カーボンナノチューブの人工筋肉

そもそも人工筋肉というのは、バイオテクノロジーによる動物的な筋肉の構造を模倣したものではなくて、電気的に動いたり、磁力を使ったり、化学エネルギーを消費することで状態変化をして動力に変えるアクチュエーターも含まれる。

最近では合成樹脂などの高分子を使ったものが注目されていて、素材が柔らかいものを使うことで動作が柔軟で外部の力にも対応できることから、ソフトアクチュエータとも呼ばれている。

テキサス大学ダラス校の研究者、オーストラリア、韓国、中国の共同研究者はカーボンナノチューブ、またはポリマー糸をねじって巻くことによって、人工筋肉を製造してきた。15年以上も。

この人工筋肉は熱を加えると筋肉は短くなり冷却すると元の長さになるという。ただ、このやり方だと限界があった。熱を伝導したり、冷却するのを頻繁にするのはちょっと大変。

だから、今は電気的に駆動させるのが期待されている。

科学誌Scienceで投稿された研究ではより早く駆動する強力な電気化学的カーボンナノチューブ筋肉(CNT)を作成。これまでできなかった問題を解決できるとのこと。

CNTは周りの電荷を取り込むことで収縮や身長ができる。

だけど問題があった、一度取り込んだ電荷をゼロにしないと、収縮も伸ばすこともできない。

そして、この動作の応答スピードを上げてみると、今度はパワーが出ない。これは困った。

そこで研究者はイオン伝導性ポリマーでコーティングをしてみた。

こうすることでCNTの筋肉は単極動作ができるようになった。どういうことかよくわからんが、筋肉全体の電荷をひとまとめにできたんだろうと思う。

すると、このCNTは人間の筋肉の29倍の能力を発揮するようになった。ターボチャージャー付きV型8気筒ディーゼルエンジンと同等らしい。

いまや、パワードスーツ、マッスルスーツがいよいよ出回ろうとしているんだけど、こういうすごいやつは5年くらい後になって、自分らの目に映るようになるだろう。多分。

素肌に密着させる形で体液を圧迫させるマッスルスーツもいつかは実現するかもしれない。マッスルスーツってなにかというとメタルギアソリッド4をやってみてね。

いつかは高齢者が杖を忘れて、マッスルスーツで登山をする、なんて話を聞くようになるかも。

それより前に、局地仕様で軍隊の兵装に転用される可能性も十分あるよね。



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