平松正顕

暗い夜空と静かな電波環境を守る人。 国立天文台天文情報センター周波数資源保護室で、天文学観測に適した光環境・電波環境を守る仕事をしています。もとは電波天文学者。アルマ望遠鏡の広報を10年ほど担当。

平松正顕

暗い夜空と静かな電波環境を守る人。 国立天文台天文情報センター周波数資源保護室で、天文学観測に適した光環境・電波環境を守る仕事をしています。もとは電波天文学者。アルマ望遠鏡の広報を10年ほど担当。

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    • 光害関連ニュースまとめ

      地上の光害や衛星コンステレーションによる天文学への影響など、インターネットに公開されている様々なニュースを毎月まとめていきます。

    最近の記事

    光害関連ニュースまとめ 2023年1月

    2023年1月の光害関連ニュースです。今月もたくさんありました。 地上の光害に関するニュース夜空に思う 光害抑え豊かな星空を 2023年1月11日、朝日新聞の社説に掲載された文章です。全国紙の社説に光害が取り上げられるというのは大変大きな意味があると思います。光害の基本的な事項がコンパクトに紹介されています。環境省の光害対策ガイドラインの内容など一部の取材にも協力させていただきました。 光環境類型 E1に準拠のスポーツ施設用投光器 2023年1月16日発表、街灯などを

      • NHK BS1「星降る夜空よ ふたたび」

        2023年1月26日にNHK BS1で放送された「BS世界のドキュメンタリー 星降る夜空よ ふたたび」。フランスで2022年に製作された"SWITCH THE SKY BACK ON - THE GLOBAL FIGHT AGAINST LIGHT POLLUTION"を日本語にしたものです。光害を取り巻く現状と具体的な対策がコンパクトに、かつバランスよく紹介されていました。光害の今とこれからを知るための基本情報がそろっていたと思います。 番組は、天体写真家として有名なバ

        • 光害ニュースまとめ:2022年12月後半

          2023年もどうぞよろしくお願いします。年をまたぎましたが、昨年12月後半のニュースまとめです。 地上の光害に関するニュース冬の星空観察(環境省) 2022年12月21日、環境省が運営するメディアecojinに掲載された記事です。環境省がオウンドメディア的なものを運営しているということを、今回初めて知りました。環境省は、毎年夏と冬に星空観察を呼び掛けており、デジカメを使う方法と肉眼を使う方法のふたつがあります。2022年夏の結果はつい先日公開されて、私も記事にしました。

          • 2022年夏の夜空明るさ調査結果(環境省)

            環境省は、毎年夏と冬に星空の明るさ調査を全国規模で行っています。いちばん最近のものは『令和4年度夏の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査』。その結果が出ていましたので、見てみましょう。 観測期間:2022年8月18日~31日(月齢20~4) データ総数:380件(うち、有効データ318件) この調査は、観測期間中の日没1時間半後~日没後3時間半の間に、一眼レフデジカメを真上に向けて星の写真を撮り、そのデータをウェブサイト経由で提出してもらうというものです。集まっ

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          • 光害関連ニュースまとめ
            平松正顕

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            光害ニュースまとめ:2022年12月前半

            早くも12月前半が終わってしまいました。この間の光害・天文観測環境に関するニュースで目に留まったものをまとめます。 地上の光害に関するニュース夜空の明るさ調査、園児も隊員に 徳島・阿南、ウミガメ保護など指標 12月3日、asahi.comに掲載のニュースです。徳島県阿南市科学センターによる「あなん夜空の明るさ調査」は、阿南市を1km四方のメッシュに分けて、市民にハンディな光害測定装置であるスカイクオリティメーター(SQM)を配布して各メッシュの夜空の明るさを測ってもらう、

            夜空の明るさ世界地図:The new world atlas of artificial night sky brightness (Science Advances, 2016)

