マガジン一覧

2023年8月アイルランド旅行記

2023年8月に国際比較神話学会での発表を兼ねてアイルランド旅行に行った記録です。

【写真いっぱい】アイルランドに行ってきました! part 6 4日目 ダブリン観光(前編)

第4日:ダブリン観光(前編)来たぞダブリン! 人口120万人、アイルランドの首都、文学と歴史の街! 我々が投宿したロスコモンはアイルランド中西部、ダブリンは南東沿岸の街なのでかなり距離があります。移動手段は電車になりますが、ロスコモン-ダブリン間の便は2時間半ほどかかり、一日に数本しかない上、最終便が18時台でした。よって始発と最終の便を予約しました。アイルランドでは夜には何もかも止まってしまいます。 せっかくなので道中の素晴らしいアイルランドの風景(帰り道ですが)を動画

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【写真いっぱい】アイルランドに行ってきました! part 5 3日目 アスローン観光(後編)

第3日:アスローン観光(後編)相変わらずアイルランド旅行の模様を書いていきます。前回はアスローンの街の観光を途中までお届けしました。今回はその続きになります。 前回は聖ピーター&ポールカトリック教会を見たところまででした。 その後はキリスト教関連の物品を取り扱っているお店に行きました。 店内の撮影ははばかられたので、購入したお土産を紹介します。 その次に行ったのはアスローン城です。12世紀に建てられた城塞で、現在ではビジターセンターになっています。 内部は博物館になって

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【写真いっぱい】アイルランドに行ってきました! part 4 3日目 アスローン観光(前編)

第3日:アスローン観光(前編)お久しぶりです。論文書いたりしてたらずいぶん間が開いてしまいました。今回もアイルランド旅行記を書いていきます。 アイルランド滞在3日目は、IACMカンファレンスの2日目に当たる日ですが、この日と次の日はせっかく来たのだからアイルランドをできるだけ観光していこうということになりました(自分たちの発表はカンファレンスの4日目)。 さて、元々の予定ではこの2日間ともダブリンとその周辺の神話関係の土地を巡るつもりだったのですが、2日目の夜(カンファレ

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【写真いっぱい】アイルランドに行ってきました! part 3 ロスコモン、ラスクローガンビジターセンター

第1日(続き):ロスコモンドーモ、前回の続きでロスコモンの写真をちょっとお見せします。ロスコモンはロスコモン州の中心都市です。田舎ですがホテルも3つあり地方の中心になっているんだろうと思います。

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戦神の星から

ケルト神話やケルト文化の話をします。

論文を寄稿した本が出ます part2

どーも。宣伝です。 論文を寄稿した本が出版されました! 8/26発刊の『神話研究の最先端 第2集』です。 私は共著として「アイルランドと日本における異界訪問譚の比較」というタイトルの論文を執筆しました。 異界と権力の関係に関する日本神話とアイルランド神話の比較研究で、私はアイルランド神話の担当です。 私なんかよりもすごい先生方がたくさん書かれていますので、可能ならばご購入、または図書館で借りたりして読んでください。図書館に入ってなかったらリクエストお願いします。

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論文を寄稿した本が出ます

こんにちは。今回は宣伝記事です。 私が論文を寄稿した書籍が出版されました。 12/5に笠間書院様より発行予定の『神話研究の最先端』になります。 私は『「ケルト」神話と「ケルト神話」――「ケルト神話」という語の妥当性について』というタイトルで、「島のケルト」問題と「ケルト神話」という語の使用について論じました。 私なんかよりもすごい先生方がたくさん書かれていますので、ぜひご購入ください。

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ケルト神話翻訳してみた

私はかねてより、いわゆるケルト神話を原語であるゲール語から翻訳し、noteにて公開してきました。 私が翻訳したのは「マグ・トゥレドの戦い」(Cath Maige Tuired)、「ブリクリウの饗宴」(Fled Bricrend)、「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) の三つのエピソードです。以下はそれぞれの翻訳をまとめたマガジンです。 ケルト神話といえば、クー・フリン(クー・フーリン)やスカーサハ(スカサハ)、メイヴなどが有名ですが、以下の話にはもちろん彼

