Pangraph

糸の開発・販売を行う三山株式会社が運営するアパレルプロジェクト。 このnoteでは主に…

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糸の開発・販売を行う三山株式会社が運営するアパレルプロジェクト。 このnoteでは主に、繊維にまつわるあれこれを解説していきます。 Instagram:https://www.instagram.com/pangraph_official/

最近の記事

こなれたニットスタイルを演出する腕まくりについて解説

ご無沙汰しております。 商品開発やクラウドファンディングの準備に追われ、note の更新が空いてしまいました。 モノづくり、販売の大変さを感じているところです。 さて、今回はクラウドファンディングにも掲載するニット商品(ロールアップモックネックニット)を使った『腕まくり』にフォーカスしたいと思います。 腕まくりをする5つの理由一般的に(特にニット製品は)、半袖を着るよりも長袖を腕まくりした方が大人っぽく、こなれた印象に見えます。 もちろん半袖には半袖の良さがあり、これを

    • これさえあれば事足りる!ガンガン洗えるモックネックニット

      ご無沙汰の note となりました。 ブランド「Pangraph(パングラフ)」の第一弾の製品が仕上がってきたのでご紹介したいと思います。 今回使用した素材は「Ventspiral」。以前 note にて紹介した、通気性があってガンガン洗える PBT(ポリエステル)素材を使用しています。 ビジネスカジュアルで着用できるニットウェアPangraph の第一弾でご用意した製品は、ビジネスカジュアル等の場でジャケットの下に着用できるモックネックニットです。 まずはどんなモノか、

      • 糸に表情をプラス!糸にとって必要不可欠な撚糸について解説

        記事ヘッダー画像に使用させて頂いた花の写真、これは Z撚り・S撚り のどちらだと思いますか? この記事を読み終えた頃には正解がわかるようになっているはずです。 撚糸=糸をねじる行為糸は単糸(1本の糸)の状態でも使用する事ができますが、用途や目的・表情の変化など様々な理由により、2本以上の糸を撚り合わせる事が多いです。 「撚り合わせる」というのは「単に糸をねじっている」という事。 そもそも単糸の状態でも糸はねじられた状態になっています。 長繊維にはねじりの無い糸もありますが

        • 通気性抜群!PBTポリエステル糸『Ventspiral』

          我々Pangraphのファースト展開商品について少し触れていきます。 現在企画を進めている商品は「ニットTシャツ」です。 ニットTシャツ、ニットTというワードに聞き馴染みのない方も多いかもしれませんが、「半袖のちょっと上品なTシャツ」と思って頂いたら良いかと思います。 普通のTシャツと何が違うの?という点ですが、カットソーと呼ばれるTシャツは、丸編みの生地でできた商品になります。生地が薄かったり、へたりやすかったりすることがあります。 横編みや丸編みの解説はこちらの記事

        こなれたニットスタイルを演出する腕まくりについて解説

          想像もつかない!「ゾッキ」という言葉

          アパレル・繊維業界には「ゾッキ」と呼ばれる言葉があります。 この言葉、どんな意味を持っているか想像つきますでしょうか? ちなみに私は初めて聞いた時、何か特殊な製造方法のことか?と思考を巡らせていました… アパレル・繊維業界には独特で特殊な専門用語がたくさんあります。 過去に紹介した「番手」なんかもそのうちの一つですよね。 今回は「ゾッキ」という言葉について紹介します。 パンストの製造方法まず「ゾッキ」という言葉の前に、パンティストッキング=パンストの製造方法について紹介

          想像もつかない!「ゾッキ」という言葉

          横編みニットの編地製造現場に潜入!

          以前、織物と編物の違いについて記事にしました。 今回、Pangraph ブランドの製品の製造現場(横編みの工場)にお邪魔してきました。 テキストではなく画像を中心に、機械が動く様子を少しでも体感してもらえればと思います。 いかがでしたでしょうか。機械と現場の雰囲気を味わって頂けたでしょうか。 実は動画も撮影させて頂いたので、また後日アップしようと考えています。 横編み機には、家庭用編み機・手横編み機・自動制御編み機があります。 今回ご紹介したのはコンピュータによる自動制

          横編みニットの編地製造現場に潜入!

          「織物」と「編物」の違いと特徴を詳しく解説!

          私たちが普段来ている衣服は、大きく分けて2種類の仕組みからできています。 それは「織物」であるか「編物」であるか、です。 「織物」なのか「編物」なのかで使用される糸のスペックが変わったり、それぞれ得意・苦手分野があったりします。 今回の記事ではそんな「織物」と「編物」の違いと特徴について解説していきます。 経糸と緯糸の交差で作り上げる「織物」織物とは、糸と糸を組み合わせて平面状の生地を作る技術です。糸を縦糸(たていと)と緯糸(よこいと)に分け、経糸の間を緯糸が走り抜ける事

          「織物」と「編物」の違いと特徴を詳しく解説!

