見出し画像

よし、俺も天下を取ろ。#本とエッセイ『成瀬は天下を取りにいく』

無いよ、ネタバレなんて。
どうも、コーシです。

自分という人間を分析した際、どのような言葉で表すのが適切だろうか。
世の中の一つ一つを一言で表すなんてことは無理だと思う。
それによって生まれる誤解を考えるのも面倒し、生まれてきた以上は一言では収まらない中身がすべての対象に存在する。

ここまでの文章ですでに自分という人間がよく分かるじゃないか。
よく悩む人だ
”言葉で表す”と言った手前、その文章の裏側によぎる”そんな簡単なもんじゃない”という反対意見。
言葉一つによる誤解に対して寛容さは無く、完璧に伝えようとするが故に着地点からどんどん遠ざかっていく。

そんな私だからこそ、特に尊敬する人がいる。
細かく言えば尊敬する人の特徴なのだが、それは”淡々と生きる”人だ。

おそらく、彼ら彼女らの中にも迷いや悩みはドでかく存在しているはずだが、うなだれる素振りを見せる直前に既に手が動いている。
周りから見れば「何を考えているか分からない」とか「悩みが少なそう」とか言われやすい人だ。

実際のところ、一見”淡々としている”人と深く話し込んでみると、私と同じように悩んでいる。
しかし、「そんなこと考えているとは」なんて思ってしまった自分を恥じると同時に、その人を尊敬し、また、心配もしてしまう。
周りからその人は「悩みがなさそう」とか言われてしまうのだ。
だからこの人の悩みや辛さを想像できる自分でありたいとか思うが、そんな杞憂な私をよそに彼ら彼女らは手を動かしている。

そんな”淡々としている人を人はよく”天才”とか”センスが良い”とかいう言葉で区別する。
目に見えない場所も全てがみんなと同じ、”死に物狂い”で生きているのに。
だから私は”センスが良い”とか”生まれつきの才能”とかいう言葉が嫌いだ。
全てそれぞれの手で培ったものなのに。
そんなことを悩む私をよそに彼ら彼女らは手を動かしている。

そしていつの間にか、その一歩一歩が想像もできない場所にまで続いていたりする。

自分の心配をしすぎた方が良い

私も尊敬の念を持つ以上、”淡々と”生きてみようと試み続けているが、こうしてnoteに長ったらしく語ったり、親友とファストフード店でだべりまくって時間を潰す始末だ。
もうこれはこれでいいんじゃないかとも思う。


まぁ、私は結局いつもの調子だ。
内から見ても外から見ても滑稽に死に物狂いだ。

そんなことを思いながら過ごしていたら、今年も本屋大賞が発表された。
今まではこういった受賞作は何となく知っておく程度で、自分の趣味に合いそうな本を片っ端から読んでいたのだが、今年からは読書の幅を広げたいので、本屋大賞を買おうと心に決めていた。

大賞に選ばれたのは『成瀬は天下を取りにいく』
読んでおきたい本を一通り読んだ後、大学の帰り道に早速本屋さんに向かった。
今後人生で何度もいうが、本屋さんで本を買う瞬間の心が大好きだ。


我慢できず帰りの電車で読み始める。
それは何ともタイムリーな内容だった。
私が尊敬する”淡々と生きる人”のイメージがそっくりそのまま主人公の成瀬あかりだった。


なぜ私が”淡々と生きている人”に憧れるのか。
その理由が分かった。
今までは特に知る気もなかった。

それは、彼ら彼女らを見ているとこの世にこびりつく冷笑的な”評価”や”肩書き”、”意見”から離れることができるからだ。

結局大事なのは「何になるか」ではなくて「何をするか」なのであって、”淡々と生きる人”が積み重ねたものの先にあるものは”淡々と生きる人”だけが納得できるもので、そこに外野の声なんて届かない。
私はその様を見ていて、気持ち良いのだ。


改めて、人生数万度目の「私もこんなんじゃいけない」である。
ただ今回はちょっと違う。

天下とは何なのか、考えてみよう。
何が天下への道につながるのか、ある一つの世界における天下があったとしてその世界の天下人は誰なのか。
何もひとつわからない。
多分それで良いのだと思う。
豊臣秀吉は武力によって天下を統一した(色々端折り過ぎ)。
でも今の時代に武力で天下を取ろうもんなら国際指名手配だ。

だからもう、とりあえず手につく物から拾って磨いて行くしかない。
そして磨いた何かに反射した景色を、自分なりに天下と名づけてみたい

きっと明日もどこかで眉間に皺がよってしまうけれど、狭い視野で狭い範囲を彩ってみようと思う。
できる限り、淡々としたイメージで。

 フクダコーシ しそとツナ缶。
 Instagram @f.kohhhhhshi_(アート投稿中!)
 Twitter @FKohhhhhshi


この記事が参加している募集

#読書感想文

191,457件

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?