            世界の夜空はどれくらい明るいのか。これを調べた論文を今回は紹介します。人工衛星による上からの夜間光の観測と、地上からの空の明るさの測定、大気のモデリングなどを通して、いくつかの仮定はありながらも地球全体の夜空の明るさを推定し、地図に落とし込んでいます。日本では7割、欧州では6割、北米では8割が天の川の見えない場所に住んでいるという推定が環境省の光害対策ガイドライン(令和3年3月改訂版)に掲載されていますが、その出典はこの論文です。 文献:The new world atla

            光害ニュースまとめ:2022年11月

            光害に関するニュースをまとめてみることにしました。基本的にはGoogle Alertで検知されるものや、twitterで見かけたものなどを紹介します。週刊にするほどニュースはなさそうなので、月刊か月2回刊くらいを目安に続けたいと思います。 地上の光害に関するニュース 目指せ、星空遺産! 福井県大野市に広がる、満点の星を見に行こう! 2022年12月1日掲載、福井のローカル情報ポータル「ふーぽ」の記事。国内4番目となる国際ダークスカイ協会の「星空保護区」登録を目指す福井県

            1等星として輝く通信衛星BlueWalker 3

            2022年9月10日(米国時間)に打ち上げられた通信衛星BlueWalker 3。地球周回軌道上で携帯電話の基地局となり、スマートフォンなどと直接通信することで地球上どこでも通信エリアにする計画です。BlueWalker 3を打ち上げたのはアメリカの通信会社ASTスペースモバイルで、日本からは楽天モバイルが出資しています。 この衛星が持つ巨大なアンテナが太陽光を反射して明るく見える可能性があるため、天文学者たちからは懸念の声が上がっていました。先日このアンテナが実際に展開さ

            「地球上で天文観測できないなら宇宙に行けばいいじゃない」:月面天文台の話

            人工衛星や様々な光害・人工電波が天文観測の影響を受けるという話題になるとこのようにおっしゃる方もいらっしゃいますが(念のため、宇宙開発業界の方から言われたことはありません)、残念ながらそう簡単ではありません。もちろん宇宙望遠鏡を打ち上げるのが大変とか地上のほうが望遠鏡を大きくできるといった理由もありますが、望遠鏡を宇宙に気軽に設置できるような時代には、宇宙でも天文観測が難しくなっている可能性もあるだろうと思うのです。 というわけで、今回は月面電波天文台の話を。 月は常に地

            星空を守るための文献情報(随時更新)

            過剰な人工光を抑えて星空を守るためには、どのような光がどれくらい影響しているのか、そもそも人工光がどれくらい出ているのかなどを科学的に把握しておくことが重要です。その参考になる論文が、実は結構出ています。ここでは、最近の文献を一覧にまとめてみます。いくつかは今後詳しく文献紹介していきたいと思っています。まだまだ文献調査の途上ですので、有用なものを見つけ次第ここに追加していく予定です。 (最終更新:2022年11月11日) 人工光の測定についてCampaign of sky

            光害対策ガイドラインを読む

            不適切な明かりで周囲や空が照らされる。これによって起きる害を「光害(ひかりがい)」と呼びます。光害があると星が見えなくなるのはもちろんですが、動植物を含む生態系に影響が出たり、人の健康に影響が出たり、交通の妨げになったりと、星好きだけに限らず広く影響があります。 光害をどうやって抑えるか。そのためのガイドラインを環境省が作っています。光害対策ガイドラインです。初版が作られた1998年から何度か改訂され、最新版は2022年3月版。LED照明の普及を反映したものが公表されました

            星空を守るためのnote、始めます。

            夜8時、南東の高い空には木星がひときわ明るく輝いています。南の少し低い位置に見えるのは、土星。西の空には、織姫星であること座のベガがまだ輝いています。地球のきょうだい惑星たちや有名な一等星たちは、街明かりの中でもはっきりとその姿を見せてくれます。 街明かりの中でも。 もし街明かりがずっと暗ければ、他にもたくさんの星が見えるはずです。いえ、街明かりはあってもよいのです。虚空に向かう光だけを抑えれば。 エネルギー価格が高騰する今、光を空に捨てているのはもったいないですし、明