産婦人科病院での講演報告
台風19号が大変なことになっていますね。ウェザーニュース見てたら、なんすかこれ、、、ちなみに日本の防災対策の始まりといわれている伊勢湾台風は潮岬通過時点の中心気圧930mb、19号は11日3時時点で925hPa、、、(ちなみにmbとhPaは数字はそのまま読み替えでOK)
これはあかんですわ。ということで、本日は帰ってきたら急いで暴風対策します。。
さて、先日産婦人科病院で講演させていただきましたので、簡単に備忘録。
病院背景
1978年開業で、年間分娩数800-900、小児科、内科も大きくはないけど、それぞれが産科をサポートできるよう併設されている、地域でも歴史ある大切な病院です。
今回お話しをさせて頂くに当たり、「県全体の災害対策」の中での本病院ということを考えてみました。
日本のお産の約 50% は病院、約 50%が診療所で行われています。
ちなみに病院と診療所の区別は下記。
災害対策としての広域医療災害情報システム(EMIS)ヘの登録は医師会の働きかけで促されているようで、本院も EMIS には登録されています。
しかし、当日お聞きしたところ院長始め、多くのスタッフが、EMIS はご存じなく、また、日本産婦人科学会による大規模災害対策情報システムもご存じない状況でした。
http://www.jsog.or.jp/modules/disaster/index.php?content_id=1
ここで
救急・災害医療者側:
個人病院でそんなにたくさんの分娩を扱っているなんて思っていない。
「災害時小児周産期リエゾン」が訓練に絡むようになってきていて、すこし意識がされて始めているが、基本的に災害拠点病院での医療に目が向いている
産婦人科医院・病院側:
被害状況を報告する手段はもちろん、報告しないと孤立するという事実すら知らない。その一方で、地域で信頼をきちんと得ている病院が多く患者さんも非常に頼りにしている(特に本院のように地域に根ざした歴史ある病院だからこそ、、)ため、「困ったら電話してね」と病院側も言いがち。
という構図が見えてきます。DMAT の戦略はまず、災害拠点病院をなんとかする、ということになりますので、県外から支援に入った人は特に、EMIS を検索していても、産科病院を他の「病院」と区別してピックアップできない、すなわちリスクを認知できないという状況になります。これ、気づいたときは私も震えました、、、あなおそろしや。。。
ということで、
孤立したときにどうやって情報を発信するか?
患者さんは病院に連絡を取れるのか?連絡が来たら本当に対応出来るのか?
ということを中心に、お話しし、ディスカッションしてきました。
自助・共助・公助
南海トラフ地震の規模の災害が発生したとき、基本的に(災害拠点病院でさえ、、)公的な援助が到達するまでに相当な時間がかかると予想されます。ということは、まずは、自分でなんとかするしかない、という話になりますね。日本人は特に「お上」に期待しがちです。
で、自助ってどこまでできますか?というディスカッションになりました。
また、患者さんにきちんと「自助」を指導しておくことも大事だよね。ということで、いつものように、「赤ちゃんとママを守る防災ノート」のようがグッズをいくつかご紹介させて頂きました。
そのうえで、災害時小児周産期リエゾンと災害医療体制のお話をし、そこに結びつくためには、EMIS での発信が大事だよね、、、というお話しで約1時間。という感じでした。
Take Home Message は下記。
最近は、ある方の影響で、キースライドの提示で皆さんにもう一度思い出して頂く、という形式を試しています。
興味を持たれた方、講演依頼お待ちしています(笑)
【参考資料】
厚生労働省ホームページより
●医療施設の類型
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/11-2/kousei-data/siryou/sh11010202.html
●周産期医療の現状について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000096040.html
小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン