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呼吸の「どこ」が悪いのか? ①

生理学はとっても大事

前回、いきなり原因(「なぜ?」)を考えず、事象を分解・層別化して、問題箇所を絞り込むこと(「どこ?」と聞く)事の重要性をお話ししました。

また、もれなく・重複なく分解する(MECE)ことがとても大事であることもお話ししました。

医療の世界では、解剖学・生理学・生化学という、いわゆる「基礎医学」がこの考える枠組みを提供してくれます。ただし、研究者となることが目的ではないので、実用的かつ汎用的な適切な粒度で分解しておくことがとても大切です。

呼吸にまつわる生理学

前々回、呼吸を下図のように定義しました。

このプロセスを分解してみます。

頭にある呼吸中枢から呼吸の刺激が発生します。

その刺激が神経を通って横隔膜を収縮させます。

すると横隔膜が下がり、胸腔のスペースが広がることで肺内(正確には肺が広がることによって気道内)が陰圧になります。陰圧が発生することで、大気中から空気が気道内に流入します。

流入した空気は上気道→下気道を通って、肺実質に広がり

肺胞に広がった後、

血液中に拡散します

肺が十分に広がると、伸展受容体が働いて、吸気のインパルスが低下し、吸気は呼気に転じます。(Hering-Breuer reflex)

吸気に関わる筋肉が急速に弛緩し、胸郭の容積が低下することで、受動的に肺胞→下気道→上気道をとおって、受動的に呼気が排出されます。

一連の経過をまとめると以下のようになります。


小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン