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恭庵書房(きょなんしょぼう)

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2024年7月の記事一覧

稲田 俊輔『異国の味』

稲田 俊輔『異国の味』

東京には世界各国のレストランがある。日本人の食に対する好奇心と、本物をやんわり拒む全体性、シェフのアレンジ能力の高さが、現在の独特な雰囲気を作った。エリックサウスの稲田さんが東京(および日本)で独自の変化を遂げた○○料理の解説に唸った。

僕は大学に入るまで、ほとんど外食をしたことがなかった。料理経験なしで自炊を始め、本書にも片鱗の出てきていそうなマニアックな京都の飲食店にたまに出かけていた。その

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白石 哲也/松本 剛/奥野 貴士『研究者、魚醤と出会う。: 山形の離島・飛島塩辛を追って』

白石 哲也/松本 剛/奥野 貴士『研究者、魚醤と出会う。: 山形の離島・飛島塩辛を追って』

飛島(山形唯一の離島)の醤油にフォーカスした超マニアックな本。研究者の生態(仕事と遊びの融合)がノマドワーカーのそれと同じであることが分かり、また、飛島には行かねばと思わせる内容だった。

伝統を守らねばという内容ではない。研究者として、一般的な感覚として発想のスタートはそこにあるのだが、島の人たちの感覚であっさり否定される。僕は魚醤が好きだから、読む前は「絶えないでほしい」というような気持ちを持

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オリバー・バークマン『ネガティブ思考こそ最高のスキル』

オリバー・バークマン『ネガティブ思考こそ最高のスキル』

僕は常にポジティブであろうとしているし、ネガティブな言葉は基本的に好きじゃない。だから、この本が届いてから半年以上、手に取る気になれなかった。

読んでみてビックリ。僕自身の思考は、著者の言う「ネガティブ思考」だった。確かに僕は、ネガティブな言葉を発する人と同様に、全てをポジティブに置き換えてネガティブが透けて見える人が嫌いだ。だから僕はネガティブは嫌いなんだと思っていた。そうではないのだ。

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