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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2020年3月の記事一覧

ワニの棲む池とコンテンポラリー・ダンサー

 
四角い窓を這うようにおちていく雨粒を見て、髪を切らなくちゃと思った、ていねいに分別できなかったゴミとか、点滅する歩行者用の青信号とか、そういうちいさなものに心臓のだいじなところをとられそうになってしまうの馬鹿みたいだけど、道にころがるファストフードのゴミに呪われてしまうより、横断歩道の外のワニに食べられてしまうより、恐ろしいことなんてないと思うの。
わたし、たとえばもし君がたばこの吸い殻を道に

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結婚式は博物館で

 

こころなんてにんげんがけものだってこと、証明するためだけの、思い知らせるための器官でしかない、
凡庸なことを嘲笑わないでくれと泣きついてくるおとこが神様だって知ったとき、わたしたちには、自分をころすかそいつをころすか、それとも愛し合うかしか選択肢がなくって、それなら刺し違えたほうがまし、って、言いたがった喉を心臓は嫌っている。

 
どこまでも続く二重らせんのすきまをぬって化け物は生

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ぼくらのまちのみずのいろ

 

丸くなったおなかの中で
ちゃぷちゃぷと色水はゆれる
ちいさな水上都市が
ふたをするようにざわめくから
その水の色をおもう
ひとびとの感情を拾って
満ちるたびに変わるだろう
その水の色をおもう
きみと向き合っておなかをあけて
みせあいっこしたかった
そうしてぼくの淡さを
知っていてほしかった
ミネラルウォーターのあぶくより
ずっとずっと濁っていて
ずっとずっと光っている
ぼくのおなかの中の

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あの子のかぶるミルククラウン

 
まっしろい飲み物を飲んでいるとからだとかこころとか、そういうの、なんとなくしろくなったような気がするから、牛乳を飲むことにした、四角い箱のなかでわたしもちゃぷちゃぷ揺蕩っていたい、いらなくなったらびりびりに破いてしまえたり、平たくぎゅうっと潰してしまえるような、そういう、箱のなかで。
 
 
からだをくずしていくシリアルを抱きしめてふたりで死を待つようなそんな退廃と愛以外では濁ってしまいたくな

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