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こどもは急変するのか?

「こどもは急に様子が変わるか怖い」「余力がない」など子どもに対してはとにかく「急変する」というイメージが、一般の方はともかく、医療従事者にも多い気がしています。もちろん一面で真実ではあるのですが、救急や集中治療室の現場にいると、「予兆に気づけていない」場面も結構多いのではないかなあと感じています。それがこのNOTEを始めたきっかけでもあるのですが。

ショックとは何か?

医学的には「末梢の酸素の需要と供給がミスマッチの状態」と定義されます。具体的には、末梢で酸素が足りない徴候として、臓器症状つまり意識が悪くなったり、おしっこが極端に少なくなったりします。いわゆるお医者さんにいって、「様子が変だったら」「ぐったりしたら」「変わったことがあったら」と表現される状態はショックに陥っていないかをチェックするための言葉だったりします。

ショックは 2 タイプ

何か異変が起こって「末梢で酸素が足りない!」という状況が起こると、なんとか、「酸素を届けよう!」と頑張り始めます。

次の図を見て下さい。

「末梢で酸素が足りない!」という状況での、生体のパラメーターの変化を示しています。カラダは心拍数を増やし、体血管抵抗をあげ、なんとか心拍出量(心臓から1分間当たりに送り出される血液量)を保とうとします。その結果血圧が維持されます。この状態を「代償性ショック」とよび、「末梢で酸素が足りないんだけど、なんとか頑張れている状態」です。なんとか頑張れているので、臓器症状は基本的に現れないか、わかりにくい状態です。

このカラダの頑張りが限界に達すると、一気に心拍出量が落ち、血圧も低下します。ショックがきわまると意識レベルは低下し、すみやかに心停止に陥ります。この状態を「低血圧性ショック」と呼びます。グラフを見て頂くと解るとおり、カラダの破綻は急速に進み一気に状態が変化します。

子どもは急変するのか?

「こどもが急変する」というのが一面で正しいが、予兆に気づけていないだけでは?と感じる根拠がここにあります。

確かに、低血圧性ショックに陥ると一気に状態が悪化し心停止にいたりますが、その前の代償性ショックの間に適切な介入ができれば、心停止に到ることはありません。

では、代償性ショックに気づくためにはどうしたらいいのでしょうか?



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小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン