🎨芸術:作為的なものを嫌う

陶芸の世界では「作為的」な面が見えると嫌う傾向にある。「わざとらしい」行為が嫌われるのと同じ使い方だ。

炎に焼かれて耐えきれずに歪んだものは「良し」とされるが、炎に焼かれたように見せて曲げると途端に「NO！」を突き付けられる。

人間関係もわざとらしい態度で気をひこうとすると嫌われることはよく知られている。

絵画の世界ではこのことについてはあまり話に出ることはないようだ。

ぼくは陶芸作品が好きだったので、絵にも「作為」を感じると、興醒めしてしまう。

ドラマチックな光の構成やわざとらしい構図なども好きではない。
そういった絵を「美しい」と言う人も多いので、ぼくの話を真に受ける必要はないけれど、私たちが観る現実世界にはドラマチックな経験や作為的な出来事はほぼない。
それどころか、全くの普通の状態から「どう考えるか」を問われることの方が多い。

ぼくは、そういった現実の偶然に満ちた日常を切り取りながら「どう考えるか」の答えによって決定していく。

その答えは自然でありながら普遍的なものを含むはずだ。
普遍的なものは私たちの「好き嫌い」には関与せずに存在しているものだ。
それを表すことが「芸術」の仕事であり、それを鑑賞する者の答えがそれでもある。

作為的な美に心を奪われることもいいかもしれないが、多くの人が求めているのはそういったことではなく「普遍的」なものではないのだろうか。

普遍的なものとは何の変哲もなく、好き嫌いや優劣とは関係なく存在しているので気づかないことも多い。

派手な人は良くも悪くも目立ち、まともで普通の人は目立たない。
しかし、まともで普通の人が本来あるべき姿なのだ。心はそれを必ず理解するだろう。そこにあるもののその奥にそれはあるのだ。

それを観ることができるなら芸術の仕事は成功したといえるのではないかと最近そう思う。

その普遍的なものを見出すには努力が必要だ。それがなければ「好き嫌い」の話にとどまり、つまらないものを重要だと言ったりするようになるに違いない。