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イギリスの名門私立校のオープンハウス

私たちは、日本とシンガポールで富裕層向けにファミリーオフィスを運営しています。イギリスで予定していたオープンハウスがコロナ禍のためオンラインでの開催になったので、10歳の娘の進路の参考にと参加しました。

学校の担当者も生徒も自宅からオンラインで参加していましたが、校長先生自らイベントをファシリテートし、どういう生徒にきて欲しいか、学校の特徴を他の担当者や既存の生徒たちに質問を振りながらアピールしていたのが印象的でした。

今回紹介する3つの学校は、学校の成績、実績、知名度の観点からイギリス国内でも人気がある学校です。また留学生の割合が他のイギリスの名門私立校よりも多いことも特徴です。

今まではイギリスに訪問してではないと叶わなかったオープンハウスへの参加がオンラインを通じてでできることは、海外留学をしたい生徒や保護者にとっては有難い機会です。

海外留学を考えてないという方でもイギリスのトップの私立校がどのような哲学を持って学校を運営しているか、先行きが不透明な社会で学校生活を通じて生徒達にどのような能力を培ってもらいたいか知ることができると思います。

1.  ウィコムアビー Wycombe Abbey School のオンライン・オープンハウス

「好奇心が旺盛で、何でも試してみたい、学校にいる間に自分の情熱を発見したいと考えているような生徒に是非来て欲しいと思っています」と校長先生が言っていたのが印象的でした。

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・通いの生徒とボーディング生がいますが、16%が海外からの生徒でビザを取得していて、生徒は30ヶ国から集まっています。
・学校は、8時に始まり17:15分に終了します。その後は、オーケストラのリハーサルやラクロスチームの練習、ディベートクラブや模擬国連などの活動をしています。
・スポーツプログラムはとても充実しています。年間を通して主要なスポーツがあり、秋学期と春学期には、クロスネットボール、水泳、スカッシュ、そして夏学期にはクリケットがあります。バドミントン、馬術競技、キックボクシングまで幅広く、誰もが興味を持っているものに参加する機会があります。
・7年生以上の生徒は1日のうち授業がない時間があるので、その隙間の間に宿題をしたり、予習をしたりすることができます。また、自分の興味に基づいた独自のカリキュラムを組むことができます。
・コーディングクラブは本当に人気があり小学生の女の子の多くは、コンピュータ・コーディングに夢中になっています。IGCSEやAレベルでコーディングを選択することもできます。
・アメリカとイギリスの大学への入学を全面的にサポートしています。また、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリアの大学なども1つか2つ選んでもらっています。すべての大学と連携して、生徒の興味のあることを調べて大学進学のサポートをします。
フォームの時間には、大学準備レッスンと呼ばれるより深く自分の好きな科目を探求する機会があります。
・入学を希望する場合は、生徒が今通っている学校の校長に手紙を書き推薦文を依頼をします。また生徒は、20分間のインタビューを受け、Wycombe Abbeyに来て、チームビルディングの活動をしてもらいます。13歳では、批判的思考や活動の能力を見るためディベートをしてもらいます。
・上の学年と下の学年多くの人と知り合うことが出来き、かけがえのない友情を育むことが出来ます。同じ経験をした上の学年の人からアドバイスをもらうことができるのが、ハウスモデルシステムの特権です。
・イートンハウスの男子生徒と一緒に多くのイベントを行います。また、別の学校の男子生徒とのリーダーシップ会議もあります。
・プロの素晴らしい歌の先生がいて、多くの個人レッスンを行っています。学校の聖歌隊など様々な歌の発表の機会があります。音楽で、オックスブリッジ大学の奨学生になった子もいます。
・特定の分野で苦戦をしていている子には、毎週、定期的にサポートを提供しています。
・キャリアプログラムはとても充実していて、14歳、15歳の早い時期から生徒を個別にサポートしています。学校を卒業し大学に進学して、その後の人生を一つのキャリアで過ごすというような古典的なキャリアのルートは過去のものとなり、ポートフォリオ・キャリアの方が重要になってきています。そのため、私たちは様々な講演者や専門家を招いて、生徒たちにキャリアについて話をしてもらっています。


