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敗金主義者の憂鬱

敗金主義者も人の子、できることには限りがある。敗金主義者はよき夫、良きATMにはなれないのだ。なぜなら、マネーが身につかないからである。なぜマネーが身につかないかはこれまで散々言ってきた。そう、政治経済のせいだ。
この高度貨幣経済においては、夫婦関係もその影響を受けてしまう、というのが今回のテーマである。

 夫婦は仲が良いのが好ましいことだが、それには力関係のバランスが保たれていなくてはならない、というのが敗金主義者の見立てで、凹凸の調和が保たれてこそ関係性が継続していくと思うのである。その継続され重なり合う時間に「愛」をみるのが「愛=時間」論https://note.com/oumiryu/n/n3f27b6dd1985

なのだが、その関係を保つのは簡単にはいかない。結婚するまでの「恋」の期間はほんの束の間の瞬きに過ぎず、重なり合う時間に生活が乗っかりいつしか辟易すらしてしまう。子供が生まれたら尚更で、子供の生活に追われて夫婦が直接向き合えなかったり、自分達の食い扶持以上に稼ぎをえなくてはならないから無理もしてしまう。そもそも妊娠期間の女性は当然働くのに限度があるし、出産後はなおさらだ。誰かが母子の食い扶持を得なくてはならない、それがパートナーというものだろう。狩猟だろうが農耕だろうが、この時期の夫婦における関係性は昔も今も変わらない。中には出産してそれこそすぐに子供を預け働きに出る人もいるだろうし、現在はその傾向も強いと思うが、休めるなら休みたいというのが本音だと思う。無理は体に良くないし、将来に響くから自分にとっても子供にとっても良いことはないように思う。どうしようもない場合はあるだろうけど。

 とにかく、ここで重要なのは誰かが稼がないと、この高度貨幣経済では夫婦の調和が保たれない、ということなのだ。極端に言えば、マネーがなくては生きていけないし、子供も育てられない、だから、夫婦関係を維持できない、ということである。バランスが悪くなるのだ。
 だから、当然個人の資質もそうだが、社会全体の景気が良い方がいいに決まっている。砂糖が多い方がhttps://note.com/oumiryu/n/n22b71620553eより砂糖を多くもらえる率が高くなるからだ。
 これを前提としよう。
 さて、今の日本は超長期のデフレ下で景気はおおむね悪く、良いのは社会の上層部だけで二極化も進んでいる。所得も30年ほとんど変わらない。それでいて、30年前は空前の好景気であった時代であり、それを経験している人も存命だ。
 この日本において、夫婦間でバランスを保つのはしんどいと感じる人の割合が多くなるのは当然だと思うのだ。まず、今20歳から50歳の人は成人してから不況状態が続いている。だから、これが自分の価値観の前提になっている。しかし、それより上の年齢の人は好景気を成人してから体験していることになる。ここで世代感の大枠のギャップが生まれているのだが、問題なのは、それが親と子の間にも影響しているということなのだ。子供の頃は親が景気の良い暮らしをしているからそれをベースに考える。自我の変化を好まない傾向がある人はなおさらそうだろう。そうなると、自分が成人してから結婚を考えるとそれをベースに考えてしまう。それを基準にして相手を選ぼうとすると、当然不景気に突入した後に社会に出た人間では満たすことはできないのだから、相手がいないか、自分のベースを下げざるを得なくなる。それか、自分自身の相手がベースを満たす年齢になる、要するに自分の年齢が上がるのを待つ、という選択肢になる。
 こうなると、夫婦は満たされない同士の関係性でスタートすることになる。

 これは力関係を保つのが難しくて当然ではないだろうか?デフレ下では当然給料など上がらない。不景気なのだから首を切られる可能性すらある。それでいて、自分のベースは下げられないとするならば、相手を責めることにもなるだろう。満たされない想いをぶつけるのはパートナーしかいないからだ。マネーがあればすぐ解決するような感情もなければ鬱積して不良債権になるだけだ。
 もちろん、そうでない夫婦もたくさんいるだろうが、マクロな視点で考えてそうなる傾向があるのでは、という話である。
 少子化が問題になって随分経つが、上記のことを前提に考えればそれほど難しくはない。婚姻年齢は上がるだろうし、ベースを下げられなければ相手を受け入れることはできないのだから、デフレが進めば進むほどベースから漏れる人が多くなるのも相まって、夫婦というカップリングが成り立たなくなるというわけである。それに不況が続くとなれば子供も産みにくい。カップリングも成立しずらく将来に不安があれば子供は少なくなって当然だと思うが如何だろうか?
 

さて、敗金主義者にはマネーは近づかない。よって、我が家も不満が溜まっているようである。そんな中年男の危機を込めた絵本を描いてみた。
https://note.com/oumiryu/n/n78521e03d517

節分の時期に鬼の話である。どこが中年の危機なのかよくわからないと思うけど、この絵本には書かれていない側面として「家族の問題」がある。そう、中年の男は自己に潜む葛藤、内在されている問題と「家族」という問題を抱えているのだ。この絵本には家族の問題は無視されている。なぜなら絵本だからだ。あえて描いていないし、それどころか家族が救いになっている。なぜなら絵本だから。
 だが、中年男にとって家族が救いなのはまた真実である。問題であり救いでもある、それが家族であっていいのではないだろうか?
 ただ、そこに夫婦も問題も絡んでくるとまたややこしい。そして、自己に潜む葛藤が外在しだすとそれはまた大問題である。
 敗金主義者でなくても全く困った問題だ。もう少し年齢を重ねると、いや今すぐにでもだが、そこに健康問題もでてくるかもしれない。
 四苦八苦である。
せめて、人の手でなんとかなる政治経済はいい方向に動いて欲しいものである。この高度貨幣経済において必要なのはマネーである。必要なだけでいいからマネーを出して欲しいと切に願う敗金主義者であった。

 今回はここまで。

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