- 運営しているクリエイター
2022年11月の記事一覧
横山光輝『三国志』の魅力
※ネタバレありです。
先日の記事でさんざん司馬遼太郎を批判しましたが、私は歴史小説や歴史漫画は嫌いだったのではなく、むしろ耽溺するほど好きでした。私の世界史の知識は、もとはというと学研『まんが世界の歴史』シリーズから派生したようなものですし、前述した通り司馬遼太郎『項羽と劉邦』『竜馬がゆく』とか、海音寺潮五郎『天と地と』とか、吉川英治『宮本武蔵』とか、あとは絵本の『平家物語』とか、田辺聖子『新源
暴力は本当に減少しているのか―スティーブン・ピンカーへの反論
はじめに
冷戦末期の1989年に、民主主義と自由経済の最終的勝利を予言したフランシス・フクヤマの論文「歴史の終わり」は、大きな論争の的になり、書評だけでも150本以上寄せられたそうですが、アメリカの民主主義への疑義、権威主義やポピュリズムの台頭に直面している現代では、同論文は批判対象として枕詞のように引用されます。
例えばイワン・クラストフ/スティーブン・ホームズ『模倣の罠―自由主義の没落』で
核兵器の大統領専権と綱渡りの平和
アメリカの核兵器はアメリカ大統領のみ発射命令を出せる。命令を出せば数分以内に発射され、軍が反乱でも起こさない限り誰も止められない。核弾頭搭載ミサイルはいったん発射されたら取り消せない。つまりは大統領が「核のボタン」を押せば数分以内に1000発の核兵器が発射され、人類の文明は終わる。
違憲状態ながらも大統領に核兵器を管理する専権があるのは、そうしないと危険だと判断されたからだ。トルーマン大統領(画像