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人は誰でも魔法使い☆

「毎朝トースト」という、
ただただ毎朝のトーストを上げるだけのInstagramアカウントを持っているため、
「今日のメインは何にしよう?」
「メインの食材を引き立てるには、何を組み合わせよう?」
と、毎朝、試行錯誤している。

例えばこないだは、桃のトースト。
バターと、シナモンじゃなくカルダモンの、繊細な香りを合わせてみよう。
トマトのときは、バジル、オレガノ、スイートマジョラムを使うことが多い。

そんな風に、ハーブやスパイスをあれこれ振りかけてると、何だか絵本の魔法使いになった気分。
そんな私の、ハーブ、スパイス好きを後押しした、シリーズものの小説がある。

エリス・ピーターズ『修道士カドフェル』

中世のイングランド~ウェールズを舞台にした、ミステリー小説。

主人公カドフェルは、十字軍帰りの、ちょっと風変わりな中年修道士。
修道院の薬草園で、東方から持ち帰った種も含めて、たくさんの薬草を育て、施療院での治療などに使っている。
薬草園にある作業小屋は、人目につきにくいこともあり、いろんな人がやって来る。
事件の容疑者や、親の反対を押しきって来た若い男女...カドフェルはそんな人々を匿い、怪我などがあれば、必要な薬草を与える。
その姿はまさに魔法使い!

いつか街中に、カドフェルの薬草小屋みたいに、いろんな人がやって来て、癒される場を作れたらいいな、と思う。
現状は主に自分のための料理に、瓶詰めのハーブやスパイスを振りかけているだけなのだが、それでも魔法を使っている気分になれる。

「魔法使い」と言えば、本業のメイクについて、モデルさんが「メイクという魔法使い」と表現してくれたことがあった。
確かにプロの技術って、全てが魔法のよう。
モデルさんの表情やポージングでの表現だって、カメラマンのシャッターが、その一瞬を切り取ることだって。

画家の筆から生み出される色や形。
料理人の、食材の持ち味を引き出す切り方や隠し味。
植物を育てる人は、適切に水や肥料を与え、美しい花を咲かせ、艶やかな、滋養に溢れる実を実らせる。
アスリートやダンサーの、躍動する肉体の美しさ。
小説家が綴る言葉の連なりが、現実とは違う世界に連れていってくれること。

ひとりひとりが、それぞれの魔法を使っている。

そんなことを言うと
「自分は特別な職業じゃないし、特技もない」
という人がいるかもしれない。

けれども、
整理整頓された家に住んでいることだって、
ベランダの小さな植木鉢に花が咲くことだって、
「あなたといると、ほっとする」と言われることだって、
全部、魔法だと思うのだ。

それぞれの魔法の力が、気兼ねなく、遺憾なく発揮され、
お互いの足りないところを補い合えるのが、理想の社会だよな、
と思いながら、日々生きている。

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