          PETだけじゃない!PBTポリエステルという選択肢

          化学繊維の代表格であるポリエステルといえば、一般的にPET(ポリエチレンテレフタレート)ですが、他にもポリエステルには様々な種類が存在します。その中でも今回はPBT(ポリブチレンテレフタレート)に焦点を当て、PETやPTT(ポリテトラメチレンテレフタレート)と比較しながら解説します。 ポリエステルの基礎知識ポリエステルは、化学繊維の中の合成繊維の一種であり、天然繊維のように植物や動物から取れるものではありません。ポリエステルは、石油化学製品から作られる化学繊維で、その製造プ

          PETだけじゃない!PBTポリエステルという選択肢

          繊維の長さによる違い(短繊維と長繊維)

          衣料品に用いられる繊維には、「短繊維」と「長繊維」があります。 「天然繊維」と「化学繊維」のコンビに近しい概念にはなるのですが、微妙に違ってきます。 天然繊維と化学繊維について記事はこちらから。 今回は繊維について知る上でも重要な短繊維と長繊維について執筆していきたいと思います。 繊維の長さが短い短繊維(ステープル・スパン)= 紡績 短繊維とは、長さが数ミリメートルから数十ミリメートル程度の繊維のことを指します。1本1本の繊維が短い為、撚りを加えながら(ねじりながら)

          繊維の長さによる違い(短繊維と長繊維)

          天然繊維と化学繊維の比較と選び方

          繊維には、天然繊維と化学繊維の2種類があります。 この記事では、天然繊維・化学繊維の中から代表的な素材をピックアップし、その特徴について記載していきます。 自然の恵みを纏う天然繊維天然繊維は、主原料が天然素材のもので、『植物繊維』と『動物繊維』の2種類に分けられます。 主原料がコットン(綿)・リネン(麻)など植物のものを『植物繊維』といい、熱や洗濯などの摩擦に強い特徴があります。 またシルク(絹)・ウール(羊毛)・カシミヤ(山羊)などが主原料のものを『動物繊維』といい、

          天然繊維と化学繊維の比較と選び方

          番手の謎解き!糸の太さを理解する

          「番手」とは、糸の太さを表す単位のことで、繊維業界において重要な指標の一つです。織物やニット製品の品質や外観に影響を与えるため、繊維業界においては必ず覚える必要がある用語です。 番手には、「綿番手」「毛番手」「デニール」など複数の概念があり、用途やその計算方法を説明します。 恒重式番手と恒長式番手番手表記ごとの説明に入る前に、「恒重式番手」と「恒長式番手」について解説します。 恒重式番手 恒重式番手は、一定の重さを基準として測定する方法で計算されます。「ある重さに対し

          番手の謎解き!糸の太さを理解する

          自然の恵みを身近に感じる!綿の栽培から収穫までのプロセスを解説

          この花はなんでしょう? 正解は綿の花です。 綿は植物繊維の代表格。 植物繊維とは、天然繊維に分類される繊維の総称です。 綿の他に、リネン・ラミー・ヘンプなどの麻も植物繊維に分類されます。 今回の記事では、綿の栽培から収穫までの流れを紹介します。 綿と言えばこんなイメージを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。 綿花は成長し花を咲かせた後、コットンボールという実を付けます。 そのコットンボールが枯れて弾けると、中から白いあのふわふわのワタが出てきます。 収穫した

          自然の恵みを身近に感じる!綿の栽培から収穫までのプロセスを解説

          自信・熱心・邁進

          Pangraphの運営元である三山株式会社は大阪府に本社があります。 70年以上続く繊維専門の企業で、現在の代表は3代目になります。 法人を設立した初代会長が掲げていたスローガンがこちら。 せっかくなので、一つ一つの言葉を辞書で引いてみました。 自信 熱心 邁進 まずは自分に自信を持つこと。 その自信があれば物事に集中できる、一生懸命になれる。 熱心になれば、雑念を忘れどんどん前に進める。 自分に自信を持つ為には、まずは何よりも興味・関心を持つことが重要だと考えま

          自信・熱心・邁進

          繊維ビジネスにおける川上・川中・川下とは?

          繊維業界には、「川上」「川中」「川下」という言葉があります。 これらは、繊維産業における原料から製品までの生産・供給の工程を表しています。 川上とは、繊維の原料を扱う分野です。主に綿花、羊毛、シルクなどの天然繊維や、ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維の生産を担っています。川上で行われる工程には、原材料~糸にするまでのすべての過程が含まれます。 川中とは、繊維を加工する分野です。織物やニットなどの生地の生産から、染色・整理・縫製など、販売商品として仕上げていく工程が含まれ

          繊維ビジネスにおける川上・川中・川下とは?

          繊維の奥深い世界! 糸の基本を解説

          我々の本業は糸を販売する会社です。そもそも「糸」って何なのでしょうか。 糸とは、繊維を撚り合わせてできた細長い物質のことを指します。 生活に欠かせない様々な用途で使われていますよね。 衣服や布製品に使われる原材料であり、編物用や刺繍用、織物用、縫製糸などすべて「糸」です。 糸には、様々な種類がありますが、素材によって異なる特性を持っています。 例えば、綿糸、ウール糸、シルク糸、ポリエステル糸などがあります。 (洋服を買った時についている品質表示タグに記載されていますよね。

          繊維の奥深い世界! 糸の基本を解説

          「Pangraph」という名前に込めた想い

          「Pangraph」 「パングラフ」 「ぱんぐらふ」 はじめは言い慣れないなと感じていましたが、案外すぐに馴染んでくるものですね。 「Pangraph」という名前は、接頭辞としての「pan」と、図表を意味する「graph」を掛け合わせたものです。 ブランドコンセプト 「素材が持つ力とあらゆる可能性を一つの衣服に描く。」 ①どんな素材をチョイスするか(原料・糸) ②素材の活かし方(生地・製品設計) 素材のチカラを存分に活かした商品を作るにはどんな仕様にすればいいのか

          「Pangraph」という名前に込めた想い