半導体関連技術に関するPilot Program
既にご存知の方も多いと思いますが、米国特許商標庁(USPTO)がSemiconductor Technology Pilot Programなる試行プログラムを12月1日に開始しました。
概要について簡単にご紹介したいと思います。
プログラム導入の背景
本パイロットプログラムは、2022年の Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors (CHIPS) Actという法律(以下、CHIPS法)の成立を受けて設けられました。
CHIPS法については、Googleなどの検索エンジンでいろいろと情報が出てくるので詳細は省きますが、アジア(特に中国)が半導体事業に積極的に取り組んでいるのに危機感を感じた米国が、半導体供給能力の拡大とシェア回復を目的として成立させた法律といえるかと思います。
USPTOによる本パイロットプログラムは、CHIPS法の目的を具体的に推し進めるための一手といえ、半導体装置の製造能力増進、製造コスト削減といった発明に関する特許出願の審査を促進することを目的としています。
プログラムの概要
本パイロットプログラムの適用を受けた出願は、早期審査の対象となります。
プログラムの期間は、2024年12月2日まで、又はプログラムの適用件数が1000件に到達するまでとされています。
プログラム適用の要件
出願の種類
プログラムの対象となる出願の種類は以下の2つとされています:
(1)非継続特許出願
(2)仮出願を除く特許出願又は国際特許出願の優先権を主張した特許出願(ただし、優先権の主張は1つのみに限定)
技術分野
下記2つの共同特許分類CPC(Cooperative Patent Classification)中のいずれかの半導体装置の製造方法又は製造装置に係るクレームを1つ以上含むことが要件とされています。
(1)Class H10:半導体装置;他に分類されない電気的固体装置
(2)Class H01L:クラスH10に包含されない半導体装置
ほぼ全ての半導体装置が対象になるのではないかと思いますので、半導体装置の製法や製造装置に関する特許出願であればプログラムの適用を検討してみても良いと思われます。
手続的要件
(1)Patent Centerを使った電子特許出願で、かつDOCX出願であること
(2)プログラムの適用を申請するためのPetition(Form PTO/SB/467)を、出願日又は国際出願の国内移行日から30日以内に提出すること(申請費用は無料)
その他
本プログラムを申請できるのは、発明者一人につき5件までとされています(出願人ごとではありません)。
注意点としては、プログラムの適用件数が5件ではなく、申請件数が5件となっていますので、申請して不受理となった場合でも本プラグラムを使える件数が減ってしまう点でしょうか。