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友達が 1人もいない ベストセラー ~おそらく分かってもらえない本の世界~

 私には友達が1人もいない。その要因が私の本来の人間性なのかギロリというオノマトペが永遠に付きまとうであろう目つきの悪さなのか定かではないが、それを経て経験した常人ならば立っていられないほどの数多の悲劇を記事にしたためることでひょっとしたらではあるが来世ではそれなりの見返りがあるのではないかと独特な徳の積み方を実行している。それが私が毎日投稿を続ける不純極まりない動機であった。

 しかしありがたいことにそんな私の記事の閲覧数が徐々に伸び始めた。記事の中身がエキスを出し切った昆布ぐらいフニャフニャであるにも関わらず読まれ続けていることに若干日本の未来を不安視するがこれはこれで私にとってはチャンスではないかと思った。

 ここで今まで書いてきたような下劣かつ下世話な字句が羅列したもはや走った方が早い位置での人生での低空飛行を続ける私にはふさわしい記事を全てがらりと変えて知的なインテリジェンスな学びの宝庫となるような記事へと切り替える。

 それにより今までの記事により読者の方々に植え付けられた私の薄汚れたヌートリアのようなイメージを消毒液よりも清潔感のある高貴なものへと塗り替える。そうすることでnote界の地下深くでツルハシを振り回す生活からおさらばしnoteの王道へと舞い戻るのだ。そうと決まればさっそく世界の情勢を知るためにスマホを開いてみたのだがさっそく問題に直面した。全く入ってこないのだ。

 これもnoteのためだと思いページを開いたにも関わらず聞いたことのない国や都市名を目にするたびに網膜が悲鳴を上げ、これまでの人生の中でも最速にあたるほど疾風迅雷の速度で飽きてしまった。

 そんな向上心のガス欠と私の抜きん出た読解力のなさによりこれまで通りの記事を書き続けることにした。これは私なりに脳を早すぎてゆっくりに見えるほどに回転させて導き出した結論であるのだがこの知性への完全敗北を喫した出来事とよく似たことが昔あったことを思い出した。それは私の祖母からの贈り物だった。

 大昔に当時まだ私が母性本能を失禁させるまでくすぐってくる天使のような存在であったころ祖母からは「清く正しく生きなさい」と教えられた。いまのところその3つのうち「生きる」しかクリアしていないのだが7,8年前に母親から段ボール箱いっぱいのこちらが好きなんて一言も言ったことがない煎餅とカップ麺とともに祖母から一冊の本が送られてきた。その本は当時世間を席巻していたベストセラーだった。

 子供のころから私は本をよく読んでいた。それもある時期から本の世界に没入すれば現実を見なくてすむという妄想生活の足掛かりに気が付いてからというもの、まったく運動をしなくなり炒飯を小料理にカテゴライズするほどに激太りしたが私はますます読書に夢中になった。そんな私を知る祖母だからこそ私が喜ぶと思ってそのベストセラー小説を送って来たのだろう。だが私は1ページも読まなかった。

 一応作者に敬意を表して開いてみたのだが、申し訳ないもののすぐ閉じてしまった。これは本を読むことがない人たち全体に言えることだが読書好きは全ての本が軒並み好きであると勝手に勘違いしている。

 あくまで私は星の数ほどある本の中から自分の好みにあった本を見つけ出す過程をこみで本が好きなわけで売れている本が私の好みであるとは限らなし、本を読まない人たちは本に記された言葉たちがもつ人の感情を変幻自在に操る魔性の女の如きユーティリティ性に弄ばれる熟読玩味した者だけが味わえるあのマゾヒズムな快楽を味わったことがないのだろう。きっと人生を半分損している。

 そんなことを世界情勢を調べて崩れ落ちたさいに思い出し、つくづく私は興味の無いことにはとことん順応できない社会的にダメな人間であると痛感したのだが、そうなると私はこの吐瀉物に熨斗紙を巻いたような不燃物的毎日投稿を楽しんでやっているということになる・・・私はどっちみち社会的にダメなようだ。


 

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