持田哲郎(言語教師@文法能力開発)

受験指導を通じて文法教育・言語技術教育を実践している言語教師です。「文法能力開発」とい…

持田哲郎(言語教師@文法能力開発)

受験指導を通じて文法教育・言語技術教育を実践している言語教師です。「文法能力開発」というソロプロジェクト的な事務所で、英語教育と国語教育の連携・融合の観点から教材制作などを行っています。その傍らで、予備校や塾で、英語・国語・小論文を教えています。

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手持ちの教材を活かす

すでに購入した参考書がある、学校で指定されて一括購入した問題集がある。でも、これじゃないやつがやりたい。そう思っている大学受験生も多いと思います。 もちろん説明が事実に反するような参考書は使いものになりませんが、そうでない限りは取り組み方次第で十二分に学習効果を引き出すことができます。特に、単熟語集や文法問題集は取り組み方で大きな差が生まれます。 留意すべきことは、例文を覚えたり文章を精読したりすること、リストに上がっている知識に不明なところがあれば辞書などで確認すること

    • ことばから離れれば敗北しか見えない

      大学受験生は、基礎は終わらせて応用に進むべき、のような話をこの時期に聞くでしょうし、それを実践している人もいると思います。しかしながら基礎は終わりません。基礎は普遍的な知識や技術ですから、応用を支えるものです。基礎から逃れることはできません。基礎から逃れることができないということは、基礎の学習を強制終了させて応用の学習に進むこともできません。 過去問演習がやりたい。これは試験を目標に学習する人であれば大学受験生でなくとも自然な欲求です。そしてこの時期までに実際に入試問題を解

      • 「慣れ」のこと

        ことばはある程度は自然に使えるのが理想です。「ある程度」というのは、改まった場面においては母語話者であってもいろいろ考えてことばを使うからです。それでも考える局面が多すぎるのは負担ですから、ある程度の慣れが求められるわけです。ここで問題となるのは「慣れ」のあり方です。 外国語学習において「慣れ」を得る方法としてよく知られているものに多読があります。Graded Readersと呼ばれる。ことばのレベルをコントロールして易しいものから読めるようにしてある教材もあります。ことば

        • 受験と職業

          持田の親の世代は高度経済成長期に就職した世代で、サラリーマンの基本給が学歴によって今よりも明確に差が付いていた時代で、かつ企業間でもその額に差がありました。このため「一流企業の大卒サラリーマン」がひとつの理想とされていました。このため、「勉強していい学校に入り、そこからいい会社に入る」ことが目標とされていました。 しかし世の中は時代と共に変わっていきます。持田の世代だと工業高校で学年トップクラスだとバブルの余韻もあって大手企業の地元支社・工場に就職していきました。大卒組はど

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          「品詞」のこと

          国語で品詞を学んでいないと、英語を学ぶときに困るという声が聞かれます。ことばの分析は知っていることばから始めたほうが直感的にわかりやすいのは確かですが、現実には国語の授業と英語の授業で連携が行われていない場合が多く、そうスムーズにはいきません。 例えば、「形容詞」という品詞。品詞は語を意味と働きで分類したものですから、形容詞も意味と働きで定義する必要があります。国語の授業では「用言」と呼ばれる、述語として用いられる活用語の1つとして扱われます。国文法の「活用」というのは後に

          大学受験の英文法について改めて

          ここで大学受験英語における英文法について改めてお話しします。まず学習の目標は、英語の文が読み書きできる知識を身につけ、使えるようになることです。この目標が達成できるなら、どのように学ぶのかは自由です。極論を言えば、この目標が達成できる見込みがあるのであれば、英文法の学習自体がなくてもよいということもありえます。 目標達成が可能であれば方法は自由といいましたが、文法知識だけでなく語彙知識も必要で、語彙学習には辞書の活用が不可欠であることを考慮すると、辞書、とりわけ学習英和辞典

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          読みの精度

          日常生活においては、あまり正確に何かを読むことは多くありません。正確に読むのは命やお金が懸かっている場合くらいで、それ以外は適当に読み流していることが一般的です。 入試問題を読んで解く場合には、解答の精度を高めて得点を安定させないといけないのでそれに伴って読みにも一定の精度が求められます。そしてそのために必要な知識や技術を得るために読む学習参考書もまた、ある程度の精度で読み込むことが必要です。 受験英語は入試問題が解けるようになるための英語学習ですから、英語を読むのに必要

          入試と受験生をつなぐ

          「受験英語」というのは、入試とそれを目標に学ぶ学習者である受験生をつなぐものです。誰がどのような入試を目指すのかによって大枠が決まります。「入試頻出」というのは当然、入試によく出ることを言うのであって、参考書によく取り上げられていることを言うのではありません。「いや、受験参考書というのは入試によく出るものを取り上げるんじゃないの?」と思う人もいると思いますが、残念ながらそうでもないのが現実です。これは受験参考書が既存の類書を参考にして書かれることが多いという事情によるものです

          文法問題の解法

          今これを必死に求めている大学受験生もいるかもしれません。解法を意識的に用いなければ文法問題が解けない状況が現状だとしたら、危機的であると言わざるを得ません。 文法や語法の知識が身についていれば、解法を意識せずとも自然に答えが導ける、というのが理想です。そしてそこに至る標準的な学習手順は、文法問題を解法で解くことではありません。 文法知識は文法問題を解く以外にも必要な知識ですが、文法問題の解法は文法問題にしか通用しません。日ごろからタイパだコスパだといっておきながら、ここに

          「実用」って、何っすか?

