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月島
2024年7月21日 16:56
「聖夜っ……聖夜!!」 自分の名前を呼ぶ声が聞こえて、聖夜が目を開けると、そこは中学校の屋上だった。柊が泣きながら聖夜の顔を覗き込んでおり、彼女の涙で、聖夜の頬が濡れている。「……柊」「聖夜……!よかった……」 聖夜が起き上がると、他の仲間達も聖夜を囲んで安心した表情を浮かべていた。「聖夜君……無事でよかった」「もう……心配したのよ?」「俺も焦ったぜ!」「こ、これで
2024年7月20日 17:14
『町には無数の狼がいるわ。その根源……アビリティ発動者を叩くのが先決よ!』『天ヶ原中学校上空にアビリティ反応確認!あの黒い城が本拠地だと思われます!』「了解!」 聖夜達は琴森と真崎の声に頷き、天ヶ原中学校を目指す。しかし、狼達がそれを阻むように聖夜達へ襲いかかる。「『かまいたち』!」 翔太が放つ風の刃が、狼達を切り裂いた。切り裂かれた狼達は砂のようにサラサラと消滅していく。
2024年7月19日 20:03
2人はタイムマシンに乗って、現代の特部中央支部へ向かっていた。聖夜がタイムマシンの操縦桿を握り、柊がすぐ傍に立っている。「みんな、大丈夫かな……」「……信じるしかないね」 その時。唐突に通信機から琴森の声が聞こえてきた。『聖夜君、柊さん!』「琴森さん!?」『良かった。やっと繋がった!……総隊長、2人と連絡が取れました!』 琴森がそう言うと、声が千秋に切り替わる。『
2024年7月18日 20:54
「はっ……!」 聖夜が目を覚ますと、タイムマシンの中に居た。自分の右手が握られているのに気が付き確認すると、柊が泣きそうな顔で聖夜を見つめていた。「柊……」「聖夜……生きてる?」「……うん」「良かった……ほんとに、良かった……」 柊はそう言って、起き上がる聖夜に抱きついた。「柊……心配かけて、ごめんな」「ううん……。あ、聖夜!その右目の色、旭と同じ……!」「目の
2024年7月17日 17:42
聖夜達の乗ったタイムマシンは、時空の狭間を走行していた。「……これから、どうすればいいんだろう」 聖夜はそう呟いて窓の外を見た。七色の光に包まれた空間を、タイムマシンはひたすら進んでいく。「柊。俺達、どこに向かってるんだ?」「……多分、過去に向かってる」「過去か……」「……みんなが心配だし、早く元の時代に戻った方がいいかな?」「うん……そうだな」 聖夜がそう言うと
2024年7月16日 17:43
* * * 聖夜達が中央支部に戻ると、琴森が待ち構えていた。「琴森さん!今朝の任務って……朝丘病院の任務ですよね?」 聖夜が尋ねると、琴森は真剣な顔で頷いた。「そうよ。さっき総隊長が、アビリティ課の準備が出来次第、すぐに任務を開始すると指示を出していたわ」「そうなんですね……。他のみんなは?」「もう談話室で待機してるわ。あなた達もみんなと一緒に待機して」「分かりました。
2024年7月15日 13:30
南日本支部での戦闘から離脱したウォンリィは、ノエルと共に廃病院の廊下を歩いていた。彼は、前を歩くノエルの背中を3歩後ろからついていく。 ノエルの質のいい金髪が、窓から差し込む夕日の光でキラキラと輝いた。その光景が、ウォンリィが彼に着いていこうと決めた日と重なる。(……綺麗だ。傍に寄ることが躊躇われるぐらいに。貴方は、いつだってそうだ) ウォンリィは切なげに目を伏せながら、彼と出会った
2024年7月12日 20:04
一方、聖夜と柊は南日本支部に到着していた。高台に建てられた建物のため見晴らしが良いはずだが、霧に包まれて周囲が見渡せない。「……すごい霧」「ああ……」 柊に相槌を打ちつつも、聖夜の頭の中は別のことでいっぱいだった。(ノエル……俺達の敵なのか?それに高次元生物は元人間……俺、ちゃんと戦えるのかな?)「聖夜?」「あ……なんでもない」「ならいいけど……任務なんだから、集中し
2024年7月11日 18:08
イグニは、北日本支部から廃病院へ、キューブのワープ機能を使い戻ってきた。 深也に締め上げられた腕が、今になってズキズキと痛む。(あいつ、意外と馬鹿力だったな) 深也達との戦いを思い出しながら、イグニは小さく微笑む。(久々に楽しかった。戦争を知らない甘ちゃんだと見くびっていたが、特部の連中、なかやかやりやがる) イグニが微笑っていると、廊下の向こうからエリスとアリーシャが歩いて
2024年7月10日 17:20
花琳と白雪が西日本支部に到着していた頃、翔太、深也、海奈の3人も北日本支部前に到着していた。「あれは……!」 3人は目を疑った。北日本支部が、青い炎に包まれて燃え盛っていたのだ。職員と思しき人々が建物を遠巻きに見ている。その中にマントを身につけた隊員の姿は無かった。「あ!あなた達中央支部の!」 人だかりの中から、ショートヘアの小柄な女性が駆け寄ってきた。「北日本支部の方ですか
2024年7月9日 22:29
「……アリーシャ、大丈夫?」 エリスは心配そうにアリーシャを見上げて尋ねた。「顔、すごく怖いよ……?」「あ……ごめんなさい」 アリーシャは慌てて笑顔を作り、エリスの頭を撫でた。「昔のことを思い出していたの」「昔のこと……?」「ええ。戦争に巻き込まれて、家族を亡くして……ノエルとウォンリィに手を差し伸べられた時のこと。あの日……本当に、沢山のものを失ったわ」 アリーシ
2024年7月7日 18:38
西日本支部で敗北を喫したエリスは、拠点である廃病院に戻ると、アリーシャと使っている病室に駆け戻った。 エリスはドアを開け、ベッドの上に座って空を見ているアリーシャに抱きついた。「アリーシャ!!」「エリス……!?どうしたの?特部を倒しに行ってたんじゃ……」「ダメだった……ダメだったぁ!!」 エリスはアリーシャにくっつきながら、ボロボロと涙を流す。「ねぇ、なんでエリス、お姉さ
2024年7月6日 17:01
* * * 白雪と花琳が西日本支部前に着くと、そこには膝の高さ程ある蜘蛛が大量発生していた。 蜘蛛達は、頭部にある5つの目で2人を睨み付けると一斉に糸を吐いてきた。「そうはいかないわ!」 花琳が腕を振ると、無数の葉が飛んでいき糸を切り刻んだ。自分達の攻撃が防がれ、蜘蛛達が僅かに怯む。「白雪君、今!」 花琳の言葉に白雪は頷くと、右手を高く掲げ指を鳴らした。「『氷結』!」
2024年7月5日 16:03
聖夜はマットレスを柊の部屋に運び込むと、床に敷いた。「これでよしっと」「すみません……手間をかけさせて……」「あ、いいよいいよ!俺が手伝いたかっただけだから」 聖夜はそう言って、申し訳なさそうな旭に笑いかけた。「ゆっくり休んで、その怪我も早く治るといいな」「は、はい……」 裏表のない笑顔を向けられ、旭は顔を赤くした。その様子を見た柊が大きく咳払いをする。「もう遅い