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語のしくみと、しくみの階層

語のしくみを掘り下げる

この記事ではまずは語彙学習に関連したお話を続けていこうと思います。前回の記事で語源を利用して覚える単語集を使う場合は語形成の知識が必要であるというお話をしました。今回はその続きになるお話です。

語形成というのは語の成り立ち、しくみについての知識です。これは英語を学び始めてすぐのうちは、あまり必要性が感じらないはずです。英語の基本語はラテン語やギリシア語の影響を受ける以前から英語にあった語が多いのです。これは日本語の漢語ではない語彙と似ています。日本語でも学習が進んでくると、語彙の中に漢語の占める割合が増えてきます。英語も同様でラテン語やギリシャ語、あるいはフランス語の影響を受けた語が多くなってきます。日本語の漢語のしくみの一部は古い中国語の文法の仕組みが取り入れられていますが、英語も同様で、ラテン語文法のしくみが英語の語のしくみに取り入れられています。これが語形成として現代になって体系化されたものの原形です。

語形成の知識として、まず「接頭辞+語幹+接尾辞」という語のしくみを理解します。「語幹」は独立して英語で使われている語の場合もありますが、現代英語では語としては用いられていない、ラテン語やギリシャ語に端を発する「語根」の場合があります。ここまで理解していないと語源がどう生きてくるのかがわからないまま語彙学習を続けることになってしまいます。そして語根よりも先に接頭辞や接尾辞を覚えるようにします。これは一度にリストにして覚えるよりも、高校に入ったあたりから教科書などで新しい単語に出会った時に意識して覚えていくようにするとよいでしょう。こうして考えると、語形成の学習時期は高校入学後というおおよその目安が立てられます

ことばのしくみの階層

単語だけ覚えても英語は使えません。文の中で単語がどう使われるか理解しなければなりません。文のしくみがわかっても英文は読めません。文章の中で文がどう配列されて文章が展開するのか知らなければなりません。文章の展開法がわかっても、英語を書いたり話したりできないことがあります。場面に応じたスタイルで話し、書く必要があります。ことばには小さい単位がいくつか集まって大きな単位を形づくるというしくみがあります。そしてそれぞれの単位には一定のしくみが備わっています。ことばを適切に使うには、つねにこうした部分と全体の関係を意識する必要があります。この意識を必要としないのは、母語による日常会話だけです。

接辞のような形態素がわかると、語のしくみがよくわかり語彙力の増強につながります。語彙が増えると文が理解しやすくなります。文文法がわかると、文の理解や表現がうまくできるようになります。文の理解や表現ができるようになると、文章の理解や表現が容易になります。逆に、文章がわかると文を深く理解できることがあります。文の深い理解が文法の深い理解につながります。文法の深い理解が、語、とくに動詞や形容詞の深い理解につながります。このことが語形成や強勢のしくみといった細かな知識のさらなる理解につながります。

分析的理解を起点とする「わかって、使って、感じとる」という学習過程と、興味や必要に応じて実際に読んだり書いたり話したりするという経験的な「学習」の両方が必要なのです。入試直前期においても、ただ過去問を解くだけではダメなのです。知識を身につける学習と、知識を実際に運用する学習のバランスがどこまでも重要なのです。

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