【被写体だけを撮るカメラ】他のオブジェクトを写さずに記録できるカメラを開発したぞ

数年前にデジタル一眼のエントリーモデルを買ったのだけれど、ここ最近はとんと写さなくなってしまった。だって、アレ重いから。あと、スマホの方がきれいに撮れてしまったりする。

おもに風景を撮るのが好きなのだけれど、最近は自分の望む写真が欲しくて、被写体の前にある大事な木を切り倒してしまうこともあるそうな。胸くそ悪い話だけれど、迷惑を迷惑と思わない人は一定数存在するのは確かだ。このせいで、良識を持った同じ趣味の人も巻き込まれてしまうわけで、肩身を狭くしているだろうなと思う。

しかし、人間は目の前に何かあっても、興味や関心のあることなら、見えなくなってしまうもので、脳はいつだって取捨選択して見せたいものを見せるように出来ている。

コンピュータはそれがわからないから、ピントが合いそうな物体を見つけたら、目の前の障害であってもきっちりフォーカスしてくれる。写したいものはもっと後ろにあるのに。

内に戻って写真のデータを見直したら、うまく撮れたと思ったのにピンボケしていて、がっかりしてしまうよくある話。


アメリカUCLAの研究チームは好きな対象物だけ撮影し、他の部分を削除できるカメラシステムを開発した。
これは撮影した被写体の画像を削除しているわけではなくて、光学的に削除して写さないように記録している。

どういうことかというと、3層の回折カメラを用意することで、映したくない画像をあらかじめ選んでおく。回折とは職質や空間を伝わる波が、障害物の背後など幾何学的には到達できない領域に回り込んで伝わっていく現象のこと。つまり、光が回り込んでいくから、対象物は映らずに後ろの部分を見ることになる。

このカメラは回折層から連続的な透過面で構成されており、カメラは特定の物体のみを撮影し、それ以外は消去するように透過光の位相を変調させる。これが実現できたのはディープラーニングのおかげ。

はじめから画像を作成しているので、改ざんする手間もないし、ナンだったら、これが真実を写していると豪語できちゃうかもしれない。

今のところは極めて限定的な撮影しか出来ないけれど、好きな風景に邪魔なオブジェクトをどかしたいと望む人は少なくないだろう。

自分はそういったオブジェクトも風景の一部と思っているけれども、みんな何かときれいな写真ばかり撮りたがっている。写ルンですなどで撮ったフィルムカメラの写真はきれいに撮れているわけじゃないけれど、その場の空気を想像で保管できるところは良かったなとふと振り返る。


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