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高齢者の股関節骨折におけるBBSのMCID➡11.5点

▼ 文献情報 と 抄録和訳

高齢者の股関節骨折におけるBerg Balance Scaleスコアの臨床的に重要な最小値の違い

Tamura S, Miyata K, Kobayashi S, Takeda R, Iwamoto H. Minimal clinically important difference of the Berg Balance Scale score in older adults with hip fractures. Disabil Rehabil. 2021 Aug 19:1-6.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 結論
股関節骨折の高齢者において、Berg Balance Scaleで11.5ポイント以上の改善があれば、意味のある効果があると考えられる。


[目的]
臨床的に重要な最小の差(MCID)とは、患者にとって重要であると認識される治療上の最小の臨床的有意差のことである。股関節骨折患者のバランス機能を測定するBerg Balance Scale(BBS)については、MCIDが知られていない。我々は、高齢者の股関節骨折者におけるBBSのMCIDを算出することを目的とした。

[方法]
本研究は、股関節骨折の高齢者187名を対象としたレトロスペクティブな多施設共同臨床研究である。MCIDは、入院時と退院時のBBSスコアの変化のアンカーとして使用されたFAC(Functional Ambulation Category)を用いて算出した。MCIDは、FACの1点以上の改善を改善とし、2点以上の改善を実質的な変化とした。

[結果]
BBSのMCIDは11.5点、大幅な変化のMCIDは18.5点で、曲線下面積はそれぞれ0.76、0.81であった。

[結論]
股関節骨折の高齢者におけるBBSのMCIDは11.5ポイントであった。また、BBSの18.5ポイント以上の改善は、実質的な変化とみなすことができる。これらの値は、意味のあるバランス機能改善を判断する上で有用であると考えられる。

[リハビリテーションへの示唆]
股関節骨折は高齢者に多い傷害であり、歩行機能の改善は予後に関係する。歩行の獲得に重要なバランス機能の臨床的に重要な最小差を明確にすることで、意味のあるリハビリテーションの効果を判断することが可能である。股関節骨折の高齢者において、Berg Balance Scaleで11.5ポイント以上の改善があれば、意味のある効果があると考えられる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅こういった知識がもっていると、BBSの解釈の仕方が変わる。BBSは各施設でよく行われている評価バッテリーであるが、その評価で得た情報を、どこまで臨床に落とし込めているだろうか。基準はあくまで基準であるが、基準があると、そこまで向かうプロセスが明確となる。こうした研究を”実学”として、臨床に活用していきたい。

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