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日本人の海外永住者55万人という数字をどう見るか?

「若者の日本離れ」は本当に進んでいるのだろうか?

外務省の海外在留邦人数の統計によると、日本人の海外永住者は昨年10月時点で推計約55万7千人と過去最多だった。

先日もNHKのクローズアップ現代で、
「“安いニッポンから海外出稼ぎへ” ~稼げる国を目指す若者たち~」というタイトルでオーストラリアの農園や介護現場などに「出稼ぎ」に行く日本の若者たちの特集が放送された。

若者の日本離れは確かに進んでいる。
では、何故そういった動きが広がり、海外での生活を選択するのか?

今回は大きく2つの原因に焦点を当てて解説していく。

①経済面で考える欧米の魅力

一つは日本全体として閉塞感が漂い、労働環境や社会の多様性的観点から欧米と比べると相対的に日本に魅力を感じなくなっているということだろう。

コロナ禍で留学や海外駐在の機会が減る一方、より良い暮らしや仕事を求める人々が増えている。

2000年頃から日本では日本経済の低迷や日系企業の海外進出が進みましたが、国内での求人数は抑制され、格差社会の色はより濃くなっていった。

2000年以降、労働者派遣法は次々と改正され紹介予定派遣が解禁されたり、派遣期間が延長されたり、規制緩和が進んだ。
雇用の調整弁として派遣や非正規労働者が増え、正規雇用につきにくい時代へと変化した。

日本では賃金が上がらず、他の国の賃金は上がっている。
OECD(経済協力開発機構)によると、平均賃金が最も高いのは米国で74,738ドル、以下、ルクセンブルク、アイスランドと続いていくが、日本の平均賃金は39,711ドル(2021年のデータ)とG7で最下位だ。


G7各国の平均賃金の推移(1990年〜2021年・ドル建て)

よく日本の経済停滞を表す時に「失われた30年」という言葉を耳にしますが、1990年~2021年まで米国では平均賃金が27,000ドル上昇していて、カナダやドイツ、フランスでも30年間で1万ドル上昇しているのに対して、日本では過去30年間でたったの3,000ドルしか増えていません。(日本の平均賃金はG7の中でダントツ最下位より)

最近では、日本に来る外国人も減っていて、人材の質が低下していることも懸念材料だ。

人口減少で外国人の労働力に頼ればいいというのも幻想となってきている。

外国人労働者がいつまでも日本で働いてくれる保証もない。

先行きの不安から移住したいという方は増えているのが実態だ。

②ジェンダー後進国であるがため

次に、日本の「ジェンダー問題」が挙げられる。

永住者のうち、女性が6割を占める。

国際結婚の増加やキャリアアップなどを理由に海外移住を選択するケースも増えてきているが、一番は女性が男性と同じように働き、評価されるのが日本では難しいということ。

"多様性多様性"と謳いながらも、子育てをしながら「女性が輝ける社会」とは程遠いということだろう。

日本では管理職の女性の割合の低さや政界や民間企業における女性の割合の低さなど他国と比べて最も低い水準。

昨年の国際女性デーで英紙が発表した「女性の働きやすさを指標化したランキング」で、日本はワースト2位に入った。(ジェンダーを考える
世界経済フォーラムで発表された「ジェンダーギャップ指数」でも日本は156ヵ国中120位と明らかに後れを取っていることは明らかだ。

2015年に成立した女性活躍推進法で女性就業者数や上場企業の女性役員数が増加したものの、諸外国と比べるとまだまだ低い水準だ。

昨日も厚生労働省が2022年分の実質賃金が0.9%減少していることを発表した。
物価の伸びに対して賃金が追い付いていないということだ。

児童手当の所得制限撤廃や一連の物価高騰対策にも注目が集まるが、男女間の賃金格差の解消やジェンダーギャップの格差をどう埋めていくか?
人材流出を防ぐ為にも喫緊に取り組まないといけない課題が多くあることは明白だ。


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