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(期間限定公開、終了しました)ワクチン開発に、なぜこんなにも時間がかかるのか? 『ワクチン・レース』 【試し読み】

(11/4更新)「プロローグ」の期間限定公開は2020年11月3日をもって終了しました。

「…効果のあるワクチンを作るのはそう簡単ではない。」
これは、『ワクチン・レース』のプロローグに書かれている一文です。2020年の今を生きる私たちは、まさにこのフレーズを肌でリアルに感じています。

ノンフィクション『ワクチン・レース』は、ウイルスの研究が新時代を迎えた1960年代前半から始まります。
1962年6月の霧雨の降るある朝、34歳になったばかりの科学者レオナルド・ヘイフリックはウィスター研究所に向かっていました。

傍から見れば、生真面目で控え目なヘイフリック。生物学に惚れ込み、才気にあふれていましたが、当時その事実を周囲にほとんど認識されていませんでした。ヘイフリックに対する上司の評価は、単なる技術者。研究所の中核を担う押しの強い主任研究員たちに、ラボで培養した細胞を入れたボトルを差し出すだけ…そんな印象を持たれていたのです。

そのヘイフリックの研究が、いくつものウイルス感染症から世界中の人々を守るきっかけになり……
『ワクチン・レース』には、科学と医療の貢献と、コロナ禍の未来へつながる、過去の「風疹ワクチン開発」の教訓が綴られています。

今回は発行記念として、「プロローグ」を全て公開します。ぜひ試し読みください! <11/3までの期間限定公開です。お見逃しなく>


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COVID19制圧に立ち向かういまだからこそ必読!


『ワクチン・レース
ウイルス感染症と戦った,科学者,政治家,そして犠牲者たち』

2020年10月22日発行

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■目次

プロローグ

第1部 細胞
第1章:はじまり
第2章:発見
第3章:ウィスター再生
第4章:染色体異常と中絶
第5章:死にゆく細胞と定説
第6章:スウェーデンからやってきた細胞
第7章:ポリオワクチンの〝お客様〟
第8章:人体実験

第2部 風疹
第9章:姿を見せた厄災
第10章:小さな命を襲う災い
第11章:狂犬病
第12章:孤児と市井の人々
第13章:馴染みの悪魔
第14章:政治と圧力
第15章:大脱走
第16章:熊の穴
第17章:細胞をめぐる闘い
第18章:DBSの敗北
第19章:躍進

第3部 WI−38細胞をめぐる攻防
第20章:奪われた命とスカイラブ
第21章:細胞Inc.
第22章:苦難の道
第23章:ワクチン開発競争
第24章:生物学Inc.
第25章:ヘイフリック限界の解明
第26章:ブート・キャンプの病原体とバチカンへの嘆願
第27章:巣立ちのとき

エピローグ:その後

謝辞

解説/岩田健太郎


■詳細情報
定価:本体 2,400円+税
判型:四六判
ページ数:541ページ
ISBN:978-4-7581-1213-0

 

--- PEAK books ラインナップ ---
◆『美食のサピエンス史』
(ジョン・アレン/著 成広あき/訳 )
サクサクに魅了されるのはなぜ? 食べすぎと拒食、そのとき脳は?ニホンザル「イモ」の行動と創造性の関係? 食にまつわる疑問をトリガーに、日本に縁のある著者が脳科学・進化・文化史を駆使し「食とヒト」を語る。

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