Takashi Koike

米国特許事務所に勤務する弁理士です。 日米の知財ニュースや実務の中で気になったことなど…

Takashi Koike

米国特許事務所に勤務する弁理士です。 日米の知財ニュースや実務の中で気になったことなどを不定期で更新していきます。 2021年に日本のJD、2023年にアメリカのLLMを修了しました。目下Washington D.C.の司法試験に向けて勉強中。 なお、執筆内容は個人の見解です。

最近の記事

D.C. BAR EXAMの結果報告

7月30日、31日に受験してきました、ワシントンD.C.の司法試験結果が届きました。ここ数年は10月の25日前後に結果が発表されていたので、ここ数日はちょっとドキドキしていました。 私、普段は夢を見ない(見たことを覚えていない)人間なのですが、ここ数日は、合格した!という夢と、不合格・・・という夢を交互に見たり、ちょっと不安定でした。笑 で、結果ですが、おかげさまで無事に合格しておりました☆ 本当に良かったです。 スコアとしては、合格点266点のところ、291点(論文式

    • Patent Term Adjustmentのエラーについて

      既にご存知の方も多く、今さらかな~と思いアップしていなかったのですが、当事務所へのお問合せも数多くいただいておりますので、簡単に概要等をお話させて頂こうと思います。 Patent Term Adjustment のおさらい。 Patent Term Adjustment(PTA)は、審査の遅延等に起因する特許期間を調整する制度です。 ざっくりいえば、権利化までの手続において米国特許庁側の対応が遅かった場合、損させた分を権利期間として上乗せします、という制度になります。

      • 年内でAFCP 2.0 Pilot Programは終了

        Federal Registerでの正式発表は現地時間の10月1日ということなので、この記事を書いている時点では未公開の情報ですが、USPTOがAFCP 2.0 Pilot Programを年内(12月14日まで)で終了すると決めたようです。 USPTOが計画中の改訂料金案の中で、AFCP 2.0の申請費用を有料化($500)するという話があったので、AFCP 2.0の制度は今後も続けられると考えていた矢先、正直驚きました。 USPTOの説明によれば、有料化に対するユーザ

        • USPTOの新料金は・・・

          以前、米国特許商標庁(USPTO)が料金改定を計画しているという記事を書かせていただきました。 USPTOの発表では、2025会計年度中(2024年10月1日~2025年9月30日)に新料金の適用を予定している、という話でしたが、現時点までで正式な発表はありません。 過去の例から、2025年1月に開始されるのでは、と予想をしている人(私もその一人)が多いと思いますが、これも確定情報ではありません。 なお、弊所のメンバーが今週シカゴで開催されたIPO(Intellectu

        D.C. BAR EXAMの結果報告

          Inherencyと102条, 103条拒絶の関係

          以前、「米国特許七不思議」などという大それたタイトルで記事を書かせていただきましたが、惜しくも七不思議から漏れてしまったテーマとして、Inherencyという法理(Doctrine)があります。 今回は、この inherency について少しお話させていただければと思います。なお、新しい判例が出たとかではなく、すでに確立されている法理について説明させていただいている記事ですので、米国特許実務に詳しい方からすれば目新しい内容とはなっておりません。予めご了承いただければ幸いです。

          Inherencyと102条, 103条拒絶の関係

          US特許アップデート(雑記)

          お休みを頂いていた期間に起きた、米国特許に関するニュースをまとめてみました。既にご存知の方も多い情報だと思いますが、メモとして残しておきたいと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。 1.Terminal Disclaimerの運用に関する改正(案) 一つ目は、米国特許商標庁(USPTO)が5月10日に発表した、Terminal Disclaimer(TD)の運用に関する改正案です。「案」なので、まだ決定ではないですが、なかなか衝撃的な内容かと思います。 日本では

          US特許アップデート(雑記)

          特許適格性に関するアップデート

          既にご存知の方も多いかと思いますが、7月17日にUSPTOが特許適格性(Patent Eligibility)に関するガイダンスを更新しました。 今回の主なポイントは、AI関連発明に関する抽象的概念(Abstract Idea)の考え方について、近年の判例を基にした解説と、事例(Examples 47-49)の追加といえるかと思います。 追加された事例47-49はこちら。 なお、初めてガイダンスが作成されたのが2014年の12月、その後2019年の1月と10月に2度内容が

          特許適格性に関するアップデート

          とりあえず。

          7月30日、31日に行われたD.C. Bar Examを受験してきました。写真は試験会場のDC Armoryというところです。中はとにかく大きい体育館、といいう感じでした。 なお、他にも試験会場はあったのですが、ここの試験会場が一番大きく、約1200人がここで受験しています。 2日間だけなので日本の司法試験に比べれば短いですが、やっぱり疲れました。できれば二度と体験したくはないですが、手応えがあったかと聞かれると何とも言えないので、とりあえず朗報が届くことを祈るばかりです。

