見出し画像

見事な脳のネットワーク!

脳好きな私と一緒に脳科学を楽しんでいただけたら、生きるのが、育てるのが、人と関わることが楽しくなる!と思いましたので、書きたいと思います。
さて、突然ですが、脳の重さはどれくらいか知っていますか?
いろんな本で書かれていますが、大体平均してこのくらい。

生まれたての赤ちゃんの脳は約350g
1歳半で約1000g
4歳で約1200g
成人で約1400g

要は、ものすごい勢いで重くなっているのがわかると思います。

脳はグレーがかった白っぽい色をしていますが、脳の中には神経細胞がびっしり詰まっています。
ところが、細胞の数は生まれた時から減ることはあってもほとんど増えないんですって。(少しは増えるみたいですけど)

脳は巨大な情報処理ネットワークを持つ!

ネットワーク

では、脳が大きくなるのはなぜ?
正体はネットワーク!

ネットワークが「密になる=大きくなる」としたら、どれほどの巨大ネットワークなんだろう!と驚きますよね。
巨大ネットワークを持つ脳の機能って一体どうなっているのでしょう。
神秘すぎてワクワクします⭐︎

脳の細胞には大きく分けて、ニューロンと呼ばれる神経細胞と、グリア細胞があります。
神経細胞の数は、大脳と小脳合わせて1000億個以上あって、それぞれが密につながっている巨大ネットワークを形成しているんです。

神経細胞からは、木の枝のような突起が伸びていて(軸索といいます)、他の神経細胞と繋がっているんです。
軸索の長さは、数ミリから、長いものだと1m以上にもなるんですって。
しかも、1つの神経細胞に数万個の神経細胞とつながっているなんて想像できます?
そして、神経細胞同士は、電気信号で情報をやりとりしているんです。

何度もくり返し電気信号が流れる軸索(じくさく)には、髄鞘(ずいしょう)という鞘(さや)が作られて、高速で情報をやりとりできるようにしていくんです。

だから学習には反復がとっても大事なんですよね!

神経伝達物質が気分を操作⁈

スクリーンショット 2020-12-05 14.48.01

細胞同士のつなぎ目には、数万分の1mmというものすごーく狭い隙間が開いているんです。

隙間なので、そこには電気信号は伝わりません。
代わりに、神経伝達物質がドバッと放出されるようになっているんです。

放出された神経伝達物質をキャッチすると、再び電気信号が発生して、次々と情報がネットワークの中を伝えられていくのです。

神経伝達物質にはいろんな種類があって、わかっているだけでも100種類以上はあるといわれていて、精神活動にもそれぞれにいろーんな作用をもたらします。

有名どころでいえばこんな感じかな。

ドーパミン:快感をもたらす
ノルアドレナリン:覚醒、集中、注意、不安、学習に関与
アセチルコリン:記憶、知能、睡眠、覚醒に関与
セロトニン:興奮を抑える
βエンドルフィン:鎮痛効果、気分の高揚
オキシトシン:愛情、信頼に関与
グルタミン酸:記憶、学習に関与
GABA:不安を静める、睡眠を促す

興奮⇄抑制のバランスが大事!

うつ

そもそも神経伝達物質には、興奮するものと抑制するものがあります。
興奮するものの代表格はグルタミン酸。
記憶を司る海馬と深い関係を持つそうです。
(余談ですが、昔化学調味料の味の素が誕生した時、毎日食べると頭が良くなるっていわれブームになったことがあるんですよ。理由はまさにグルタミン酸ソーダが原料だったから→一応お伝えしておくと、グルタミン酸は脳の関所である脳関門を通過できないので、残念ながら味の素を食べたから頭が良くなるということはありません)

抑制に働く代表格はGABA。
不安を抑え込んで睡眠を促す作用を持ちます。
(チョコレートで見たことあるGABAですが、こちらも同じ理由でGABAチョコをたくさん食べても脳関門は通過しません。ちなみにGABAは興奮作用の代表格グルタミン酸から作られているんですよ♪普段は十分にあるから上手にバランスをとっているのですが、ストレス過重になると使いすぎて減っちゃうみたいです)

この「興奮する⇄抑制する」のバランスをうまくとることで、脳の健康を保っているんです。

うつ病など精神症状が強くみられるときに出される精神薬には、この神経伝達物質の影響を増減させるように働くものがいくつもあるんです。

起きている時は、どうしても脳を使うことになりますよね。
脳を使うということは、電気信号を頻繁に行き来させているということ。
脳を酷使すると、ネットワークが傷ついちゃうわけです。

脳の補修・修復が追いつかないと大変!

画像4

そこで、グリア細胞の出番!
傷ついた組織の周辺に集まって、血管壁から吸収した栄養分を、神経細胞に供給したり、余分なものを細胞の外に追い出したりして、保護する役割を果たすのです。

実は、寝ている間も、一生懸命に補修・修復を頑張っているんです。
寝ている間は刺激が遮断されるので、仕事が進むというわけです。
脳はちっとも休んでいないんですね。
(偉い!よくがんばてくれている!)

睡眠が十分に取れないと、補修・修復が追いつかないので、脳へのダメージは大きくなります。
だから脳をたくさん使った時は、必ず寝るようにしてくださいね。
(学生さんを教えていた時は、試験前の徹夜は禁止!とよくいってましたから♡)

鶯千恭子(おうち きょうこ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?