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売れなさ過ぎて、営業停止になった

ついこのあいだ年が明けたところなのに、もう2月。
最近、時間が経つのが風のように速く感じますね。

さて1ヶ月ぶりの更新です。
今日は私の「失敗談」について、恥かしながら書いてみました。

というのも、リクルートに入社してもう早いもので4年目になります。新しく後輩が入ってきて、一緒に仕事をする機会が多くなりました。ちょうど最近、人を指導・育成する難しさを痛感しモヤっとしていた中、たまたま電車の釣り広告で「日本電産」創業社長の永守さんの著書「成しとげる力」を発見したので週末に読んでみました。

本の中に「部下育成の際には、自分の失敗や挫折の経験を共有しなさい」とありました。そうだよな、誰しも失敗するし自分も人一倍してたよな…自分の入社した頃ってどんなかんじったっけ…と考えさせられ、せっかくなので文字に起こしてみました。


リクルートでの失敗と恩師

⑴入社すぐの架電大会で

 入社後研修を2,3日し、すぐ営業部に配属されました。FSとして入社したので、配属後すぐFSができる(≒企業を訪問し商談・提案ができる)と思っていたのですが、待っていたのは「架電大会」。2日で架電をしまくり、新人の中でどれだけアポがとれるかを競う大会です。

 なめ腐っていた私は「これの結果に関わらず、架電大会が終われば営業にいけるし、ほどほどに頑張るか。まあ架電とか簡単でしょ。」と腹の中で考えていました。しかしながら、思うようにいかず初日は1件もアポが取れず、2日になってやっと1件、2件と取れるようになってきました。大会の終盤に差し掛かるにつれ、先輩方の「もっと行けるやろ、もう1件」と罵声か激励か際どい声が飛び交います。結果、大会が終わってみると、会社から課せられた目標4社に対して実績3社と未達となってしまいました。(ちゃんと、他の人は目標達成していました。笑)

 大会が終わってお手洗いに行くと、声をかけ続けてくれていた先輩Tとたまたま隣になりました。先輩が「どうだった、やってみて」と話しかけてくれたので、「架電むずかしいっすね(軽い感じ)」と返すと、「ふーん」といって先輩Tはお手洗いを出ていきました。私は、なんだ感じ悪っ!!くらいに思っていたと思います。

 架電大会最終日に部の先輩方が新人歓迎会を開いてくれました。歓迎されたというよりは、洗礼をうけた感じでしたが(笑)。歓迎会の後、参加して下さった先輩方にお礼の分を送ると、先ほどお手洗いであった先輩Tから長文のチャットが返ってきました。

「結果」より「プロセス」、特に絶対にやってやるという「スタンス」
 それ足りてた?足りてたら納得できてるだろうけど、どう?

 というような内容に、直属の上司でもないのにお節介だなあ…この時から、先輩Tの常に何か言いたそうな視線に圧迫感を感じる日々が始まり、直接話をしないといけない時は緊張で冷汗がでるくらい苦手な存在になりました。

 先出ししてしまいますが、先輩Tは入社した次のQから私の直属のMGRになります(笑)。その就任の話を聞いた時は正直ついてなさすぎると思ってましたが、厳しく指導してくれたおかげで今日の私があるので、今では一番感謝しています。

⑵初受注を上げて意気揚々としていたQ末に

 入社して1ヶ月後、私は運良く初受注します。それもQの売上目標をその取引だけで余裕で達成してしまうくらい、新人×対ど新規のお客さまにしては大型成約で。この体験で「俺、いけるやん」と数カ月間自分の実力を過信してしまい、本当に良くなかったです…

 担当したのは当時従業員500名ほどの物流企業さまでした。今までは上手くいっていた高卒採用が年々採れなくなってきており、新卒(大卒、専門・短大卒)採用に力を入れていきたいとの理由から商談のご機会を頂きました。

 訪問すると、取締役のおじさまが出てきてくれました。人情に厚く、面倒見の良いよく話す方でした。お互いの学生時代の話や物事の考え方に関して共感できる部分が多く、意気投合してふと気がつくと、2時間ほど商談をしてました。最初は40万円くらいの提案をしようと思っていたのですが、色んな話を聞くうちに気持ちが入りすぎて「来週もう1回お時間下さい。より良い提案をお持ちします。」と次回の打ち合わせの約束をし、その日が終わりました。1週間後、練りに練った企画を持って再訪し提案。160万円でご期待を頂きました。めちゃくちゃ嬉しくかったのを覚えています。

 それから時が流れQ末になり、営業部も最後の追い込みをかけます。朝会で予実管理をしながら、今日はこれだけ数字を頑張りますと全員が宣言します。売上目標を大幅に達成してた私は調子にのるわのるわで、「今日アツい案件があるので、頑張ればQに間に合います。申込書を叩きつけてきますよ。絶対に受注します。」と怖いものなしに勢いで発言してしまいました。

 これが良くなかった…ぶちギレた先輩Tに呼び出され

「申込書をお客さまに叩きつけるってどういうこと?冗談でもそんなこと言っていいと思ってんの?」
「そもそも受注を軽く捉えてないか?受注するってことはお客さまからご期待(=頑張って成果を出すチャレンジ機会)を頂くってこと。やっと土俵に立つってことなんだよ。お前は営業を勘違いしている。考えが甘すぎる。」

