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WiLL-basedマネジメントとは何か?Vol.3~WiLLベースマネジメントとウェルビーイングの関係性(前半)~

リスナーからの組織に関するあらゆるお悩みに応えていく、Pallet Radio「はたらきがい向上委員会」。全8回にわたりPalletが提唱している「WiLL-basedマネジメント」について解説します。

パーソナリティーを務めるのは、当社代表の羽山暁子と、当社メンバーで組織開発のエキスパートとして様々なコミュニティのプロジェクトマネージャーを務める(株)そしきのコーチ代表の小松由(こまつ ゆう)氏。

当ラジオはPalletに関わってくださる方限定で公開しており、その内容を一部修正して書き起こしたものをお届けいたします。

▼前回の記事はこちらから▼

小松:今日は「ウェルビーイングとWiLLベースマネジメントの関連性を紐解いていこう」というテーマでお送りします。まず最初にウェルビーイングの定義について確認していきましょう。パーソルのHPから引用を紹介しますね。

Well-being(ウェルビーイング)とは、Well(よい)とBeing(状態)が組み合わさった言葉で、「よく在る」「よく居る」状態、心身ともに満たされた状態を表す概念です。元々は「健康的な・幸せな」を意味する、16世紀のイタリア語「benessere(ベネッセレ)」を始源としています。
Well-beingという言葉自体は、1946年のWHO(世界保健機関)設立に際して、設立者の1人であるスーミン・スー博士が定義づけした「健康」にはじめて登場しています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康は、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない
(出典:厚生労働省 昭和26年官報掲載の訳)
従来の健康が身体的に良好な状態を表す狭義の概念であるのに対し、Well-beingは身体的・精神的・社会的にも良好な状態、とより広い概念を表していて、また「状態」としていることからも一時的・瞬間的に良好かどうかではなく、持続的に良好であるとしていることがその特徴です。一方で、幸せと訳されることの多い「Happiness」は一時的・瞬間的な、精神的な面での幸せを表します。Well-beingはこのHappinessを包み込むような一段大きな概念です。

パーソルHPより引用

 

ウェルビーイングのベン図(パーソルHPより引用)


という定義ですが、Pallet流のウェルビーイングの捉え方と違和感はなさそうですね。今日のテーマはWiLLベースマネジメントとウェルビーイングはどう繋がっているのかなのですが、あっこさんここの切り口から話したいなと思ったところはありますか?

羽山:私がウェルビーイングというワードを初めて聞いたのが2012年だったんですよ。青山・表参道・原宿の色々な場所で同時多発的にセミナーを行う『遊識者会議』に参加した時に、たまたまカフェの一角で話をしていた人が前野隆司さんで『はたらく上で幸せな状態じゃないと、いい仕事ができないよね!』とすごく熱く語っていたんです。

 けど、その当時のわたしは「分かるけどそれって綺麗ごとだよね?」って心の中で思いながら聞いていました。その時の私は、社員40名のIT企業で、人事を一から立ち上げて組織開発を行いながら、IPOを果たす直前のフェーズにいました。パーソルの時よりも死ぬほど働いていて、心も若干病んでいる状態のところにいきなり、「心と身体が良い状態で社会と繋がっていることが、はたらく上でとても重要です」とか言われても、なにをバカなことを言ってるの?それじゃ稼げないし、前に進んで行かないよ!って思っていました。


 だからウェルビーイングって言われても、全然ピンときていなかった一方で、こんなはたらき方をずっと続けられるわけじゃないという感覚もあり、違うはたらき方をしたいなと思う自分もいました。

小松:顕在的な自分は懐疑的な反応を示していても、ちゃんと本心のところには響いていたんですね。とても大事なことですよね。

羽山:前野さんがウェルビーイングの研究をオープンにし始めたのが2008年なんですよね。その当時は誰もピンときていなかったと、前野さんご自身も振り返ってお話されていました。

小松:時代背景とかもありますよね。

羽山:2008年にリーマンショックがあり、そこから立ち直ろうとした矢先に東日本大震災があったことで、日本全体が「生きるって何だろう?」ということを考え始め、失われた20年を取り戻すために、もっとスタートアップを増やしていかなきゃいけない…という時風だった気がします。

小松:今の時代の環境も、当時と似ているところもあれば違うところもあると思うんですけど、だいぶウェルビーイングという言葉自体が一般的にも聞くようになってきましたね。それこそ大企業ではウェルビーイング経営といって経営戦略として掲げているところも出てきているわけですよね。ここ10年での時代の変化は大きいですよね。


羽山:マネジメントとか組織開発ってアメリカが主導している分、アメリカの流れや投資家がどこを見ているかという観点の影響が大きいですよね。流れの事例としては人的資本経営があるけど、地域の中小企業様と話していても、開示請求があるわけでもないし、ウェルビーイングをやっていかなければならない義務があるわけでもないのに、真ん中の部分でやっぱりここが大事だと仰られる経営者の方は前より増えていると感じます。

小松:東北の企業様もウェルビーイングが大事だと捉え始めているのは素晴らしいですね。一方でマネジメントスタイルは依然として旧体制のままで、上意下達のままであったり、WiLLを育むことが難しいことから、若手社員や管理職の方たちが悩んでいるということが前回は語られていましたが、そことウェルビーイングとWiLLベースマネジメントの関係性として接点になりそうなところって、どんなところにありそうですか?

羽山:ワークライフバランスという言葉が出始めたのが2002年頃だと思うのですが、聞いた当時あまりにもピンとこなかったんですよね。ワークとライフってバランスさせるものじゃなくて、今風に言えばインテグレーション…つまりごちゃまぜであるものだと思う。ライフ(暮らし)というものがあって、私たちの人生というものがあって、人生を幸せに生きるための1つのパーツとしてワークがあるわけです。なのにバランスと言われた瞬間に、ワークとライフが分断されて両方あるような感覚になってしまう。

 それってナンセンスで、私たちは普通に心があるわけだから、出勤前に夫婦喧嘩をしたり、朝から子どもを怒鳴りつけてしまったということがあってから会社に行ったら、当たり前のように心の状態は良くないわけです。なんであの時喧嘩しちゃったのかな、怒鳴りつけちゃったのかな…とモヤモヤした状態で仕事に向かうことが当たり前にあり、その状態で仕事に向かえば当然のようにパフォーマンスは下がりますよね。そういうことが今だったらいろんな研究がされているから、データ的エビデンスがあるから誰もが納得するけど、研究が進んでいなかった15年前なんて、当たり前のように仕事に向かう時は家庭であったことを切り離して、最高の状態でのパフォーマンを強いられている時代があった気がします。


 でもそれって無理じゃないですか。その人個人にあったことを当たり前に人間として同僚や組織が許容しようよ、というのがウェルビーイングだと思うんです。「子ども怒鳴りつけてきちゃったら落ち込むよね、ちょっと給湯室でコーヒーでも飲んで気持ちを落ち着けてきたら?」とか言ってもらえたらありがたいですよね。そういう組織の在り方が、結果として組織や上司に対するエンゲージメントが上がることに繋がるだろうし、その人も落ち着いて仕事に向かい合うことができる…それが心と身体が良い状態で社会と繋がっているウェルビーイングな状態であるよね、ということです。

 組織側も個人に興味関心をもって、良い状態でなければサポートしたほうが結果的にその人個人が良い状態になり、エンゲージメントが上がるので企業にとっても個人にとってもハッピーですよね。それをWiLLにつなげて考えると、個人がどういう心の状態ではたらきたくて、どういう社会的なつながりを持ちたいと思っているのかを組織側が知っていないと、サポートもできなければ、個人の状態の良し悪しも分からず暗中模索になってしまうということが大きいですよね。

小松:時代の変遷と共に大企業も中小企業もウェルビーイングが大事だと言われ始めているけれど、それをどう育むかという実践論としてWiLLベースマネジメントに着目することで、実現できるのではないかということが伝えたいことですし、クライアントさんとの関りのかなで実証できていそうなことでもあるってことですよね?

羽山:そうですね、まとめていただきありがとうございます!今回改めて時代を振り返りながらお話をさせていただきましたが、時代の変遷と共に私たちの価値観も凄く変わっているし、それもとても良い方向に変わり、人間らしい方向性に変化していることが感じられて嬉しくもなり、勇気づけられる時間にもなりました。

小松:ありがとうございます、また次回更に深堀して参りましょう。


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