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星空を守るためのnote、始めます。

夜8時、南東の高い空には木星がひときわ明るく輝いています。南の少し低い位置に見えるのは、土星。西の空には、織姫星であること座のベガがまだ輝いています。地球のきょうだい惑星たちや有名な一等星たちは、街明かりの中でもはっきりとその姿を見せてくれます。

街明かりの中でも。

もし街明かりがずっと暗ければ、他にもたくさんの星が見えるはずです。いえ、街明かりはあってもよいのです。虚空に向かう光だけを抑えれば。

エネルギー価格が高騰する今、光を空に捨てているのはもったいないですし、明るすぎる人工光は様々な動植物に影響を与える可能性があります。多くの環境問題と同じくひとりの努力では光害を抑えることはできませんが、たくさんの人が少し意識をすれば、状況は大きく変わると思っています。

というわけで、星空を守るためのnoteを始めてみることにしました。

私は国立天文台の業務として光害に対応することになったのですが、世の中に光害に関する情報はそれなりにあるものの、なかなかまとまってはいません。関連するニュースもそれなりの頻度で出ているものの、全体を把握するのは大変です。このnoteは、半分は自分のための情報まとめではありますが、もう半分は星空を守りたいという思いをお持ちの方のための情報ポータルのひとつになれたら、という気持ちもあります。

もちろん、光害について考え活動している方たちはすでにたくさんいらっしゃいます。代表的なところでは、国際ダークスカイ協会 (IDA) 東京支部さんや星空公団さんなど。各地の天文同好会でも、地元の光害防止のために活発に活動されているところがたくさんあります。

なお、少なくとも現時点ではこれは国立天文台の公的な発信ではなく、私の個人的な情報発信の場であることを申し添えておきます。

といいつつ国立天文台のページのリンクを置いておきますが、光害について皆さん考えてみませんか、とお誘いする広報ブログ記事を書きましたので、関心のある方は是非ご覧ください。

タイトルは星空を守るnoteとしましたが、この星空は目に見える星空だけではなくて目には見えない宇宙も含みます。天文学者は今や可視光だけでなく電波や赤外線、紫外線、X線などさまざまな電磁波で宇宙を見ています。特に電波は地上でも観測できるので、世界中に電波望遠鏡が設置されています。ビッグバンの証拠を捉えたり、惑星誕生の現場を明らかにしたり、ブラックホールの影を捉えたりと、目には見えない宇宙の姿を明らかにしてくれているのです。

一方で、携帯電話やWi-Fi、GPSをはじめとする多種多様な人工衛星など、私たちの生活は人工的に電波を発する機械無しではもう考えられません。人工電波を使った便利な生活を担保しつつ、宇宙から自然にやってくる微弱な電波を観測する天文学も続けるためには、電波の使い方について様々な業界の方と協議する必要があります。このnoteでは、目には見えない宇宙への窓を確保するための電波周波数保護についても取り上げていきたいと思っています。

周波数保護という考え方自体があまりなじみのないものだと思いますので、国立天文台の広報ブログに書いた別の文章を置いておきます。

どれくらいのペースで投稿を続けられるか若干心許ないのですが、ここに投稿することを意識して積極的に情報を集めていきたいと思います。よろしくお付き合いくださいませ。

ヘッダ画像は、今回の投稿のタイトルの英訳 "A new note series to protect the starry sky has been just launched."をMidjourneyに入力して描いてみたものです。

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