【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ① かしわ 『ノノノマーチ』(宮城県気仙沼市)
ついに COLLECTIVE はじまりましたね。47都道府県、津々浦々、とまではいきませんが、徐々にパークに届く ZINE を紹介していきます。
2020年、記念すべき1冊目は、東北の小さな海の町から届きました。宮城県気仙沼市を拠点にイラストや写真、デザインなどの活動をしているかしわさんの ZINE『ノノノマーチ』です。今年3月に PARK GALLERY で開催された、グループ展『FLAT ART IN TOKYO』にも参加していたので、記憶に残ってるひとも多いかと思います。当時は山形でアートやデザインの勉強をしている大学生でしたが、無事卒業して、今は自然の恵みにあふれる海の町へ。やさしい眼差しで切り取られた、とてもパーソナルだけれど、やさしい ZINE が1冊目で、うれしく思います。
ほんとは今年の3月、
お別れする大切な友人に送った
ちいさなアルバムでした。
3月のちょっと寂しい行進曲
『ノノノマーチ』に登場しているモデルは(おそらく)仲の良い友人。「親友」とか「おさななじみ」とか。きっと遠くのどこかとかに旅立ってしまうのだろう、もうなかなか会えないね、と、別れ際に渡した手紙を、ぼくらはこっそり覗き見をしているような気持ちになる。彼女の性格、彼女の魔法、彼女の才能、写真の中の彼女のまなざしはどこか他人とは思えない距離でそこにあって、どんどん読み手の思い出の中に近づいてくる。同時に、夜、小さな波の音に耳を澄ませながら、彼女のことを思い遠くを見つめている「わたし」の存在も浮かんでくる。ノクターンのようなマーチ。3月のちょっと寂しい行進曲。2人はそれぞれの道を進む。
宮城県気仙沼。2011年3月11日。大きな傷を受けたこの港町は、*森と海の恵みが豊かな港町。一度訪れたことがあるけれど、忘れられない景色と体験が胸に焼き付いている。この ZINE みたいに、明るいんだけれど静かで少し寂しい別れのにおいがする町だったなと、思い出した。
*気仙沼で長年にわたり牡蠣養殖業を営む畠山重篤さんによる『森は海の恋人』が名著です。自然の大切さを教えてくれます。
レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)
作家名:かしわ(宮城県気仙沼市)
東北のちいさな海のまちで暮らしています。
イラスト・写真・デザインなどの制作活動中。
https://www.instagram.com/kashiwawawa
【 地域の魅力 】
自然豊かな海のまち。海産物が新鮮でおいしい。
【 オススメ 】
① 喫茶マンボ ... レトロな雰囲気のお店で期間限定のいちごババロアなどが有名。
https://www.facebook.com/kissamanbo
② モーランド ... 牧場の動物たちとふれあえ、ひたすら癒されます。
https://www.moolandmotoyoshi.com
③ 気仙沼『男山』 ... 日本酒のお店。地酒の『蒼天伝』はお魚にぴったり。お土産にぜひ。
https://www.kesennuma.co.jp