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論文紹介「<研究動向>「ケルト」とは何か」(九鬼 由紀)/「ケルト研究の現在・過去・これから:近年の考古学,言語学,考古遺伝学の動向から」(常見 信代)

「ケルト」って、何でしょうか。 そう質問されたらどう答えたらいいでしょうか? 私は多分答えられません。言葉に詰まってうなり声を出すしかなくなってしまう。 なぜかというと、これはまさに今議論の真っ最中の熱い議題で、はっきりした結論が出ていない問題だからです。今回は、この議題の論点を概括した二つの論文をご紹介します。 なんとこれらの論文、現在オープンアクセスになっており、誰でも読めます。日本語でケルト学の概論的論文がオープンで読めるというのはとてもありがたいことです。

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マシュマロお返事

いただいたマシュマロでのご質問にお答えします。

マシュマロお返事5

スカーサハの娘はウアサハ (Uathach) といいます。父親については特に何も書かれていないようです。私が訳した「エウェルへの求婚」(https://note.com/p_pakira/m/mc07a94fb37f6)に登場するのでぜひ読んでくださいね。

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マシュマロお返事4

とても間が開いてしまいましたが、マシュマロのお返事です。ご質問くださった方、大変お待たせして申し訳ありません。 一つ目のご質問です。 一般には妖精とされることも、また魔法使いともされることもないと思います。前身には馬の女神がいると考えられています。 その問題についてはもちろん把握しています。散々迷った結果の選択です。最終的には、耳目に触れない限りは、どれだけ正しいことを書いても無意味だと判断しました 2020/08/21 追記: 「ケルト神話」という語を用いるときは、

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マシュマロお返事3

前回のマシュマロ返信に対し、もう一つご質問をいただきました。 まず、ご質問は「ミューテーション」についてです。"Emain Macha" における "Macha" の "M" の音が変化するのは、ミューテーションによるもので、これは "Emain" の影響です。 ミューテーションは前の単語が次の単語の語頭の音に与える影響ですので、Mornaの語形変化は関係ありません。Goll → Mac → Morna という影響関係です。なので問題となるのは Goll と Mac のミ

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マシュマロお返事2

マシュマロで再びご質問をいただきましたのでお答えいたします。今回も発音と表記に関するご質問です。 アイルランド語の "m" の音に関するご質問です。かなり細かく調べていらっしゃるようですね。私の記事も調べていただいたようで、恐縮です。 まず、『ケルト文化事典』(木村正俊・松村賢一)と表記が異なっている所は、『ケルト文化事典』の表記の方が正しいと思います。 アイルランド語の発音規則は難しくて、私もまだまだ未熟なので、間違えてしまっていますね。申し訳ありません。 "m"

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マグ・トゥレドの戦い (Cath Maige Tuired)

ケルト神話・アイルランドの伝承より、神話物語群の「マグ・トゥレドの戦い」拙訳のまとめです。中期アイルランド語より翻訳しています。神族トゥアサ・デー・ダナンと悪魔フォモーレ族との神話的戦いを描く物語です。

アイルランドの異教的伝承「マグ・トゥレドの戦い」①(¶1~¶14)

「マグ・トゥレドの戦い」(Cath Maige Tuired) は、アイルランド神話の「神話サイクル」の中でも最も重要な話です。特に英雄神ルグが中心的な活躍をし、他にもダグザ、銀の腕のヌァザ、モーリーガン、またバロル、ブレス、といった主要な神格が登場します。 「マグ・トゥレドの戦い」は「マグ・トゥレドの第二の戦い」とも呼ばれることがあります。「第一の戦い」は、同テクスト内で語られる、先住者のフィル・ボルグ族と、神々トゥアサ・デー・ダナン族との、マグ・トゥレド(塔の平原)での

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アイルランドの異教的伝承「マグ・トゥレドの戦い」②(¶15~¶23)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「マグ・トゥレドの戦い」(Cath Maige Tuired) をここに掲載していきます。 【前回】 前回は、神族トゥアサ・デー・ダナンがエーリゥに来寇し、フィル・ボルグ族を倒し、フォモーレ族と盟約を交わしたものの、神族の王ヌァザが負傷したため、フォモーレ族の父とトゥアサ・デー・ダナンの母との間に生まれたブレスが後を襲ったことが語られました。 今回は、ブレスがいかにして生まれたかが物語られるエピソードです。 ブレスの誕生 ¶15

