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いつまでも変わらぬ心

6年程前から、ここハワイでお世話になっているおじいさんがいる。彼は、台湾出身である。彼を初めて見たとき、わたしのおじいちゃんが生きていたら、彼みたいに元気だったかなぁ。と思った。そして、彼の笑顔は特別、わたしのおじいちゃんの優しさを思い出させた。また、毎朝海に泳ぎに行く背中が、わたしのおじいちゃんの安定した背中を思い出させた。

彼は80歳くらいだと思う。彼が生まれた時、台湾は大日本国帝国だった。両親は家で日本語を話していて、日本人のように学校教育を受けた。今わたしが日本語を話せるのは、その時に勉強したからだと言う。おじいさんは、7歳くらいの時に戦争が終わり、それからは北京語を覚えなくてはいけなくなったと言っていた。日本は、昭和22年(1947年)の日本国憲法の発布により、大日本国帝国が正式に終焉を迎えた。

ある時、台湾のお土産をくれた。紫芋のスイートポテトのようなお菓子だった。これは、日本人が作った工場のおまんじゅうだよ。オイシイよ。と言って、お菓子をくれた。彼は日本が大好きだ。この前も、ソーラン節を大きな音で聴きながら道を歩いていた。台湾に帰る時も、必ず日本に寄ってから帰るそうだ。
 わたしは「どうして日本がそんなに好きなんですか?」と聞いた。

「北海道に行きました。場所の名前はなんだったかな。忘れちゃったけどね。あそこで、海から川に帰るサケを見ました。サケががんばって川の流れに逆らってのぼる。あれはボクだと思いました。」

彼のお孫さんも日本が大好きで、日本のファッションにとても興味があるという。孫を連れて、日本と台湾に旅行に行きました。また日本に行きたいですね。楽しかった。そう言って、彼のお孫さんを応援する姿に、わたしはまた、わたしとわたしのおじいちゃんを重ねていた。

もうすぐ北海道のきらきら輝く川の水面に、鮭が帰っていく時期になる。太古から引き継がれるたくさんの自然や歴史がある場所が、いつまでも平穏でありますように。


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絵・ハイビスカスと金魚 2012
日本文化が溢れるハワイを感じて


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菩提寺にそっといる
おじいちゃんの刻字

Aloha



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