
当時、ピープルツリーのチョコレートに使われるカカオ豆を生産していたボリビアの小規模カカオ農家は、気候変動の影響とみられる洪水でカカオ樹が水没する被害や、病虫害による不作に苦しんでいました。
そこで、植え替えのための苗木を贈り、現地の生態系と調和した有機農法の技術支援を通じて、持続可能な森の再生につなげることを目的として、カカオポイントによる支援金を送ることにしたのです。
(お客さまから贈られた10カカオポイントにつき、1USドルを寄付)
ピープルツリーのチョコレートに使われる原料カカオは、フェアトレードのもの。南米でカカオを栽培する小規模農家たちが共同組合を組織して、一次加工から輸送までを自ら担うことで、農家が価格の決定権を持っています。
(通常、売り手と買い手の関係性は、売り手が圧倒的に弱い立場にあります。情報や手段を持たないゆえに仲買人に買いたたかれてしまいがちな状況を、農家たちは共同組合をつくることで打開しているのです)
フェアトレードのお買いものをしていただくことで活動をご支援いただいているわけですが、毎年たくさん寄せられるカカオポイントとお手紙からは、お客さまの「生産者さんに何かできることをしたい!」というお気持ちがひしひしと伝わってきます。とてもありがたいことです。
そのお気持ちにお応えするのが、カカオポイントによるプロジェクトです。
持続可能な生産のためには、カカオが農産物である以上、金銭面だけでなく環境面への対策が重要な役割を果たします。
この記事では、カカオポイントで支援する「気候変動対策」のプロジェクトについてご紹介します。
チョコレートと「気候の公平性」
今、気候変動はもはや待ったなしの危機ともいわれ、自然に根差した農業を営む人々は、深刻な影響を受けています。カカオを栽培する農家たちも、地域や環境によっては収穫量の激減など、生計にかかわる深刻な問題と向き合っています。
近年、日本のメディアでも、カカオやコーヒー豆の需要の伸びに対して、生産・供給量は伸び悩んでいるために価格は上昇、このままではチョコレートやココア、コーヒーが私たちの手の届かないものになるかもしれない?といった話題が取り上げられているのを目にします。
「2050年には世界からカカオの木が消える可能性がある」といった見解が世界の研究者から出されているのです。これは「カカオ2050年問題」ともいわれます。
(中略)
「チョコレートの価格が高くなるのは需要の増加のせいもありますが、供給面では、人間活動の影響による気候変動(地球温暖化)が重要な原因と考えられます。」
先進国と新興国で高まる需要に対して、カカオは増産され2022-2023年シーズンには世界で約500万トンが供給されているものの、赤道の南北20度のカカオベルトと呼ばれる地域でカカオを栽培する農家は気候変動による深刻な影響に晒され、この先の供給が危ぶまれているのです。
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(出典:International Cocoa Organization「カカオ統計季報2022/23年版」)
南米のカカオ農家でも、収入が不安定なことや重労働を厭い、後を継ぐ若者が減っているという現実があり、近年の気候変動の影響は、農家をさらに苦しめています。
安定した価格での継続的な買い取りと、共同体の運営に必要なサポートを続けてきたフェアトレード組織は、こうしたカカオ産地の抱える課題に対して、チョコレートの消費国に住む私たちを含め、世界規模での意識の変革が必要と訴えています。
そこでキーワードとなるのが、「気候の公平性」です。
【気候の公平性とは?】
気候変動の要因とされる温室効果ガス(CO2)の大部分は、歴史的にひと握りの裕福な国々の経済活動が排出してきましたが、その影響は、農業や漁業など温室効果ガスをほとんど排出しない生活を営んでいる途上国の貧困層が受けています。その多くは、気候変動に適応する能力も資源も技術も十分に得ていません。
歴史的な排出国がCO2を大幅に削減し、途上国への適切な気候変動対策を支援することで気候変動への責任を果たし、この不公平を正していこうという考え方が「気候の公平性」です。
この考え方はチョコレートなど、途上国の農家が原料を生産し、主に先進国の人々が消費している製品のつくり手と買い手の関係にも当てはまります。消費国が、気候変動の影響を受けている生産国の農家を支援し持続可能な農業と自然生態系の調和を推進することは、気候の公平性を実現するひとつの試みなのです。
生産国農家を支援する一例として、ピープルツリーのチョコレートの最終加工地であるスイスでは政府が、カカオ産地における「アグロフォレストリー」のプロジェクトを助成しています。
(※SECO⦅スイス国家経済事務局⦆2017年~サステナブルカカオプラットフォーム)
アグロフォレストリーとは?