2. チェルトナムレディースカレッジ Cheltenham Ladies’ College のオンライン・オープンハウス

第二回は、ウィコムアービーと人気を二分するイギリス名門女子私立校のチェルトナムレディースカレッジです。11歳から18歳までの女子が美しい丘陵コッツウォルズで学びます。オープンマインドの考え方を大切にしていて、様々な文化や背景を持つ国際的な学生が多数在籍していることが特徴です。

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・丘陵地や森林地帯、川に隣接しているのでこれらの自然の中でフィールドワークをします。
・9年生では、キャンプ カヌー、自転車、セーリングまであらゆるスポーツを体験することが出来ます。また、地理学のフィールドワークではキャンプを行います。
・学校には帰属意識やコミュニティの一員であるという感覚があり、誰もが同じように学校の先生、施設やネットワークを利用できる機会を提供します。
・学校では素晴らしい美術の施設や面白いクリエイティブなプロジェクトが沢山あります。
・学校は、オープンマインドの考え方を大切にしていて、意見、視点、背景、文化的経験の多様性を持ちます。
・COVID-19だけでなく直面しなければならない大きな課題が沢山あります。気候変動問題や世界的な問題の解決策を得るために国際的な協力を必要とすることがあるでしょう。思慮深く思いやりがあり好奇心旺盛な生徒たちの前向きな姿勢を後押しします。
・ポジティブなマインドセットや行動を取るために粘り強さを必要としています。独立した女性の教育におけるエンパワーメントを体現するために一緒に成長していきます。
・これはマララさんの写真ですが、彼女は大学に来て話をしてくれました。彼女はノーベル平和賞を受賞したばかりで、他人の権利のために戦っていました。自分の地域に戻って 女性や少女の権利や教育へのアクセスや 機会のために戦っています。
・これからの世の中は既存の教育法が通用せず、ゲームチェンジャーとなるでしょう。これらの変化がどのようなものになるのか 正確には分かっていませんが、私たちがどのようにアプローチしていくかということを考えなくてはなりません。
ゲームチェンジャーにはコーディングも必要です。今後どのようなキャリアを選択するか、どのような大学を選択するか、コーディングを習うことで波及効果があるかもしれません。
・私たちの学校の成績を見てお分かりになるように素晴らしい生徒が集まっていますが、成績だけでなく生徒の人間性にも興味を持っていて、学業、夢や願望とのバランスを見つけることを目指しています。
・色々な活動を通じて自分自身を学び、学業の成果を補完するスキルを身につけていきます。ストレスや不安を感じる日もあるでしょう。どうやって人生のバランスをとるか コーディネーターと話すことが出来ます。
・毎週の時間割の中で、ウェルビーイングに焦点を当てた時間を確保しています。生徒は、金曜日の午後や土曜日の朝に利用しています。
・2008年2012年から国際バカロレアを始めました。これは、校長が始めた大学の価値観と本当によく共鳴しています。IBとは6つの学問科目を学ぶディプロマプログラムです。標準レベルの3つ、またはそれ以上のレベルの3つで、 数学、言語、科学を履修しなければなりません。

・言語 、美術・音楽・演劇、科学のいずれかを 選ぶことができます。生徒は知識の理論と呼ばれるものを通して、知識の本質について学びます。独立した研究論文を完成させなければなりませんが、これは大学への移行に向けての準備であり独立性を高めるものです。そして、創造的な思考力を養うために、様々な創造的な活動を行うことに積極的でなければなりません。
・哲学的探究の授業は、文系科目を一つにまとめて、異なる科目間のつながりを見られるようにするものです。7年生から9年生では、スペイン語、中国語、フランス語、ドイツ語から選択します。9年生では、GCSEの内容のいくつかの授業を始めます。また、イタリア語も選択できるようになります。
・75%から80%の生徒が物理、科学、生物の3つの理科から選択し履修します。土曜日の午前中にはアクティビティやスポーツを行います。学校の行事がなければ、土曜日の午後は好きなことをして過ごします。
・文化祭や音楽祭のようなフェスティバルもあります。男子校であるウィンチェスターの生徒と一緒に科学シンポジウム、イベントやディベートに参加します。


3.  ブライトンカレッジ Brighton Collegeのオンライン・オープンハウス

ブライトンカレッジは2019年にSunday Times のEngland’s Independent School of the Year に選出され、海外にも積極的に進出しています。バンコクに1校、UAEに3校(アブダビ、ドバイ、アルアイン)にあり、この夏にシンガポールに5校目が開校します。

