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米国意匠エージェント?

2日続けて意匠の話題です。

米国特許商標庁(USPTO)に対して代理人として手続をするには、Patent Barと呼ばれる試験に合格し、USPTOに代理人として登録しなければなりません。
これは日本の弁理士も同じようなものですが、日本の弁理士が特許・意匠・商標(正確には、小特許とも言われる実用新案を含みますが)の全ての手続をすることができるのに対し、米国のPatent Barは特許と意匠のみで商標の手続をすることはできません。したがって、試験範囲も異なります。

米国の法律の立て付けにも特徴があり、米国では意匠は特許の一部とされており、正確には意匠特許(Design Patent)と呼ばれます。日本と異なり、独立した意匠法はなく、特許法中のあるセクションにおいて意匠が規定されています。このため、米国では意匠の専門家もPatent Attorney, Patent Agentと呼ばれます。

一方で、実務的には特許と意匠はやっぱり別物という感覚もあり、特許はやるけど意匠はやらない、あるいはその逆、というケースも珍しくありません。

そんな実情を踏まえてか、USPTOでは新たに意匠のみを対象とする試験Design Patent Practitioner Barを導入するそうです。

こちらは、技術的なバックグランドを受験資格とするPatent Barと少し異なり、industry design, product design, architecture, applied arts, graphic design, fine/studio arts, or art teacher educationといったバックグラウンドがあれば受験できるようです。
もちろん、これまでのPatent Bar受験に必要な技術的なバックグラウンド(工学系大学卒等)を持つ人も受験できそうですし、既にPatent Barに合格して実務をしている人が新たにDesign Barを受験する必要もないようです(
Patent Barは特許と意匠の両方を含む試験ですので、当然だと思いますが)。

PatentとDesignを分けよう、という意図ではなく、技術的バックグラウンドがなくPatent Barを受験できない人に向けたDesign限定の資格を追加します、というもののようです。

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