MELODY&NUTS #14 CURIOUS
VANTA BLACKの一件から
風向きが変わり
CRYは順調に売れ始めた
それともうひとつ
変わったことがあった
CRYを買う客がメロに
『この前のパフォーマンス、カッコよかったぜ』
『次の出番はいつだ?』
『メロディーは最高だな』と
声をかけるようになっていた
メロはそれを嫌がっていたが
ナッツは
『楽しみにしとけよー』
『次は俺がやるぜー』と
仲間の評判に陽気だった
毎晩CLUBへ仕事で
通うようになってから
メロにも変わったことがある
ディーの選曲への想いを
聞いたからか
DJの流す曲を良く聴くようになったのだ
更に
『ディーこの曲の名前教えてくれ』
『これはなんてジャンルなんだ?』と
興味を持ち始めた
『サックスだけが音楽じゃないんだぜメロ
世の中には星の数ほど音楽があるんだ
表現の仕方だって
人それぞれなんだ
ダンスを使って体で表現したり
ナッツみたいに大声を出してみたり
マイクを使って呼びかけるのだって
音楽だ』
『あそこで女の子と喋ってるのは?』
『楽しそうに笑ってるだろ
会話と音を楽しんでる
立派な音楽だ』
自信満々に言うディーを
ただのナンパじゃないかと
ナッツもメロも笑った
『CLUBではDJが音楽を流す
でもそれだけでは足りないんだ
聴いてくれるお客さんがいて
それを支えるスタッフがいて
会場に来れなくても
気にしてくれている人がいる
コミュニティ全部を含めて
ここでは音楽なんだ』
ナッツもメロも拍手した
ディーは照れ臭そうに笑った
『ディー明日の夜空いてるか?』
メロが聞く
『空いてるよ
何かあるのか?』
『リーに金を返してくる
その後
俺とナッツの奢りで
祝勝会しようぜ』
『わかった
高い酒飲ませてもらうよ』
『いつものバーだけどな』
全員腹を抱えて笑った
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