          「実用英語」のような「実用」って、何ですかね。「実用英語」を日常英会話のことと思っている人もいますが、日本で暮らす日本語母語話者の多くにとって、日常英会話は実用的ではありません。英語話者と生活や行動をともにする機会がなければ日常英会話の場面に遭遇しないからです。 それよりも、ビジネスなどの特定の場面、改まった場面で英語を使うことが多い、あるいは多くなりそうだから英語を学ぶ人のほうが多いでしょう。これも「実用」の範疇に入ることになりますが、学び方は日常英会話とは異なってきます

          自由な受験英語

          受験英語は、想像以上に自由です。志望校の入試問題が解けるようになるならば、そこにたどり着くための手段は自由に選ぶことができます。受験用の学習参考書を用いなければいけないという決まりもないですし、学参を用いるにしても単一のルートでいつ何を使用するのかが固定されてるわけでもありません。自分にとって適切で、取り組みたいなと思えるものを実践できれば最強です。もちろんそうした「わたしとぼくの最強の受験英語」に至るには試行錯誤は必要ですから、まずはとりあえず何かやってみたらいいでしょう。

          いろいろあっていい

          このところ、文型の学び方をいくつか提案してきました。文法を取り立てて学ぶスタンスをとり、しかも説明を先に理解するという演繹的な方法で学ぶとしても、「文型学習」という単元の展開にはさまざまなものがあるということです。 演繹的の最たるものは、文型の全体像を先につかんでしまうやり方です。ある程度英語に触れてきた人であれば、これが有効である場合も多いはずです。 逆に、「文型学習」の単元内では帰納的な積み上げ式に展開していくやり方もあります。一気に理詰めで責めていくのが辛く感じる人

          文型:いきなり全体像をつかむ学ぶ手順

          今回は、英文法を学ぶ際に、文型をいきなり全体像の把握から学ぶ手順をご紹介します。まず、英語の文は「主語(S)+述語動詞(V)」で始まるのが基本です。主語には名詞、述語動詞にはもちろん動詞が用いられます。 上に示したパターンの(+…)の部分には、動詞の意味によってさまざまな語句が続きます。語句の数は0~2個です。 ②のXには名詞、形容詞、副詞のいずれかが用いられます。名詞の場合は主に目的語(O)、形容詞の場合は補語(C)、副詞の場合は付加語(A)となります。③の場合、1つめ

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          「品詞」と「文型」という地雷原

          英文法学習、とりわけ大学受験英語のような学習期間の限られた英文法学習では、まず初めに「品詞」と「文型」を学ぼう、ということになるのが一般的です。ところがこの領域をサクサクと学んでいける人はそれほど多くはありません。これは日本語(国語)と英語では品詞の体系が異なり、文型の考え方も国文法と英文法で異なるからです。 文法能力開発では動画でも日英語の比較対照を通じた解説を試みております。「品詞」と「文型」から学び始めて混乱が生じている場合の一つの解決策は日英語の違いを徹底的に理解す

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          提案:「文型」の学習順序

          はじめに英文法のお話。以前は中学校の教科書でbe動詞と一般動詞のどちらを先に学ぶかが議論されていました。現在は「いきなり両方」なのでこの議論は強制終了しています。しかしながら、教科書での知識の扱いが変わっても、学ぶ側がみんないきなり高速学習に対応できるわけではありません。 日本語では、述語のパターンに次の4つがあります。 形容詞と形容動詞は活用の違いと考えれば、述語に用いる品詞によって動詞文・形容詞文・名詞文の3種類に分類できることになります。このうち動詞文が主に英語の一

          秋から本気出す「大学受験生」へ

          今まであまり勉強をしてこなかった大学受験生がこれから受験英語の勉強を始める場合、選択肢は2つです。 合格可能性を確実に高める学習に取り組む 入試実施日に確実に間に合う学習に取り組む 1は必ずしも翌年の入試を目指さないことを意味し、2は受かるかどうかは二の次で翌年の入試に間に合う勉強だけをやることを意味します。 もうすでに、こういう時期になっているわけです。そして、上の2つの他に、「そもそも受験勉強をしない」という選択肢もあります。高等教育は義務教育ではないので、本人に

          秋から本気出す「大学受験生」へ