マガジンのカバー画像

深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

208
散文詩/自由詩まとめ。
運営しているクリエイター

2023年3月の記事一覧

明るい葬式

明るい葬式

 やけに柔らかい陽射しに気づくと、酒を飲んで暴れるばかりだった父親が死んだあの春のことを思い出して気分が悪い。
 おれはまだその一度だけしか葬式に出たことがなくて、だから多分、真っ当な葬式ってやつの、哀しみが日を遮ってできる暗さも、思い出がろうそくのようにぽつぽつと灯る明るさも分かっていない。

 思い出すのは死んだという事実や面倒だった遺品整理のことで、もうすぐ3年になるというのに身体に馴染んで

もっとみる

うちゅういちぶきよう

 
だれのこともなぐらずに今日を終えたことをほめてほしい、どうしてもなぐりたい人がいたわけでもなかった今の今まで、だれのこともなぐらずにいたことをほめてほしい。
まだじょうずにはさみを使えない茉莉とする手のひらだけのじゃんけんのはなし、ロックもシザーもともだちになれない異星の学校、ぼくたちはじゃんけんのどれでもない異星人、茉莉のとばした紙飛行機が、へろへろと星を出てすぐに燃えつきる。
 
 

もっとみる