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オープンハウスは、エントリーポイントごとに分けて行っており、私は13歳向けの回に参加しました。生徒を交えての学校紹介で、学校生活の様子が話の中心となっています。

・クラスのサイズは15~17人です。共学は社会性を高めるのに役立ち居心地の良い場所から何か変われるかと思い寮生活を選びました。学校での経験が終わる頃には、みんなと友達になっていて緊張しなくなっていることに気づくでしょう。
・学校は、本当にフレンドリーな雰囲気だと思います、男女の間で、お互いを尊重し合うことが多いと思います、これも共学校の良いところで、お互いにどうやって親切な行いをするのか学ぶことができます。家庭的な一面もあります。毎朝もしくは一日の終わりにチャペルに行きます。みんながお互いに気を配っています。
・私が一番好きなのは 子供たちに配られるリストバンドで 、そこには無作為に親切な行為が書かれています、 毎週月曜日の朝、校長先生が2−3人の生徒に声をかけ、その子の親切行為を述べてくれます。お互いを大切にすることを心に留めておくことができます 。
・劇ではリハーサルの時間が長くて大変なところもありましたが、最終的にはみんな仲良くなり、最高の経験でした。
・天候が悪ければ学校の敷地内で試合をすることができますし、他の人にも試合を見てもらうことができます。プールもあります。
・私は生物学が好きでしたが、先生方がとても熱心なので、ここで自分の情熱を高めることができたと思います。素晴らしい解剖の時間や大学レベルの研究室が 学校にあるのも素晴らしかったです。
・学校は、生徒を好奇心を伸ばすような環境とシラバスがあります。シラバスは専門家によって教えられています。生徒が授業のため建物に行くと、教師は生徒を待っていてどんな質問もいつでも相談することが出来ます。
・私は、パン作りクラブ、ケーキデコレーションに参加してきました。またギターが得意で、ギターアンサンブルやギターカルテットなどのグループに参加してきた子もいます。学校にいたほとんどの時間、何人かのメンバーと一緒に演奏してきました。そういった時間から私たちは本当に強い友情を育んできました。
・子供たちの入学時には、できるだけ多くのクラブや活動に参加するように勧めています。そうすることで生涯の友だちを 作ることができるからです 。また、自分はダンスが下手だと思っていても、そうではないかもしれないので、何かを始めてみてはどうでしょうか。あるいは、アカデミックなクラブをやってみたいと思ったら、新しい言語を学びたいと思ったら始めてみましょう。学校はこのような活動をサポートしてくれます。
・ブライトンカレッジの壁を越えて 地域社会で何をしているのかという質問ですが、私たちは地域 ネットワークがあり、どのような形で コミュニティに関わっていくのかいつも考えています。
・各ハウスにはハウスチャリティという時間があって、支援をしたり募金活動をしました。私たちのハウス・チャリティは、今年はブラジルの小さなチャリティをしました。ブラジルに2つの孤児院を持っていてネグレクトされたり虐待されたりした子供たちを収容しています。昨学期、私は数人で学校でボートやサイクリングマシンを使って自転車を漕ぎました。学校全体が参加して 食料品を買うために 1600ポンドの寄付を集めました 。
・週に沢山の時間、ボランティア活動をしていました。特に今は、危機的な状況の中で、何百人もの子供たちが電話を取ったり、人に電話をかけたりするボランティア活動をしました。
・私のグループは、ビーチに行ってみんなでゴミ拾いをしました。次の年には老人ホームに行って、音楽や演技などのパフォーマンスをしました。老人ホームからまた来てくださいと言われたことをとても覚えています。
・寮は六人部屋で、いつでも質問ができるように手厚い家庭教師制度がありました。7年生からは、コンピュータ、工学、企業技術、芸術、演劇、音楽、スポーツなどについて学びました。
・IBの哲学的な探究は、異なる科目の間のつながりについて学びます。各教科のつながりや物事を局所的に見ないことの重要性を改めて思いました。また、歴史、宗教学地理、ラテン語、外国語も選択できます。

このnoteは、ブログの3つの記事に加筆して作成しました。

ブライトンカレッジ
http://panasiaadvisors.sg/blog/brighton-college-open-house/
ウィコムアビー
http://panasiaadvisors.sg/…/wycombe-abbey-school-open-house/
チェルトナムレディースカレッジ
http://panasiaadvisors.sg/…/cheltenham-ladies-college-open…/


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