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DESIGN : Laforet HARAJUKU , ASIA 、文字を図形にした新表現

昨年秋に公開されたラフォーレ原宿のキャンペーンビジュアル。今までもファッションビルの広告に携わってきたOUWNですが、ずっとやりたかったと話す石黒の思い、デザインのコンセプトとは?

駆け出しの頃から今へ。 巡ったタイミング

石黒 : ラフォーレの中でアジアンブランドが多く集まる時期があって、そのキャンペーンのビジュアル制作をさせていただきました。
今までも商業施設だと、スクランブルスクエア六本木ヒルズなどなど、広くやらせてもらってたんですが、ラフォーレ原宿は初めて。ずっとやってみたいと思ってたので嬉しかったです。

自分が広告業界にどっぷり浸かりたいって思ったきっかけの1つがラフォーレ原宿の広告で、MR_DESIGNの前に野田凪さんというアートディレクターの下についていた時期がありました。その頃に野田さんがラフォーレの広告をよくやってたんですが、ラフォーレ原宿の広告ってデザイナーの登竜門みたいなところがあって、みんな喉から手が出るほどやりたいと思うものでした。そんな中、野田さんの下にいた僕はラフォーレグランバザールのプレゼンに参加させていただいたんです。日本を代表するアートディレクターと一緒に参加させてもらえただけでもかなり嬉しくて。プレゼンも横で見ることができて、すごく貴重な機会でした。そしてそのときに、デザインはとことん突き詰めないとだめなんだって分かった時期でもありました。

あれから10年以上経った今、ラフォーレ原宿に携われるようになったことは自分の中でもとてもキーになりました。新しい切り口としての居酒屋OMAもでき、一区切りになって再度デザインに目を向けるっていうタイミングでした。もう1回ギアを入れて、歯車が合い始める感覚があった時期でしたね。

ー となると、10/28からのキャンペーンですが、9〜10月辺りにお話をもらったということでしょうか。

石黒 : そうなんです。だから本当に一瞬で、入念に取り組むというよりスピード勝負でした。昨年はOUWNのメンバーも入れ替わりがあって新しいスタッフが入ったこともあり、いつものようにクライアントワークと向き合っていても、自主的な作品作りや新たな技法を生み出すような挑戦はなかなかできていなかったんです。でもちょうどその頃にお話を受けて、新しい技法を見出さないといけないっていうタイミングをもらいました。いただいたお題も抽象的で、「韓国や中国、アジアをポップに表現してください」というようなカジュアルな内容でした。だからこそデザインで遊べるなと思って、新たに入ったOUWNのスタッフと色々チャレンジしていきました。

新たな手法は日々のトライから

石黒 : 試行錯誤の末、文字を太らせながらカットしていって、文字だけど文字じゃない図形、文字がモチーフになりえる手法を見つけました。

色はアジアを意識して、多色使いでゴチャっとしたカオスな感じをイメージしています。アジアの街並みは英語もあれば中国語や韓国語もあって、たくさんの言語が混ざってる。看板がたくさんあって文字が溢れてる雰囲気がなんとなく想像つきますよね。文字っていう意味がなくなっていくようなデザイン、カラフルさを設計していった感じです。

背景色はベタにすると全部がフラットになってくるから、意外と文字が目立たなくて。モチーフを多色使いにしてるのもあって、割とシンプルな色じゃないと文字が見えなくなるんです。ベタにするなら蛍光の黄色とかもいいかなと思ったんですが、店舗では印刷上表現できなかったりもする。そこでファッション感を強めたり、カルチャー色を残すってなると、淡い単色じゃないのかなって思いました。様々なカラーリングを検証していく中でピンクの淡いグラデーションになりました。

あとは漫画チックな目のデザインを入れているのですが、全部を文字だけにしたらグラフィックとして目を引かせるポイントが少し足りないというか、巻物みたいになっちゃう感じがあって。カルチャーっぽさをちょっと足したいなと思い、アジアのカルチャーって言ったら漫画かなと。漢字や文字の印象と、漫画チックなイラスト。チグハグな印象、掛け合わせが今のカルチャーを体現できている気がして、同時にラフォーレっぽいイメージになったと思います。OUWNの中でも今までにないデザインですね。

ー 新しいスタッフの方が入ったり一緒に取り組むことは、必然的に新しいものが生まれそうです。

石黒 : 普段クライアントワーク以外の作品作りのときにも、パーツになる部分をいくつか検証してもらったり、普段からみんなで新しい手法を試しています。なので今回のデザインも、今までに試してきた手法の中で合いそうなものを選んでブラッシュアップしていった感じですね。色々話す中で生まれることもあるから、自分だけでは生み出せないものもある。
OUWNって僕のデザイン力や僕のイロだけではなくて、いろんなアイデアや意見を混在させて作っていくっていう柔軟性を取り入れてたりするから、今回は代表的な例なのかもしれないです。

ー 文字のデザインが可愛いので、キーホルダーとかグッズにも合いそうです。

石黒 : キーホルダー、いいね!今後もこの手法は色々使っていきたいと思ってます。システムを作って、名前打ってポチってやったら自動でこのデザインになるとか、そういうのも面白いかも。
今はOUWNから離れ別々にやってるからこそ、元OUWNの頼れるパパ的存在・藤田に頼んでみようかな(笑)。藤田とは忘年会をしようと話していたのですが、どちらも忙しくなっちゃってリスケが続いているので、これを機会に一緒にやりたいですね。
もちろんスタッフともいろんな手法を模索しつつ、新しい表現やデザインを生み出していきたいです。楽しみにしててください。

CL : MORI BUILDING CO., LTD.
DR : MAYU SUZUKI ,KUMIKO MOROHASHI
AD+D : ATSUSHI ISHIGURO(OUWN) / @ai_ouwn
D : NINA ANABUKI(OUWN)

Creative Studio OUWN

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聞き手・執筆
NARUMI HOSHI / @narumihoshi_castlru

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