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【旅レポ】英国道中膝栗毛 ロンドン・ロンドン・ロンドン その⑩

前回 ↓

前回までのあらすじ;二日酔いで承太郎に頭部を破壊されたDio様みたいにグロッキーなっていたお湯は、元気を出すためランチをとることを提案した。が、焼きそばにしか見えない謎の食べものを貪るハメになった。とてもじゃないがジョセフの血を摂取したDio様ほど回復したとは言い難い状態だったが、あーだこーだ言っててもしょうがないので、次の目的地である大英自然史博物館へ向かうことにした。

その20「アニオタ気質を発揮した日本人、大英自然史博物館を高速で徘徊する事件」

 正体不明の食事を済ませた我々は、大英自然史博物館へ向かいました。ここは2007年にロンドンを訪れた時に、個人的には最も楽しめた場所だったので楽しみでした。

失われた21gを求めて

 その面白さについては現地の方々も把握していたと推察され、長蛇の列ができていました。
 施設の面白さもさることながら、その人気の秘訣は、入館料無料というところにもあると思われました。実はこれまでの行程で入館した公共の施設については、基本的に入場料は無料でした。あの大英博物館でさえ、無料でスルッと入ることができたのです。その代わりに、施設内には現金もしくはクレジットカードで施設に寄付することのできる装置が設置してあり、スパチャすることができるという仕組みになっています。記憶が正しければこのスパチャマシーンはなぜか館内の入り口の方に設置してあり、個人的には出口の方にも置いておいて「面白かったじゃねえか…この施設…」と満足した人もスパチャできるようにしておけばよいのにとは思いましたが(もしかしたらあったのに見逃していただけかもしれませんが)、やはりそこは入館料代わりという側面が強いのかもしれません。

 さて、僕は今回、この施設に来ることを非常に楽しみとしていました。「少女⭐︎歌劇レヴュースタァライト」のロケ地になっているからです。「少女⭐︎歌劇レヴュースタァライト」とはなんぞや? という読者の方はぜひアニメをご覧になってください。

 テレビシリーズを見ているとより楽しめる仕掛けが施してあって面白いのですが、総集編もあるので、そこから入るのも一興です。そして、新作劇場版に手を出して沼にハマってください。劇場版はすごいぜ、飛ぶぜ(早口)。
 長くなりそうなので一言でまとめると、大英自然史博物館はこのレヴュースタァライトのロケ地になっているのです。国境を越えた聖地巡礼というわけです。
 ただでさえ面白い施設なのに、好きな作品の聖地になっているとなると、これはもうテンションが上がらざるを得ません。大英博物館ではなく、こちらをロケ地としたスタッフさんたちのセンスがビカビカに光っていて「眩しい…」と呟かずにはいられません。
 時間が許せば一日中でもいたいところですが、旅行者である我々には後の行程も残されています。
 「時間がない、行くぞ! マツジュン!!」
 「応!!」
 本来はゆったりと自然と歴史を楽しむはずの大英自然史博物館。
 「あのエリアはそうじゃないか!?」
 その日の夕方にはそのアカデミックで広大な空間では、
 「これはあのオブジェじゃないか?」
 と、ロケ地を探して高速で徘徊する日本人のオタクたちが出没するという、 
 「その通りだ! うおお!写真に納めるぞ!」
 なんとも奇妙で滑稽な光景が見れたという(撮れ高は十分にありました)。

わかります…か?

 ちなみに2007年に訪れた時に飾ってあったトリケラトプスの化石標本がそっくりそのまま残っており、当時もその前で記念撮影したことがあったので、12年越しに同じポーズで撮影するなどして「人間の自然史を再現する」という割と面白い試みもでき、それなりにロケ地とは関係ないアクティビティも楽しみました。なかなかない機会なのでよかったです。

(その20「アニオタ気質を発揮した日本人、大英自然史博物館を高速で徘徊する事件」終わり)

その21「 ザ・シャード高すぎ事件」

 ザ・シャードという建物があります。三角形の珍しい形状をした建造物で、ヨーロッパで最も高い展望台があるそうです。そして、ここはヨーロッパで最も料金の高い展望台でもあるそうです。当日券は約30ポンドで、当時のレートは忘れてしまいましたが、2022年5月15日現在だと日本円にして約4,700円ちょっと。登る前から目も眩むような高さです。
 しかし大学の卒業旅行で夜景を撮影するためだけにニューヨークに行ったお湯からすれば、それを理由にヨーロッパ一高い建物から夜景を撮らないという選択肢はありませんでした。
 「財布の準備はいいか、行くぜ! マツジュン!!」
 「応!!」
 我々は昨日、入場待機列の整理を行なっていたおっちゃんにもらった謎の半券(?)を片手に、ザ・シャードへと向かいました。
 時間帯の関係からか、はたまた元旦だったからなのかはわかりませんが、意外にも待機列は少なく、比較的スムーズに受付に行くことができました。
 おっちゃんの半券の効果かなんだかわかりませんが、30ポンドよりも5ポンドほど安い入場料を支払い(いまだになんだったのかわかりません、なんだったんだろう)、塔を登るとそこには…。

 ロンドンの夜景が一望できる世界が広がっていました。
 いや、それにしても高い。高すぎます。それは高度がというより、周囲の建物との相対的な感覚です。ロンドンはニューヨークと違い、そんなに高い建物が乱立しているわけではないので、綺麗に撮れるアングルを探るのにひと苦労した…というわけです。ロンドンの人たちは昔ながらの建物を大事にしており、文化を大切にする傾向にあると聞いたことがあります。彼らにとって高層ビルが乱立する光景は「アイ・ソウ(目の痛み)」と言ってあまり好ましく感じられないようです(それでも、近代建築と昔ながらの街並みの融合は見事の一言でしたが)。
 よって、カメラを大きく俯瞰させた形での撮影になりました。約30ポンド(ちょっと割引)の夜景です。ぜひご査収ください。
 我々は見事な展望を眼前にロマンチックなひと時を過ごし(恋人か?)、レモネードで乾杯をしたのでした。尚、レモネードは一杯5ポンド(現在のレートで約800円くらい)でした。高すぎ…というほどでもないですけども…ただでさえ入場料が高いので、ここまで徹底的に相対的な“高さ“を演出してもらわなくてもいいんですよ? とは感じなくもなかったです。

(その21「 ザ・シャード高すぎ事件」)

 展望台に登ったことですっからかんになったお湯とマツジュンは、帰りにマクドナルドによってリーズナブルなディナーを楽しみ(ロンドンのマクドナルドはタッチパネルで注文する方式でした)、ホテルへと帰りました。久しぶりにクォーターパウンダーを食べました。ロンドンにはレギュラーメニューとして存在するんですね。
 こうして盛りだくさんな2020年の元旦は幕を下ろしたのでした。ようやく明日は帰国の日です。しかし、年が変わったからと言っていきなり安穏とした日々がやってくるわけでもなく、最後の日までトラブルは魔の手を伸ばしてくるのでした。最終日、我々を待ち受けるのは一体…!?
 次回、「マツジュン、中学生英語を極めし者になる事件」「先輩のせいで危うくフィッシュ&チップスを食べ損ねそうになる事件」など。ご期待ください。

V!!

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