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熱中症② 〜 病態生理 1 〜

高体温と発熱の違い

人間の体温は熱産生と熱の喪失とのバランスで決まりますが、通常は視床下部にある体温調節中枢で中枢温が37℃になるように設定されています(set point)。

一般的な感染症による発熱は、様々なサイトカインなどの影響で、このセットポイントが上昇するため、体としては「体温が低い」と認識します。このため、新たに設定されたセットポイントまで熱を産生して体温を上昇させようとします。これがシバリング(悪寒)で、筋肉を激しく動かすことで熱を産生をし、体温を上昇させます。

一方、熱中症などの高体温では、熱産生と熱喪失のバランスが崩壊した結果、セットポイントは動かず、体温だけが上昇します。

小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン