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突然生まれたサッカーのある暮らし。レノファ山口とひろっぴーさんの幸せな関係

今回のOWL magazineは、『すたすたぐるぐる埼玉編』で「あなたのサッカー旅記事作りますプラン」を購入してくださったひろっぴーさんとレノファ山口の物語をお送りします。

レノファ山口がJリーグに参入したのは2015年のこと。山口県出身のひろっぴーさんは、J2に昇格したタイミングくらいからレノファの応援をはじめました。それまでプロスポーツクラブがなかった山口県。
山口県初のプロスポーツクラブであるレノファ山口が、ひろっぴーさんの週末を鮮やかに彩ってくれるようになりました。

好きなクラブを愛し、応援する人ならば、一度は通る道。レノファが大好きだからこその悩みも、サポーターの皆さんなら、思わず「わかる」と声を出して共感してしまうのではないでしょうか?


それではひろっぴーさんとレノファ山口の物語、スタートです!!

■地元にプロクラブができたことがきっかけでサッカー観戦へ

──まずはじめに簡単な自己紹介からお願いします。

ひろっぴー 私は山口県出身で、現在は東京に住んでいます。私が大学を卒業後、社会人になり上京してから、地元山口県にレノファ山口というサッカーチームができたことを知りました。レノファの応援をはじめたのは、J3からJ2に昇格したタイミングくらいですね。本格的にレノファの試合を見始めたのは、ここ4、5年くらいの話になります。

──それまでサッカー観戦やスポーツ観戦に興味はありましたか?

ひろっぴー 元々は福岡ソフトバンクホークスが好きで、野球観戦はしていました。関東で行われる野球の試合には結構足を運んでいました。野球はサッカーに比べて試合数が多いので、見に行けるタイミングが多かったんですが、最近はもっぱらサッカー一色ですね!

なかなか山口まで試合を見にいくことができないので、レノファの試合はアウェイの試合を見にいくことが多いです。ホームの試合には、4年くらい前にお盆で帰省したタイミングで実家の両親と行きました。両親もその時は初めての試合観戦でした!

──初めてのホームはいかがでしたか?

ひろっぴー やっぱりホームはアウェイと違いますよね! その時は、ゴール裏ではなくバックスタンドで試合をゆっくり見ました。京都サンガF.C.相手に試合は負けてしまいましたが、レノファの躍進を支えた岸田選手がゴールを決めたのを見ることができたので、幸せでした。山口に住んでいる両親もその時がレノファの試合は初めてだよと言っているのを聞いて、近くに住んでいても認識してないものなんだなと思ったのを覚えています。

一度スタジアムに足を運んだ後は、レノファのことを気にしてくれているようです。やっぱり、現地に足を運ぶというのはクラブを好きになってもらうには大切なことだなと実感しましたね!

──先ほど、近くにいても認識していないんだなというお話がありました。ひろっぴーさんは、もちろん地元のチームということで気になったんだと思いますが、何がきっかけで遠く離れた地元のサッカークラブに興味を持ったのか、教えてください。

ひろっぴー レノファ山口はJFLからJ2に昇格するということを、2014年からとんとん拍子で実現させていました。レノファは、J3参入初年度に優勝とJ2昇格を決めたのですが、J2に昇格するあたりから、地元にできたサッカークラブがすごく強いというような話を耳にしはじめました。そのあたりから、興味を持ちはじめたのを覚えています。でも、その時は試合にはあまり足を運んでいませんでした。

本格的に試合に通いはじめたきっかけは、はっきりとは覚えていませんが、2019年頃だったと思います。まだコロナ禍に突入する前に、甲府や水戸など、アウェイで行われた試合後にバス待ちをして、監督や選手たちからサインをもらう機会がありました。それがとても嬉しかったのを覚えています。その時に選手が少し身近に感じられて、本格的に応援をはじめました。

──私がスタジアムに通いはじめたきっかけは、街で選手たちが行っていたチラシ配りでした。選手を身近に感じる体験は、けっこう衝撃的ですよね。1番記憶に残っている試合を教えてください。

ひろっぴー 2018年6月2日にフクダ電子アリーナで行われたジェフユナイテッド千葉戦です。ロスタイムに前貴之選手がヘディングでゴールを決めた試合で、結果は2-2の引き分けでしたが、サッカーを応援することが、こんなに面白いのかと認識した初めての試合でした。

──レノファ山口のサポーターというのは、アウェイに足を運ぶ人は多いんですか?

ひろっぴー 関東のアウェイの観客は100〜300人くらいだと思うのですが、レノファのアウェイ席はとても温かい雰囲気の中に、熱いメンバーがたくさんいてしっかりと後押ししています。とってもウェルカムな雰囲気なので、是非、興味がある方がいらっしゃったら一緒に応援しましょう! 

■ひろっぴーさんオススメの山口グルメ

──ひろっぴーさんは山口県出身ということで、少し山口のことを教えて欲しいのですが、オススメのグルメはありますか?

ひろっぴー まず僕がおすすめするのは、スタジアムがある山口市内でぜひ足を運んで欲しいなと思う場所です。
〝バリそば〟って聞いたことがありますか?

──聞いたことがないです!

ひろっぴー 少し太めの中華麺を油であげた上に、あんかけをかけたものです。あげた麺をあんで崩しながら食べます。

山口県といえば瓦そばのイメージがある方も多いと思うのですが、瓦そばが有名なのは少し西側の方です。山口県は意外と広くて、各地に食べてもらいたい食べ物があるのですが、山口市内にきたら、まずはこのバリそばを食べてもらいたいです!!

あと僕がオススメしたいのは「昭ちゃんコロッケ」。僕はこのお店によく通っていました。

​​──コロッケ屋さんですか?

ひろっぴー そうなんです。コロッケは注文したら揚げてくれるのですが、それをその場で食べるのが僕のオススメなんです。ちょっと風味が甘いんです。中身にしっかり味がついていて、少し甘みのあるコロッケです。コロッケの他にも串揚げがあったりして、色々とそこで食べることができますよ。
僕が人生で食べたコロッケの中で1番美味しいと断言できます!!

■行政を巻き込んでレノ丸を押し上げたマスコット総選挙

──レノファといえば、レノ丸の可愛さが印象的です。マスコット総選挙で上位に食い込んでいるのは、オリジナル10までいかないまでも長くJリーグに加盟しているクラブのマスコットや、サポーターを多く抱えるビッグクラブのマスコット達が多いイメージです。
レノ丸が選挙に登場したのは2017年、レノファがJリーグに加盟してからわずか2年ほどです。初登場にして3位、地方のJ2クラブのマスコットとしては稀にみない大活躍だったのではないかと思います。レノ丸の飛躍の秘密、こっそり教えてくれませんか?

ひろっぴー レノ丸が3位になった年は、J2に昇格した初年度だったと記憶しています。既にその頃には、市や県をあげて応援しようという運動が行われていたという話を聞いたことがあります。私は既に上京してしまっていましたが、山口に住んでいる方からそういう話を聞きました。

──行政を巻き込んでレノ丸をおしあげたんですね!

ひろっぴー そうですね。チームもとんとん拍子で昇格していた時期でもありました。今でこそ、バスケットボールのチームができたりしていますが、山口県は元々プロスポーツクラブにあまりなじみのない土地でした。なので山口県にJリーグのクラブができたというのは、とても大きなニュースだったんですね。レノファ山口を山口県のみんなで応援しようという流れがあった中で、レノ丸もみんなで応援しようというという波に乗っての3位。その次の年はなんと2位です! もしかしたら山口の人たちは「応援する」というのが得意なのかもしれないなって思っています。

今は13位くらいになってしまいましたが、Twitterとかで声を掛け合いながら、みんなでコツコツ応援しています。レノ丸は伝統のあるクラブのマスコットたちと並んでも、負けない輝きを放っていますよ!

レノ丸の可愛いさはピカイチですからね!! 可愛いルックスもあって、サッカーを知らない人でも応援しやすいのかもしれないですね。

──レノ丸可愛いですよね。

ひろっぴー レノ丸と選手の距離が近いのも魅力のひとつかもしれません。今は移籍してしまったのですが、高井和馬選手がレノ丸とずっと仲良しだったんです。高井選手がゴールを決めるとレノ丸もとても喜んでいたり、勝利の後のラインダンスはよく近くで一緒に踊っていました。

■地元初のプロスポーツクラブが生活にもたらしてくれたもの

──ここからは、レノファ愛を思う存分語っていただきます。レノファ山口のここが自慢! というポイントを教えてください。

ひろっぴー 私にとっては、故郷の山口県にプロサッカーチームが生まれたということ自体がとても尊くて、素晴らしいことだと思っています。サッカーがある暮らしが急に生まれるなんて、なかなかない経験ですよね。
初めてできたプロスポーツクラブと共に一喜一憂する。僕は今、関東という山口から離れた土地に住んでいますが、地元のクラブと一緒に一喜一憂することが楽しみになっています。

最初はDAZNで試合を見るくらいでしたが、今は行ける限り試合に通う。試合に勝った週末の次の週は良い1週間、負けた次の週は悔しい1週間。オフシーズンは毎日移籍情報に一喜一憂しながら開幕を楽しみに待つ。

クラブを応援するということは楽しいだけではありませんが、1年を通して色々な感情が生まれるのが面白いなと感じています。

──大人になればなるほど、感情が揺さぶられる出来事は少なくなってきますが、スポーツを見ていると普通に生活しているだけでは味わえない感情をたくさん味わうことができますよね。

ひろっぴー 僕はレノファを応援するようになってから、Jリーグを見るようになりました。好きなクラブがあればそうなるかもしれませんが、好きなクラブがないと日本代表の試合を見るくらいなのかなと思っています。

それだと色々な感情を味わえる機会というのは比較的少なくなるのかなと思うので、やっぱり好きなクラブがあるというのは、決して楽しいことばかりではありませんが、人生を彩ってくれるんじゃないかなと思いますね!

