「美をつむぐ源氏物語展」
東京都美術館で開催中の展覧会
「美をつむぐ源氏物語―めぐり逢ひける えには深しな―」
に行ってきました。
源氏物語といえば、大学では「源氏物語」のゼミに入っていたこともあって卒論のテーマは「源氏物語」
「玉鬘系後記挿入説に対する5つの障害」というタイトルで、玉鬘系16帖が、後記挿入されたという武田宗俊氏の仮説を否定した内容の卒業論文を書いたのですが、今でもその卒論を提出した日のことが忘れられません。
私の大学時代はまだメールで提出するというような方法がなかった時代。
卒論の提出をしたのが、提出締め切り日。締切時間ギリギリでしたが、なんとか提出はできました。
が、外は雪。
卒論は無事提出出来たものの、電車が止まって帰れなくなってしまいました。。。どうしよう。
困っていると、その当時つきあっていた彼から迎えに行くとの連絡。
彼の自宅から大学までは結構な距離です。
遠くから雪の中をこちらに向かって歩いてくる彼は(その時は)王子様にしか見えません。
ただ、その迎えにきてくれた王子様のような優しい彼は、
脳や遺伝子から見る「ダメな男がモテる理由」
の記事に出てきた、私がつきあった「ダメな男」としてピックアップしている一番最後の(捕まっちゃった)彼だったんですよね。
人って分からないものです・・・。
ただ、雪が積もるたびに、その彼を思い出してしまいます。
「源氏物語」から話はそれましたが、この展覧会、とても良かったです。
この展覧会の副題となっている「めぐり逢ひける えには深しな―」は、『源氏物語』第14帖「澪標」のなかで、光源氏が明石の君に宛てた「みをつくし 恋ふるしるしに ここまでも めぐり逢ひける えには深しな」という和歌から取られているそう。
「えには深しな」の「えに(縁)」を詠った恋文にあやかり、人との出会いはもちろんのこと、美術館で作品とめぐり逢うことも、ひとつの「えに(縁)」という意味合いからこの副題をつけられたのでしょうか。
私はこの美術館で、まさに「えに(縁)」を感じる出来事がありました。
この展覧会で私が1番心惹かれたのが書。鷹野理芳さんの書です。
この歌の書。
「若紫」 巻の一節で、「雀の子を 犬君がにがしつる・・・」の部分はたいへん有名な場面です。(書の展示は写真撮影は不可でした)
この鷹野理芳さんの書を見ているとそのシーンや和歌の心情が文字から現れ、視覚的に見えてくるんです。
なんだか不思議で、感動的な書でした。
源氏物語が書かれた時代は文字の美しさは教養の表れとされ、書に対する美意識が高く、源氏物語には筆跡だけでなく、料紙の色や材質のことまで書かれているのです。
鷹野さんの書も姫君をイメージした美しい料紙を使われていて、美しい書との組み合わせが素晴らしかったです。
この書に感激して、図録を買い、帰りながら、展覧会に行った様子をストーリーにupしたところ、日ごろから仲良くさせてもらっている友達の典子さんから、知り合いの書道家さんが出展されているというメッセージが。
そのお知り合いの方のお名前を聞いたら、私がまさにこの日、感動して、ファンになった鷹野理芳さんだったんです。
これがまさに「えに(縁)」を感じる出来事です。
本当に驚きました。
この展覧会では、書以外にも源氏物語に絡んだ、絵画・染色・ガラス工芸という多彩なジャンルの作品が出展されていました。
その一部をご紹介しますね。
とても美しい玉田恭子さんのガラスの作品。
宙吹きによって制作された色ガラスや墨流し模様などを電気炉で板状にし、それを何層にも襲(かさね)て形作る独自の技法を用いているそう。
ガラスの内部には源氏物語の和歌が空間に浮遊しているかのように封じ込められています。幻想的でとても美しいガラスの作品です。
石踊達哉さんが描く、源氏物語の華やかで繊細な絵画。
この夕顔の作品が特に好きです。
個人的には、源氏物語に登場する女性たちの中で、夕顔にとても惹かれるのです。
だからかもしれませんが。
そうそう、この展覧会、500円で入場できるんです。こんな素晴らしい作品の数々が500円で見られるなんて申し訳ないくらいです。
気になった方はぜひ足を運んでみてくださいね。
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○ 美をつむぐ源氏物語
―めぐり逢ひける えには深しな―
【開催日時】
𝟮𝟬𝟮𝟮/𝟭𝟭/𝟭𝟵(土)~𝟮𝟬𝟮𝟯/𝟭/𝟲(金)
【開館時間】
𝟵:𝟯𝟬~𝟭𝟳:𝟯𝟬
【会場】
東京都美術館 ギャラリー𝗔・𝗖
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ここまで、読んで頂いて本当にありがとうございました♡
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