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動画クリエイターとライター 違いと共通点

動画スクールPAVIOSの講師をしている、大林です。
現役テレビディレクターとして、最近ではNHKの医療番組なども作っています。

最近では、webライターの方が動画編集にチャレンジする、というケースも増えてきました。
私自身、もともとディレクターですが、15年ほど前から執筆もはじめ、
今では、売上の3割程度がライティングになっています。
 
2つの仕事をしている立場から、それぞれの違いと共通点についてお話ししたいと思います。

共通点① 文章力

ライターが文章力を求められるのは言わずもがななので割愛します。
 
では、動画クリエイターはどうか。
あくまで、私が歩んできたテレビの世界で言うと、ディレクターとして続けられるか否かの分水嶺になるのは、
台本を「書ける」「書けない」かでした。
テレビの世界を夢見て働き始めた人に対して最初に立ちはだかるのが、原稿が書けるかどうかでした。
つまり、「書く」ということは、動画制作についても極めて重要だということです。
今は、動画編集専門の職種が増えてきました。
ですから、昔ほど「書く」ことは必須条件でなくなってきていると思います。
ただ、内容を要約して適切な文言のテロップ原稿を作成するというのは、国語力の要する作業です。
動画編集においても、文章力は無縁ではありません。
 
ただ、どの程度の文章力が必要かというと、いわゆる文学作品を書けるほどの表現力や流麗な文章は必要ないと思ってます。
むしろ、言いたいことを適切な表現で端的に言葉にするチカラが求められます。
 
一番大切なのは、何を思うかです。
そして、思ったことをどの程度言葉にできるか、言語化能力が問われるのです。
 
最低限の文章力というのは、バスのチケットに例えています。
チケットを持っていないと、そのバスに乗ることすらできない。
それは現実です。
 
ただ、チケットを持っている人は、意外と多いのではないかと思っています。

違う点① 文章のセンテンス

動画の場合は耳で聴くので、1つの文章にいろんな意味を含んでしまうと理解してもらえません。
1センテンスを短くして、原則1つの文章に1つの意味を持つようにしています。
記事の場合も、1つの文章に様々な意味を含んでしまうのは好ましくありませんが、動画ほどシビアではありません。
むしろ、センテンスを細かく分けず、一文で語りきることも重要な要素です。
さらに、耳で聴くという意味では、動画の方がよりわかりやすく平易な言葉が求められます。
例えば今、「平易」と書きましたが、動画では「平易」という言葉は聞きづらので、
「簡単な」という言葉を選ぶ、など言葉選びが少し変わってきます。
 
ただ、これらの文章論は答えのある話ではなく、あくまで私が経験してきた中で得た知見から申し上げているものです。
コンテンツごとに求められる文章は変わってきます。なぜなら、記事を読む対象や視聴対象が変わってくるからです。
これらの原則は必ず守らなければならないというものではありません。
しかし、原則を知っておくと崩すときにも違ってきます。
原則を理解した上で、確信犯的に崩していく、これが長く表現の世界で生きていくコツだと私は思います。

共通点② 構成力

ライターと動画クリエイターともに求められるのが構成力です。
1つの記事、動画をきれいな流れで構成していく力は必須で求められる技術です。
いかに組み立てれば、興味を抱き、わかりやすいかを考えるのは、記事も動画も基本的には同じだと思います。

違う点② 絵の力

動画の構成において、論理が重要な話をした後で恐縮ですが、動画の場合、論理を超えて考えなければいけない時があります。
それは、絵に力があるときです。
力のある絵は論理を超えます。
5年ほど前に、NHKで大分の車いすマラソン大会を取材しました。
ブラジルの選手が地元のそば屋さんでサンバの歌を歌うシーンがありました。
実は論理的に考えるとそのシーンは構成しづらかったのです。しかし、とてもよいシーンなので、このシーンを効果的に組み込めるように構成し直したという経験があります。
こうした経験は、ライティングではありませんので、動画ならではだと思います。
 
 
今日は、動画クリエイターとライター 違いと共通点についてお話ししました。
それぞれ違いもありますが、コンテンツを作るという意味で共通しているところも多いと私は思います。

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