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夏、雨の日に思うこと

日本の四季は、はっきりとしているらしい。

私は海外を訪れたことがほとんどないのでその違いが説明できないが、日本の四季の美しさはよくわかる。花や自然を五感で感じ楽しむことができる。その1つが香りだ。春夏秋冬それぞれに香りがある。それも、夏が始まるとき、真夏日、夏が終わりそうなときなど様々である。



その香りを感じるとき、懐かしく思うことはないだろうか。


例えば夏の雨の日。
 私は祖父を思い出す。祖父は畑を作り様々な野菜を育てていた。今もどんなにおいしい野菜を食べても「祖父の野菜にはかなわないな」と思うくらい。おそらく、家族に食べさせたいという愛情がたっぷり込められていたのだと思う。


 幼き頃は、じいちゃんっ子でいつも一緒にいたので、畑にもよくついて回り手伝い(邪魔)をすることがあった。虫が苦手なためにキャーキャー喚いて「じいちゃん虫とって!」「じいちゃん、こっちにも虫いる!」と苦労を10倍にしていたことは、そのときの私にはわからない。畑には祖父にはとりきれないくらいの虫がいるのだ。虫が嫌なら畑に行くなと、そのときの自分に言ってやりたい。よく『ちびまる子ちゃん』のまるちゃんと友蔵じいちゃんだと周りに言われた。


 早朝、いつも祖父はあぐらをかいてお茶を飲み、遠くの山を見ながら「今日は○時から雨だな」と言った。そして雨が降ってもいいように庭や畑の準備をする。雨が上がれば、庭や畑の様子を見に行く。それに付いていくのがなぜか好きだった。そんな夏の記憶があるからだろうか。夏の雨が降りそうなとき、雨上がりの土の匂い、いつも祖父を思い出し、涙が出そうな懐かしさを感じるのだ。



言っておくが、祖父は断じて天気予報士ではない。
しかし見事に当たる。
経験則のようなものか、前日の天気予報で仕入れたものか、はたまた天気詐欺師か…。いずれにせよ今となっては祖父にしかわからないことだ。こんなことを言っていると、天国から怒られてしまいそうである。



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