見出し画像

11月23日「終わってる男」|取り立てて特徴のない18才フリーターと、彼の日記

またトシさんがキレた。

彼がキレる理由は理解できる。オレが彼のオーディオを雑に扱ったからと、食器洗いと風呂掃除を彼がやったからと、そして彼の機嫌が悪かったからだ。
キレられてもしょうがない。

オレが気に食わないのは、いつもトシさんはキレるまでひたすら静かだということだ。噴火するまで小言はおろか、嫌な顔さえしないのだ。
彼は黙ってオーディオの整頓をし、皿と風呂を洗い、そしてすべてを一括払いでキレてくれる。オレに落ち度があればその時に言えばいいのに、とも思う。でも、オレもトシさんに そんなことは言わない。

オレがこの家に求めるのは、地元を離れて住める場所でしかない。申し訳ないが、オレもなかなか性格が悪いのだ。


先月、ここでは自分を律して生活すると心に決めたが、そんなもんは時が経てば忘れてしまうのな。確かに、オレの怠惰を挙げればキリがない。ジョギングはしなくなった。バイクも汚いまま。ゆきち(猫)のトイレ掃除も怠ける。
でも それもしょうがないじゃん、って今は思ってしまう。

これはオレの悪い癖だと思う。諦めぐせ、いや反省しない癖と言った方が良いかもしれない。


数年前、オレは後悔することを意識的にやめた。
人生、後悔はしたくない。○○になってしまったという後悔をする代わりに、○○でむしろ良かったと自分で言い聞かせるようにした。あらゆる事柄に。
しかし オレはその時期から、反省することもできなくなってしまったのかも知れない。その結果が今の怠惰なオレだとしたら?

あの時の自分は間違いだったのだろうか。失敗だっただろうか。
失敗かどうかはオレが決めるのか。…決めていいのか?

だったらあの時の自分を失敗だ、間違いだなんてオレは思わない。
なぜならオレは反省しない人間なのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?