見出し画像

PETだけじゃない!PBTポリエステルという選択肢

化学繊維の代表格であるポリエステルといえば、一般的にPET(ポリエチレンテレフタレート)ですが、他にもポリエステルには様々な種類が存在します。その中でも今回はPBT(ポリブチレンテレフタレート)に焦点を当て、PETやPTT(ポリテトラメチレンテレフタレート)と比較しながら解説します。


ポリエステルの基礎知識

ポリエステルは、化学繊維の中の合成繊維の一種であり、天然繊維のように植物や動物から取れるものではありません。ポリエステルは、石油化学製品から作られる化学繊維で、その製造プロセスは複雑であり、繊維の品質やその形状を様々に調整することができます。ポリエステルは、比較的安価で豊富なバリエーションを持っている為、多くの衣料品や家庭用品に使われています。

化学繊維について書いた記事はこちらから。


PET(ポリエチレンテレフタレート):もっとも広く普及しているポリエステル

PET(ポリエチレンテレフタレート)は、ポリエステルの一種で世界中で広く使用されている繊維の一つです。PETは天然素材である綿や麻と比べて、耐久性や耐摩耗性、シワになりにくいという利点があり、化学繊維の中でも特に使われる頻度が高い素材です。

PETは、飲料ボトルや食品容器などにも使われることから、プラスチック素材としても広く知られています。PETの繊維は熱処理によって強度を増したり、染色性を向上させたりすることができます。また、リサイクルにも適しており、環境に優しいリサイクルポリエステルなども近年では注目されています。

繊維としては衣類の50%以上がこのPET繊維と言われています。


PBT(ポリブチレンテレフタレート):ストレッチ性のあるポリエステル

PBT(ポリブチレンテレフタレート)は、伸縮性があることが特徴の繊維です。同じく伸縮性のある糸で知られている「PU(ポリウレタン)」や「PTT(ポリトリブチレンテレフタレート)」に比べるとストレッチ性は劣るとも言われていますが、パンツなどのストレッチ性が必要な生地などにも、多く使用されている繊維です。

繊維自体がバネのような形をしており、ストレッチ性があることで、ふっくらと厚みのある生地に仕上がり、ハリ感が出ます。また捲縮性によって、PETと比較するとボリューム感の割に軽く仕上がる事も特徴です。

PETと比べて生産設備は少ないです。


PTT(ポリトリメチレンテレフタレート):ソロテックス®で有名なポリエステル

PBTよりもさらに高いストレッチ性、キックバック性(弾性回復力)を持つのがPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)です。
PTT繊維の中で有名なのが、旭化成により開発され現在は帝人フロンティア株式会社が運営するソロテックス® -SOLOTEX®-。

1990年代に原料となるトリメチレングリコールの安価な製法が確立され、開発が活発化した比較的新しい部類の繊維です。
①2GT ②3GT ③4GTと呼ばれるポリマーがそれぞれ①'PET ②'PTT ③'PBTを構成します。
GTの前の数字が①、③の偶数ではなく、②の奇数であることが理由で、PTTは生産が難しいとされてきました。

100%石油由来のPBTに対して、一部バイオ由来(トウモロコシ由来)の部分もあるため、今後ますます発展していく繊維だと考えています。


なぜPBTを選ぶのか?

ポリエステルは総じて、短繊維にした際にピリング(毛玉)が起きやすい欠点を持っています。程度に差はあれど、PET・PBT・PTTどれにおいても言える事です。
しかし、極まれに抗ピル(耐ピリング)性能をもったPBT短繊維も存在します。
(そんなPBTは Pangraph ブランドのメイン素材として登場予定です。)
抗ピル性、ほどよいストレッチ、キックバック性…私たちが企画するニットセーターにおいて、ガンガン洗える耐久力と着やすさを兼ね備えたPBT繊維はとても魅力的な素材だと考えています。

短繊維と長繊維についての記事はこちらから。




~ 2023春夏シーズン、クラウドファンディングにて商品販売予定! ~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?