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あなたが、美しい存在であると思い出すのだーこの本を、すべての人にー『日常のなかのワールドワーク』(Daya著)


傷を変えていくのだ。その意志を持つのだ。私たちは、その勇気を持っている。 私たちは、傷を知恵に変えることができる。

変える力を、信じるのだ。

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社会のなかで、私たちは否応なく傷ついていく。誰にでも起こるし、うまくいっているように見える人だって、何もないわけではない。私たちは、本当は、そんな風に繊細な存在だ。

心を癒すことが大事、とよく言われるし、そのやり方もたくさん紹介される。ただ、そのとき、「社会」と個人を切り離しがちなものが多いことに、私は違和感をいつも覚える。

傷を、個人のせいにしていいのだろうか。個人の考え方を変えればすむというようなナラティブは、社会の暴力を不問にしてはいないだろうかと思うのだ。

おまえが弱いから、おまえが神経質だから、おまえが馬鹿だから、おまえが人と違うから

私たちは、いわれ続ける。その声は、本当のものなのだろうか。

個人にすべてを押し付けることで、誰が得をしているのだろう?社会の暴力性を無傷で延命させるため、私たちは、何を犠牲にしているのだろう?

当たり前だけど、どんな「個人」だって、社会と関係のないところで生きているわけではない。それどころか、個人という概念にしろ、それを説明することばにしろ、社会の中での共通理解がなければ成り立たない。

だったら、傷を「なかったこと」にすることで、誰が得をするのだ?

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「ジミー」という小説で、私は、主人公マイの独白をとおしてストーリーを進行させた。だけど、私は「人」を描きたかったわけではない。

彼女の身体が社会の暴力を浮かび上がらせるだろうと思ったのだ。

マイの身体は、抽象化された「傷」だ。それこそが、あなたと私をつなぐものになるだろうと、私は直感していた。

「自分は問題がない」かのようにふるまう社会は、私たちに「おまえが問題だ」と言いはじめる。

その苦しさから逃げるために、私たちは、見なかったことにしたり、抑圧する側にまわったり、自分を責めたりする。 だけど、それはもともと、「あなたの問題」ではないとしたら?

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『日常のなかのワールドワーク』では、dayaさんの個人的体験が描かれている。 お金がなくなる恐怖、孤立、被差別体験、親との関係など様々なことにわたる。だけど、彼女はそれをまったく「特別」なこととして扱わない。

それを通して、私たちはつながることができると信じているのだ。

私たちは、傷を恥ずかしいと思う必要はないのだと、彼女は腕を広げるのだ。

傷を、恥ではなく、あなたと私をつなぐものとするのだ。

それは、可能なのだと、確信をもって。

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私たちの心というものが、社会と別個のものではなく、一続きのものとイメージしよう。私たちの傷は、社会の歪みによって与えられたものかもしれない。だけど、私たち自身の意識とその社会は、またつながっていくのだ。

私たちが変わることで、社会は変わる。

そこに、希望がある。

私たちは、私たち自身を変容させ、癒す力で、社会を変えるのだ。

もっと、愛を。

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Dayaさんは、プロセス指向心理学を背景に、この本を書いた。

パーソナルであることは普遍につながる。

生きづらい人、なぜかわからないけれど自分を責めてしまう人、不安で苦しくなる人には、ここで出てくるワークが、きっと役に立つと思う。 でも、それだけではなく、やっぱりすべての人に読んでほしいと私は思う。

マジョリティーとしてうまくやってきたように見える、金や特権に恵まれてきた人たちだって、本当は、なにかを抑圧し、なにかを失ってきたはずだ。

私たちは、自分の全体性や可能性から目を背けている。

人を踏みつける足は、自分自身を全体性から遠ざけている。


Dayaさんは、壮大なことをしようとしているのだと思う。プロセス指向心理学の手法をいかし、私たちの社会を変えようとしている。

他人の傷と自分のそれとの境界はぼんやりし、自分を愛する目は、いつか他人を愛する目になる。個人の心とおもっていたものは、社会の「心」になる。

小さな個人的なことから、社会を変える。私たち個人の、小さな 傷を見つめることから。

それを慈しむことから。

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もっともパーソナルに見えることが、普遍なのだ。

傷を「あなたの」「恥」と思いこませようとする暴力に、負けないで。


個人的な傷は、「私たちの」個人的な傷だ。それは、私たち社会の集団的な傷だ。

慈しむんだ。

あなたが、美しい存在であると、思い出すのだ。


『日常のなかのワールドワーク』を、すべての人に読んでほしいと思う。

あなたは、私なのだから。





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