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田辺温熱保養所がくれるもの。

岐阜県大垣市にある、
田辺温熱保養所についての魅力を
皆様にお届けしようと
そういう意気込みで
なんかこう、
座ってます。

スクロールありがとうございます。

オムレツの中に炒飯がはいって
いるんです。

ふわふわのとろとろの卵のなかに、
炒飯がくるまれていて、
まるでハムスターの昼寝のように、
炒飯がふわって、そりゃもう、
かわいいのなんのって、えぇ。

とにかく腹が減りすぎてると、
「入浴中」
あまりよくないので、
入浴前に腹ごしらえです

田辺温熱近くにある
サンコックという中華屋さんの
オムチャーハンでした。

腹ごしらえがすんだあとは、
田辺温熱保養所なわけです。


田辺温熱保養所は、戦後にできた
薬草をつかった蒸し風呂の
療養施設です。

樽の中で、薬草の蒸気で
蒸されるわけです。

「蒸し風呂のようだ。」

って日本語がありますが、
蒸し風呂に入ったことがある方って、
少ないと思うんです。
そうここは、
現存する蒸し風呂なんです。

ここに来れば、
今後は満員電車で大声で、
「おいここ、まるで蒸し風呂だな、おい!」
て叫んでもいいです。
蒸し風呂入った事もないくせに、
そういうことを言ってはなりません。

田辺温熱は、樽の蒸し風呂なんですが、
なんか、それだと、全然田辺温熱のことを
表現できていないなぁ、
と、すごく歯がゆい気持ちになります。

田辺温熱の蒸し風呂の入り方とか、
ちょっとした所感とか、
そういうことを書き連ねていけば、
なんとか伝わるのかな、
と、とてつもなく淡い期待を
胸に、書き進めている次第です。

どれぐらい淡い感じかというと、
海に水中眼鏡を落として、
肉眼で海底の水中眼鏡を探す
そういう淡い感じです。

田辺温熱保養所は岐阜県大垣市の
住宅街の中にあります。
駐車場から入り口をくぐると、
おかみさんが
笑顔で出迎えてくれます。
何十年も前から通っている
常連さんたちや、
地域から愛されている場所なわけです。

ここは、和室の休憩室。
この他に、浴室と、特別室という
場所があります。
特別室では、部分蒸しということが
可能です。

膝や腰が痛いかたは、
そこを直接蒸気で暖めることが
できるのです。

そして、田辺温熱には、
蒸し風呂への入り方の順序があります。

蒸し風呂に入る。
浴場で休憩する。

蒸し風呂に入る。
浴場で休憩する。

蒸し風呂に入る。
浴場で休憩する。

和室で休憩する。

↑上記を1セットとして、これを
3回繰り返すのが
基本の入り方になっています。

蒸し風呂の樽は高さ4メートルほど。
大人が中に入ってラジオ体操を
すれば、突き指しまくる広さです。
ですので、大人が4人入れば
結構な狭さになります。

大人4人がラジオ体操すると、
誰かの歯が欠けたり
爪が割れたりするので、
オススメしません。

樽の中に入ります。
秘伝の薬草や、
畑で取れたハーブの香りで
満たされます。



田辺温熱の蒸し風呂には、
5分入れたためしがありません。
早いときは1分で出ます。



樽が暖まっていないときなんかは、
10分くらい入る時も
ありましたが、
今は夏で、
だいたい暖まっているので、
10分なんて無理。
女将さんも、3分くらいって
言ってましたもん。
えぇ。

樽に入って無言で立ち尽くすと、
自分の呼吸と、
遠くからケルトが聞こえてきます。
田辺温熱では、ケルトミュージックが
流れているのです。



そして1分もたてば、

ぽた
ぽた
ぽたぽた
ぽぽぽぽぽぽぽぽぽたぽたたたたた
っぽうわったぁ!

と、ケンシロウのような音が聞こえてきます。
そうです。
汗や蒸気がからだから下に滴り落ちる音です。
ぽたたたたたたたたたた
と、連続して聞こえてきたら、
樽を出る合図です。

まるで、タライから逃げ出す鰻のように。
まるで、タライから逃げ出す鯰のように。
まるで、産湯のタライから
逃げ出す乳飲み子のように。

樽からぽろんっと僕たちは抜け出します。
入り口が小さいのでそうなるのです。

身体中が真っ赤。
次から次に汗が吹き出してきます。

「私、汗かかないんです。」
という方が、ここに来ると、
とてつもなく汗をかいて
感動するらしいです。

そして僕もその一人です。


田辺温熱は、樽を出てからが本番
のような気がします。

浴場には、
何枚か麻のゴザが敷いてあるので、
樽を出てから、
そこに横になって天井を見つめます。
田辺温熱の、
樽とゴザは、
姉妹関係のような気がします。

ゴザに仰向けになる。
遠くからケルト。
自分の呼吸の音。
天井には湯気が立ち上ぼり、
天井の小窓から、
朝の光や、
夕方の光がさしこみます。
それが、雲間から差し込む
光みたいに直線的で、
とても神々しいのです。
教会みたいだなぁ、
と、いつも思います。
そしてこの間、
ずっと汗は流れているのです。

ちなみに!

樽に入っている間は入口を閉める。

中に誰もいない時は、開ける。

開けとかないと、焼売を蒸せる
温度になってしまうからです。
田辺温熱でのルールです!

3回の入浴と休憩を経たあとは、
和室での休憩です。
和室に用意された木の枕を
畳において、ごろりと横になります。

すると、寝落ちします。
だいたい、寝落ちします。
ほとんどの場合、寝落ちするのです。
目覚めると、木目の天井が見えます。

そして、
あれ、今は夏休みで、
親戚の家に泊まりにきて、
それでおれは、
今夜はいとこのゆき子と
夏祭りにいくんだ、
そうだった、、


いや、、

違う、


たっ田辺温熱だ、

って毎回なります。

ゆき子の部分を好きな名前に変えて
再生してくださいね、
たけるでも、みよこでも、
しょうこでもきんたでも、
なんでもいいですよ。

こちらは男性更衣室の様子です。
保養所の中ではつねにケルトミュージックが
流れていて、とても不思議な気分になります。
ぼーっとしていると、
ケルトに意識をひっぱられて、
どこか遠いところにいってしまう
現象が常々起きています。

最近、ぼーっとした時間、
ありましたか?
僕はここにくるたび、
ぼーっとしかしてません。

他にお客さんがいなければ、樽の中で自分と二人きりです。初めてここを訪れて樽に入った時は冬でしたが、樽の中は薄暗く、暖かく、静かで、とても落ち着きました。薬草の香りは新鮮で懐かしく、最高に落ち着きます。そのあとは汗がボトボト落ちるわけですが。

田辺温熱保養所。
自分を労り、自分と対話する
そんな場所です。

もしサポートして頂けた暁には、 幸せな酒を買ってあなたの幸せを願って幸せに酒を飲みます。