もうひとつレノファの自慢だなと思うところは、サポーターの応援。
例えば相手チームの選手でも、倒れていた選手が起き上がったら必ず拍手をするのが当たり前のように行われるし、失点をしたときこそ大きな音で応援を続けて、シーンとすることがないように工夫されています。全体的に選手に対して温かいなと思います。

今はコロナ禍で歌うことができませんが、チャントも必ず全員分作っています。選手を大切に思い、もちろん勝つに越したことはないのですが、勝っても負けても応援を続けるという姿勢が僕は好きです。

■これからもずっとレノファと共に

​​──ひろっぴーさんにとって、レノファ山口とはどんな存在ですか?

ひろっぴー 最初は試合があるタイミングでDAZNをみたり、行けるタイミングで遠征に行ったりしていました。だけど今は、この週は水戸に行こう、この週は甲府に行こうというように、試合が生活のベースになっています。

DAZNで試合を見るにしても、この時間は試合だからDAZNが開けるようにスケジュールを組んでいます。レノファが中心とまでは言いませんが、僕のスケジュールの大部分がレノファ色に染まっています。

勝った週は得点シーンを繰り返し見ますが、負けた週はちょっとお休みします(笑)。早く次の試合が始まらないかなって思っています。

遊びに行くのはサッカーの試合の合間です!

​​──遊びの合間にサッカーに行くのではなく、サッカーの合間に遊びに行くんですね。どんどん日常にレノファ色が強くなってきていますよね?

ひろっぴー そうですね。ですが、2021年はレノファにとって、シーズン中に監督が変わったりとか試練の1年間でした。そういう経験もして、レノファに入り込みすぎるとまずいなと思った時期もありました……。

​​──それはなぜでしょう?

ひろっぴー 2021年シーズンは降格枠が4チームと厳しいレギュレーションであったことに加えて、勝てない日も多く、試練の1年間でした。年間を通じてかなり苦しかったと感じました。いろいろとありすぎて、試合結果ごとに一喜一憂してましたね。

特に監督が変わる時は本当にショックでした。そういうことがあったので、適度な距離感を取ろうとした時期もあったのですが、昨シーズンはなんとか向き合って応援を続けました。

​​──サポーターの中にも同じ悩みを抱えている人は多そうに感じますね。私の場合は、好きなクラブと距離を取りすぎたが故に、熱を取り戻すのに苦労しました。でも、好きだからこそ悩むんですよね!

ひろっぴー そうなんです。レノファのことが大好きだからこその悩みですね!純粋に楽しんでいたところから、次のフェーズに移行している段階なのかなと思ったりもしますね。長くサポーターを続けている方は、こういった経験はとっくにされているかもしれませんが、僕は今まさにサポーターって難しいなという問題に直面しているところです。

​​──私も応援しているクラブがありますが、思うような成績が残せないでシーズンが終わるとへそを曲げているくせに、シーズンが始まるとのめり込んでしまうんですよね。楽しむときは思いっきり楽しんで、ちょっと胸が痛いニュースの時は距離をとって、自分が楽しめる距離感というのを保つことは大事なんじゃないかなと思っています。どんな時もクラブとともに! という気持ちももちろん大切ですが、自分がずっとクラブを好きでいられる距離感を保つことも同じくらい大切なんじゃないかなと思っています。

ひろっぴー レノファはまだJリーグに加盟してから日が浅いです。これからチームと一緒に長い人生を歩んでいくにあたって、色々なことが起こると思います。僕は今、それに備えて経験を積んでいる真っ最中です(笑)

​​──今シーズンはレノファと一緒にどんな旅を送りたいですか?

ひろっぴー もちろんコロナの影響で、いけない試合も多く出てきてしまうと思います。そういう時はDAZNで試合を見ながら念を送りつつ、レノファの好きなところを沢山探していきたいと思っています。

純粋に応援することが楽しかったところから、サポーターとして一歩踏み出した感じがあるので、自分が楽しめる距離感を掴めるようにしたいなと思っています!!

​​──今年1年間、レノファと共に素敵な物語が紡いでほしいなと思います。ぜひまたお話しを聞かせてくださいね。本日はありがとうございました。 

ひろっぴーさんのレノファ山口への愛がありったけに詰め込まれた物語。
たくさんの人に読んでもらいたいので、この記事のシェア、スキをぜひ宜しくお願いします。

■引き続き、まだまだ物語の主人公を募集中です

「あなたのサッカー旅記事つくりますプラン」は、サッカー旅の話だけではなく、クラブとの出会いや思い出まで、あなたが伝えたいことにフォーカスして記事を書きます!!

『すたすたぐるぐる信州編』の先行販売でも、旅記事プランを購入できます。この機会にぜひ、自分と愛するクラブの歩みをインタビュー記事にしてみませんか? 

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