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アイルランドの異教的伝承「マグ・トゥレドの戦い」③(¶24~¶32)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「マグ・トゥレドの戦い」(Cath Maige Tuired) をここに掲載していきます。 【前回】 前回は、神族トゥアサ・デー・ダナンの女神エーリゥが、独り寂しい環境を強いられていたところに、フォモーレ族の王エラサが訪れ、息子ブレスをもうけたという、ブレス王の誕生エピソードでした。 今回は、トゥアサ・デー・ダナンの王となったブレスが、トゥアサ・デー・ダナンの首長ダグザに強いる苦役と、それを救うマック・オーグ神の知略です。 ダグザの

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アイルランドの異教的伝承「マグ・トゥレドの戦い」④(¶33~¶41)

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「マグ・トゥレドの戦い」(Cath Maige Tuired) をここに掲載していきます。 【前回】 前回は、ブレス王の圧政に苦しめられる神族の首長ダグザと、それを知略で救うマック・オーグ神のエピソードでした。 今回は、医神ディアン・ケーフトの嫉妬のエピソードと、ブレス王の吝嗇、そして放逐です。 ディアン・ケーフトの嫉妬¶33 さてそのころ、ヌァザは治療中であり、そして普通の腕と同じように動く銀の腕が、医神ディアン・ケーフトによって

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エウェルへの求婚 (Tochmarc Emire)

ケルト神話・アイルランドの伝承より、アルスター物語群の「エウェルへの求婚」拙訳のまとめです。中期アイルランド語より翻訳しました。 英雄クー・フリンが美姫エウェルと結婚するため、女戦士スカーサハの下で修業し、奮闘する話です。

アイルランドの伝承「エウェルへの求婚」について

1.タイトルと分類私が翻訳した「エウェルへの求婚」について説明します。(訳文など、「エウェルへの求婚」記事一覧はこちらからどうぞ) アイルランド語ではTochmarc Emire。EmireはEmerの属格単数形で、クー・フリンが求婚する女性、エウェルです。このmの音(mの軟音)はアイルランド語に特徴的な音で、日本語にはない音です。ものによってはvの音と説明されることもありますが、また少し異なります。私の個人的な意見ですが、牛の鳴き声の音に似ている気がします。日本語で表記す

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ケルト神話「エウェルへの求婚」拙訳記事一覧

本ページはケルト神話「エウェルへの求婚」(拙訳)のまとめページです。「エウェルへの求婚」のあらすじなどは「概要」を、訳文を読む場合は「本文」以下の各番号を、登場人物や用語については「登場人物・用語一覧」を、それぞれクリックしてください。 概要 登場人物・用語・地名一覧 本文 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 「エウェルへの求婚」マガジン(本ページと同じ記事の一覧)

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「エウェルへの求婚」登場人物・用語・地名一覧

ケルト神話・アイルランドの伝承「エウェルへの求婚」の登場人物、用語、地名一覧です。本編はこちらからお読みください:https://note.mu/p_pakira/m/mc07a94fb37f6 登場人物 ・クー・フリン:アイルランド北部アルスター国きっての英雄。この物語、及びアルスター物語群の中心人物。その名前は「クランの犬」を意味する。半神半人の英雄であり、平時は美青年だが、戦いとなると変身し、歪で醜悪な巨体になる。その力の強さ、戦闘技術の巧妙さ、そして気性の荒さから、

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アイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(アルスター物語群)①:¶1~10

私が翻訳したアイルランドの異教的伝承「エウェルへの求婚」(Tochmarc Emire) をここに掲載していきたいと思います。 「エウェルへの求婚」は複数の写本に書かれており、それぞれバージョンが微妙に、あるいは大きく異なりますが、それらについてここで細かく示したりはしません。また原テクストを載せてもあまり需要がないと思いますので、訳文のみを載せることにしたいと思います。脚注での解説なども省きます。 「エウェルへの求婚」はパラグラフに分けて書かれており、全部で92のパラグ

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