と詰められます。当時の私には言ってる内容は頭では理解できるものの、自分事として捉えられていませんでした。「神は細部に宿る」じゃないですが、日々口にする言葉一つ一つに仕事への想いが垣間見られ、相手に伝わるということを、当時の部署はとても大事にしていました。なので、成約することを「受注する」と言うのを嫌い「ご期待を頂く」と言ってました。我々営業部からすると数ある新規社数の1社かもしれないが、お申込みをする企業さまからすると我々がゴールに向けて一緒に取り組む唯一の1社、だから成約の重みをしっかり受け止めようね、ということです。

 先輩Tは社内で名の馳せる営業マン。同行するとお客さまが感動するような商談を息をするようにできてしまう、真のトップセールスでした。そんな先輩Tからは「受注をゴールにした物売り営業をして貰ってきたご期待は失礼。お客さまのところに行って申込書を返してこい。」と言われることさえありました。

 話は戻りますが、160万円と高額なご期待を頂いた物流企業さまに、私は採用成功という結果で価値をお返しできませんでした。160万円かけて0名です。お客さまが一所懸命働いて生み出した売上の数%から生まれるやっとの利益から捻出して頂いた160万円を、当時の私はドブに捨てたのです。

 この体験を教訓に、私の営業の価値観とスタイルが一変しました。

 今まで経験していた接客業では販売行為自体に価値を見出せていました。例えば、「○○さんがいるから、あのお店に行きたい」「○○さんと話をして、明日も頑張ろうと思えた」などです。夢や非日常を接客を通して売るのこと自体が本質的な価値だったのです。

 一方で営業(特に法人営業)は「○○さんと話していると楽しいから発注する」「夢のある提案だったからお願いする」では本来いけないはずです。なぜなら法人である以上、顧客に価値を返し、かつ売上・利益を追わなければいけません。営業は購入頂いたものを通して、顧客のその成功に実利として繋がらなければ全く無価値。購入体験が成約の決め手になることがあっても、購入体験自体が本質的な価値になってはいけない、とその時考えを変えました。

⑶さあ先輩を追い越してやろうと思っていた矢先に

 運良く初受注がうまれ売上目標を達成した私は、次のQが始まった時に、先輩全員追い抜いて一番になってやろうと有頂天でした。しかしながら、始まってみると、全く売れませんでした。その状況を見たMGRの先輩Tは私を営業停止にしました。理由はあまりにも営業方法が我流過ぎて、言われた通りの営業方法が実践できておらず、せっかく頂いた商談の時間でお客さまに価値を返せず迷惑をかけていたからです。

 言われた通りの営業法とは、問題解決のイロハが詰まった営業方法。お客さまと現状と理想を整理して、問題〜要因〜課題・具体的な打ち手を合意する王道のメソッドです。社内のロープレ試験に受かるまで、毎日ロープレだけを繰り返しました。試験の度に「言ってることわかってないよね?この通りにやって!」と、頭では理解できても実践ができず、詰められる日々でした。

 ロープレを終えて再び営業に出ると、明らかにお客さまのリアクションが違いました。苦手としていた、論理で提案を求めてくるお客さまや大手の決済ルートが複雑なお客さまにもご期待を頂けるようになっていきました。その時にもっと早くから周りの言うことを聞いてれば良かったと後悔しました。

 MGRからすると営業マンを1人でも現場に出さないと判断をすることは、自身もグループの目標を追い掛けている中で、とても難しい意思決定だったと思います。私の中でこの営業停止期間は営業をする上での基本行動を作って頂き、当時のノリと勢いで売る営業から脱却出来た期間です。当時のMGRの決定に今では本当に感謝しています。

総括

 こうやって思い返してみると、新人の頃は良く失敗して怒られていたなあ…と思い出しました。新人の頃って、スキルのことで怒られるというよりは、スタンスや考え方のことで怒られてましたね。私が当時良く言われていたことをまとめると以下の3つです。

✓守破離
 先輩が言った通りに、まずはやってみる
 言ってる意味がその時に分からずとも後でわかってくる
 基本が出来てやっとオリジナリティ、それまでは完コピ―で良い

✓成長よりも成果
 成長はプロセスでしかない、目的になってはいけない
 顧客が結果的に喜んだかどうか
 どんなにダサいプロセスだったとしても、価値を返せばよい
 力が足りないのであれば、人の2倍やればいい

✓神は細部に宿る
 普段から細部に拘り抜かないと、受け手にわかるくらいの差にならない
 その拘りの積み重ねが大きな差になる
 顧客はシビアなので、絶対にその細部への拘りに気付いている

 自分が先輩になってわかったことですが、動物の躾のようにこっぴどく怒られてた理由は、最初に学んだ当たりまえ基準や風土で、その後の仕事の取り組むスタンスや考え方が決まってしまうからだと思います。

 先輩がしてくれたように、自分もどれだけ失敗しても諦めずに期待をし続け、何度でも言ってあげられる先輩でいたいなと思います。言うと、自分に向けて自戒の念になり、ちゃんとやらないと!となりますしね(笑)。

明日からまた忙しい1週間が始まるかと思いますが
みんなで助け合って、頑張って生き抜きましょう。

それでは、また。

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