一足飛びコミュニケーションが組織を壊す(2)
noteマガジン「パートナーシップを磨く」は、日本中の人々が、日ごろの体験に引き当てながら「パートナーシップ」について深められるフィールドです。
パートナーシップのあるコミュニケーションが日本中に広がり、イキイキと働く人、しあわせに生きられる人が増えることを心から願って、研修・セッションも提供しています。
連投102日目。
今日は昨日に引き続いて、一足飛びコミュニケーション(※)について。
※上司を飛び越したコミュニケーションのこと。例えば、平社員なら、係長に言うべきところを、いきなり課長に話をもっていくということです。
昨日は「飛ばされる側」の話をしましたので、今日は「飛ばす側」の話をしましょう。
一足飛びするパターンは2種類あります。
平社員A、係長B、課長C、と3人の登場人物がいるとしましょう。
一つは、平社員Aが、係長Bを飛ばして、課長Cにコミュニケーションをとるパターン。要するに、上に一足飛びするパターンですね。
もう一つは、課長Cが、係長Bを飛ばして、平社員Aにコミュニケーションをとるパターン。こちらは、下に一足飛びするパターン。
一足飛びする側には、一足飛びする理由があるでしょう。
(平社員Aの場合)
・係長が話を聴いてくれない
・係長がなかなか動いてくれないので、状況が変わらない
・課長に直接介入してもらいたい
(課長Cの場合)
・係長が頼りない
・係長からの報告が上がってこないから状況把握ができない
・自分が直接現場に指示を出したい
飛ばす側には、それなりの背景や意図があるのかもしれませんが、職場内にパートナーシップのあるコミュニケーションを広げるために、一足飛びコミュニケーションをすると、飛ばした人にどんな影響があるか?を、観ておきましょう。
飛ばすと何がおきるのか?
・事態はさっさと動くかもしれないが、係長からの不信感を招く
・係長への不満は解消されずに、コミュニケーションがとりにくくなる
・似た状況で、同じように係長を飛ばしたコミュニケーションをする 等
一足飛びコミュニケーションをしている時、あなたは係長のことを「変わらない」人としてとらえるということを、繰り返します。その繰り返しの中で、実は、自分では気づいていないかもしれませんが、あなたは係長へのコミュニケーションはあきらめるということを繰り返す中で、自分もやり方を「変えられない」という体験を繰り返します。
これでますます事態はこう着状態になる。
本当は、その人をわざわざ飛ばすコミュニケーションは、手間だし、時間かかるし、気をつかうし、なんだか係長の悪口に繋がるような話になりかねないし、そういう悪口みたいな話をしてしまったら、次、係長と顔をあわせた時にバツの悪い感じになるから、いいことなんてないんですよね。
特に、このバツの悪さみたいなものから解放されるために、わたしたちは自分の正しさを確かめたくなるので、これまた「あの係長が動いてくれないから、わたしたちが困る」という話を誰かにしたくなっちゃう。そこで、誰かに話しちゃうと、またまたバツが悪くなって…という悪循環におちいります。
こうなるともはや自分で自分の職場を、安心・安全な状態から危険な状態へと導いているような形になっちゃうんですよね。
だって、一足飛びコミュニケーションって、いわば裏ネゴシエーション(交渉、口裏合わせ、等)だったりするでしょう?この裏ネゴシエーションをしているあなたは、それが存在する組織の空間づくりを進めているような話なので、「自分もあずかり知らないところで会話されているのかもしれない」ということが脳裏をよぎることになってしまう。
一足飛ばすコミュニケーションって、問題は解決したり、事態は動き出したりするので、一見すると「何がダメなの? だって係長が動かないのが悪いんじゃない」と思われるでしょう。それは、その通りです。だから、一律にダメだぞ〜!と申し上げたいのではありません。
その裏側で、あなた自身や職場にもたらす影響も知った上で、どうアプローチするのかを選ぶようにしてもらいたいということです。
その自己選択の上で、良い影響と悪い影響を天秤にかけて、「こうしよう」ならOK。
ただ、何かをごまかすように、天秤にかけて、「こうするしかないじゃん」と、“選択肢がない中で選ばされた”という意識があるようなら、一度、立ち止まってみるようにしましょう。
記事に価値があると認めてもらえることは、何より嬉しいですし、とても力づけられます。いただいたサポートはパートナーシップの価値が大きくなる使い方につなげます。