          とりあえず。

          雑記。

          本日2件目の投稿です(急に暇になったわけではありません。w) まとまりのない内容ですが記事を書かせていただきました。 クライアント訪問 年明け~2月末まで、BOSSとクライアント様を訪問させていただきました。時期的に新年のご挨拶も兼ねた形となりましたが、弊所としては、定期的な近況報告&クライアント様からのフィードバックを頂く場としてお時間を頂戴しました。 定期的な近況報告をさせて頂く場合は、弊所の実績報告ということで、過去1年間(今回であれば、2023年1月1日~12月

          USPTO:自明性判断のガイダンス更新

          前回に引き続き、USPTOのアップデートのお知らせです。 Updated Guidance for Making a Proper Determination of Obviousness 「適切な自明性判断の仕方」についてのガイダンスということですので、主に審査官向けの資料になると思いますが、このガイダンスを把握しておくことで、発明が自明であるとして103条で拒絶された場合に、その拒絶理由が妥当なのか否か、という判断ができるのではないかと思います。 では、具体的にどの

          USPTO:自明性判断のガイダンス更新

          USPTO新ガイドラインの発表

          2024年1月10日付で、実施可能要件 (Enablement Requirements) に関する新たなガイドラインが米国特許商標庁 (USPTO) から出されました。 ガイドラインの全文はこちら。 新ガイドライン概要 今回のガイドラインは、昨年に出された最高裁判決 Amgen v. Sanofi を受けて作成されたものになります。 なお、Amgen事件はバイオ関連技術の事件ですが、新ガイドラインは、審査及び審判において実施可能要件(米国特許法112条(a)項)を検

          USPTO新ガイドラインの発表

          DOCX Filing本格始動前のおさらい

          DOCXについては、既に何度か情報発信をさせていただいているので、今さらかも知れませんが、いよいよ年明け2024年1月17日よりDOCXが本格始動します。 DOCXの本格始動により、DOCX以外の形式(具体的には、従来のPDF形式)での出願を希望する場合は追加費用($400)を納めなくてはなりません。 新しい制度に対してはまだまだ不安を感じている出願人もいると思いますので、出願人の方々にはぜひバックアップ用PDF(Auxiliary PDF)の活用をお薦めしたく思います。

          DOCX Filing本格始動前のおさらい

          米国特許七不思議SEVEN WONDERS OF US PATENT PROSECUTION

          こちらの記事は、パテントサロンさんのクリスマス恒例企画、知財系もっと Advent Calendar 2023用の投稿記事となります。知財系Advent Calendar 2023も合わせてお楽しみください。 はじめに 本日は、米国で権利化を経験されたことのある方であれば感じたことであろう米国特許審査あるあるから、Why American people!? と言いたくなる(かも知れない)点を七不思議としてまとめてみたいと思います(↑はい、厚切りさんのパクリです。知財人とし

          米国特許七不思議SEVEN WONDERS OF US PATENT PROSECUTION

          半導体関連技術に関するPilot Program

          既にご存知の方も多いと思いますが、米国特許商標庁(USPTO)がSemiconductor Technology Pilot Programなる試行プログラムを12月1日に開始しました。 概要について簡単にご紹介したいと思います。 プログラム導入の背景 本パイロットプログラムは、2022年の Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors (CHIPS) Actという法律(以下、CHIPS法)の成立を受けて設けら

          半導体関連技術に関するPilot Program

          米国意匠エージェント?

          2日続けて意匠の話題です。 米国特許商標庁(USPTO)に対して代理人として手続をするには、Patent Barと呼ばれる試験に合格し、USPTOに代理人として登録しなければなりません。 これは日本の弁理士も同じようなものですが、日本の弁理士が特許・意匠・商標(正確には、小特許とも言われる実用新案を含みますが)の全ての手続をすることができるのに対し、米国のPatent Barは特許と意匠のみで商標の手続をすることはできません。したがって、試験範囲も異なります。 米国の法律

          米国意匠エージェント?

          コンピュータ関連意匠に関するUSPTO内部向け意匠審査ガイダンスの発行

          1か月に1度くらいは記事を更新したいと思いつつ、前回の投稿から早2か月が経過してしまいました。継続は力なりとはよく言ったもので、継続するというのは実に難しいものだと実感しております(言い訳w)。 さて、今日は意匠審査基準についてのお知らせです。といっても、外務向けの審査基準MPEPが改訂されたというニュースではなく、あくまでもUSPTO(米国特許商標庁)審査官向けのSupplemental Guidanceが発行されたというお話になります。 詳しくは、政府発行のFeder

          コンピュータ関連意匠に関するUSPTO内部向け意匠審査ガイダンスの発行