アグロフォレストリーは、農業(アグリカルチャー)と林業(フォレストリー)を組み合わせた造語で、農業と林業を両立させる考えであり手法です。
具体的には、土壌の質と作物の収穫量を向上させるために、原生に近い適切な木を植え、手入れ管理することを指します。樹木は成長するにつれ、大気中の炭素を吸収し、土中に蓄える「炭素隔離・固定」の働きをします。
伝統的な農法で植えられたカカオの木は、1平方メートルで200トンの炭素を貯蔵する。丁寧に育てれば、何世代にもわたって生き続け、炭素の隔離固定サイクルを長くする。
カカオの木を、原生の森のように背の高い日陰をつくる堅木や、実をつける果樹とともに育てることで、農家はカカオ豆以外の副収入を得ることもでき、長期的なプランが立てやすくなります。
ピープルツリーは、スイスのフェアトレードパートナーと連携して、カカオポイントによる寄付でカカオ生産地でのアグロフォレストリーを継続的に支援することにしました。2013年からの5年間はボリビア、2018年からの5年間はコスタリカ、そして今年からは、ペルーの小規模農家の共同体「ノランディーノ」を支援します。
ノランディーノとプロジェクトの概要について
ノランディーノは、ピープルツリーのチョコレートの原料カカオ生産者として、長年にわたって良質のカカオを栽培・供給してくれている、大切なパートナー団体のひとつです。
ノランディーノは、1993年にペルー北部の農家が立ち上げた共同体です。現在、主にカカオやコーヒーを栽培する農家が約6000世帯、メンバーとして参加しています。
地域の森の生態系を大切にしながら、質の高いカカオの栽培を次の世代にも引き継いでいけるよう、暮らしの成り立つ農業を目指します。
アグロフォレストリープロジェクトの具体的な取り組みは、2024年2月から2年間、ペルー北部の熱帯林に位置する、サンマルティン地域とアマゾナス地域の、カカオ農家約400世帯とともに実施します。
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1年目はまずサンマルティン地域で展開し、2月にはこの地域の3つのコミュニティを回って参加希望農家への説明会を開催、個別の農家にも出向いて、具体的な手法を紹介しながら、積極的な参加を促しました。
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参加の意思を表した農家の代表45人が座学の講義を受けました。圃場(ほじょう:農作物を栽培するための場所のこと)の模型をつくって全体像を理解しながら、ノランディーノのスタッフと専門家とともにワークショップ形式でアグロフォレストリーの実践を学びました。
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すでに自分たちが実践している有機農法を出発点に、背の高い日陰樹や果樹などを混植することで原生に近い植生を再現し、建材や果実として副収入を得ることもできるよう、計画的な植樹のデザインを学んでゆきます。
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5月には、劣化した土壌の再生や、浸食などで土壌や植生が完全に失われた地域で森が再生するまでのコロニー形成と植生発達のプロセスを学び始めました。土壌の生産性を回復・向上させ、生物の多様性と農業生産システムの長期的な持続可能性を促します。これにより、農家が安定した持続可能な収穫と収益を得ることを目指します。
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おいしいチョコを食べ続けるために、私たちができること
つくり手と環境に配慮したフェアトレードの事業をベースに、特に重点的に支援したいことについてはプロジェクト化して活動していることをお伝えしました。
より多くの方にカカオを取り巻く現状と対策を知っていただくことが、持続可能な生産につながります。生活者のひとりひとりが、「知って、広める力」と「選ぶ力」を活かして、農家の方々を支えていただけたら幸いです。
まだまだ暑いので、ピープルツリーのフェアトレード&オーガニックチョコに出会えるのはもうちょっと先のこと。涼しさとともにチョコが待ち遠しいですが、楽しみにお待ちくださいね!
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