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70.日常は、たぶん不思議の連鎖。

生きていると、たまに「不思議な日」があります。
「不思議な日」とは、不思議な出来事が重なる日という意味です。


つい数日前、僕は「不思議な日」に出くわしました。
でも今になって振り返ってみると、その日の「不思議」がやけにわかりやすかっただけのようにも思います。


というのも。


僕はなんてこともない毎日にも、何かしらの不思議が起こり続けているんだと思っています。グラデーションが薄すぎて気が付かなかったり、たまたまアンテナに引っかからなかったりするだけで、日常は、たぶん不思議の連鎖から成り立っていると思うんです。

***


その日の午前中、僕は家で在宅ワークをしていました。
在宅ワークが出来る日は、いつもよりかなり多く睡眠がとれるので嬉しい限りです。
それほど仕事も忙しくはなく、のんびりとした午前中を過ごしました。


しかし午後にはどうしても出社しないといけない用があり、1日在宅ワークというわけにはいきませんでした。
お昼ご飯は家で済ませようと、パスタを茹でました。オリーブオイルとニンニク、鷹の爪を混ぜ合わせ、ペペロンチーノを作りました。

僕はニンニクが大好きなので、匂いなんかは気にせず、多めにニンニクを混ぜました。
と、ここで「不思議な出来事その1」に遭遇しました。


ペペロンチーノ、全く味がしないのです。


給食に出てくるソフト麵を味付けせずに食べている感覚でした。
このご時世です。「味がしない」という症状には敏感になってしまいます。
しかし僕が作ったペペロンチーノ以外のものの味や匂いはしっかりと認識することが出来ました。体調も万全です。料理が下手なわけでもないと思っているので、ただただ首を傾げるばかりでした。


味がしないソフト麺を難なく完食し、会社に向かいます。
会社では滞りなく業務を終え、少しの疲労とともに帰路につきました。

「不思議な出来事その2」との遭遇は家に帰ってすぐのことでした。
次の日が燃えるゴミの収集日だったので、夜のうちにゴミをまとめておこうと、階段を下りて玄関に行ったときのことです。
感覚的にとしか言いようが無いのですが、外に人の気配を感じました。
恐る恐るドアを開いてみると、東南アジア系と思われる男性の外国人がこちらを向いて立っていたのです。


予想外の出来事に硬直していると、男性はこちらに指をさし、突然大きな声を発しました。


「201!!」「201!!」


何が何だかわかりませんでした。
混乱した頭で、ただただ男性と向き合いました。
すると男性は視線が僕ではなく、僕の後ろに送られていることに気が付きました。
振り返ってみると、そこには「201号室」というプレートがありました。(僕が住んでいる部屋は確かに「201号室」です。)


だから何なんだよ!!


心の中で戸惑いと恐怖が膨らみましたが、落ち着いて男性に状況を伺いました。
カタコトの日本語しか話せないようだったので、ほとんど単語でのやりとりでした。


どうやら「出前の配達に来たけど、迷ってしまった。」


ということらしい。注文があったと思われる住所のメモを見せてもらったが、番地にも部屋番号にも「201」という数字は含まれていませんでした。不思議です。
何かの縁だと思い案内してあげようと思って調べてみても、記載されたマンション名が検索にヒットすることはありませんでした。不思議です。


仕方なく、メモされた番地の大まかな場所を説明したところ、男性はママチャリに乗って颯爽と走り去っていきました。不思議です。

部屋で待っていた妻にこのことを伝えると、妻も驚いていました。

「不思議なこともあるんだね。」



そんな会話をしながら携帯を見ると、ワールドカップアジア2次予選の「日本 対 モンゴル」の試合結果が流れてきました。

「不思議な出来事その3」です。
なんと日本が14対0で勝利していたのです。
いくら力の差があったとはいえ、小学生のサッカー大会ではあるまいし、こんな大差になることは珍しいことだと思います。

「妻さん、サッカーの日本代表が14対0で勝ったんだって!!」



僕が興奮気味に妻に伝えると、妻は食い気味に答えました。

「何それ、バスケじゃん!」

「不思議な出来事その4」です。
妻の知っているバスケと僕の知っているバスケが、どうやら全く違うスポーツのようなのです。
その日僕は、ベッドの上で天井をぼんやりと眺めながら「14対0」で終わってしまったバスケの試合を想像してみました。


上手く想像することができませんでした。



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