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さぶすクラシック日誌。2022年版...

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#フランス

12月2日、グランド・オペラを予感せさせる、魅力、盛りだくさん!ケルビーニの『レザバンセラージュ』。

ハンガリーが誇るピリオド集団、ジェルジュ・ヴァシェジ率いるオルフェオ管の演奏、フランスの新世代、アナイ・コンスタンス(ソプラノ)、パーセル合唱団らの歌で、ケルビーニのオペラ『レザバンセラージュ』。 Bru Zane/BZ1050 フランス革命の前年、1788年、音楽の都、パリへと乗り込んで来たイタリア人、ケルビーニ(1760-1842)。革命の混乱で、巨匠たちがパリから離れると、その穴を埋めるように頭角を現し、時代の気分を汲み取った救出オペラ(横暴な国家権力から愛する人を救

11月17日、リュリ、死の前年のオペラ『アシスとガラテー』の集大成感と"もののあはれ"?に魅了される。

クリストフ・ルセ率いる、レ・タラン・リリクの演奏、ナミュール室内合唱団、アンブロワジーヌ・ブレ(メッゾ・ソプラノ)、シリル・オヴィティ(テノール)らの歌で、リュリのオペラ『アシスとガラテー』。 1685年、太陽王のお小姓に手を付けるというスキャンダルを起こし(ま、それは切っ掛けに過ぎず、積もりに積もったものが爆発したのだろうけど... )、フランス楽壇を我が物としてきた、おべっかクソ野郎、リュリ(1632-87)の命運もとうとう尽きる。リュリのオペラはヴェルサイユで上演され

11月1日、崩れゆく時代を"夜"に重ねて... 世紀末から第一次大戦までのウィーンとフランスの歌曲の魅惑!

ベルギーのメッゾ・ソプラノ、コリーヌ・デュティユルが、クナル・ラヒリーのピアノで歌う、シェーンベルクにドビュッシー... 19世紀末から第一次大戦前までのウィーンとフランスの歌曲、"Licht in der Nacht"。 シェーンベルクの4つの歌曲(1899)、ドビュッシーのビリティスの3つの歌(1897-98)、ラヴェルのクレマン・マロの2つの風刺詩(1896-99)、アルマ・マーラーの5つの歌曲(1910)、そして、ブーランジェ姉妹の歌曲... 妹、リリの「反映」(1

10月26日、まさに、グランドなオペラ、『悪魔のロベール』。長大にして、盛りだくさん、19世紀的なるもののが詰まった、テーマパーク!

マルク・ミンコフスキの指揮、ボルドー国立オペラ、ジョン・オズボーン(テノール)のタイトル・ロールで、グランド・オペラの時代の幕を開ける、マイアベーアのオペラ『悪魔のロベール』。 フランス革命?何でしたっけ?と帰ってきた貴族たちによる復古王政が七月革命(1830)により終わり、新たに始まったブルジョワたちによる七月王政(1830-48)... 何と言いますか、成金趣味っぽい似非貴族主義?そんな時代を象徴するのが、グランド・オペラだったか... イタリアのベルカント・オペラがヨ

10月25日、プリマ、ポーリーヌ・ヴィアルドが歌ったアリアの数々... 華やかな19世紀の記憶を呼び覚ます...

フランスのメッゾ・ソプラノ、マリーナ・ヴィオッティが、クリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリクの伴奏で、19世紀を彩ったプリマ、ポーリーヌ・ヴィアルドが歌った魅惑的なアリアの数々を取り上げる、"A TRIBUTE TO PAULINE VIARDOT"。 ポーリーヌ・ガルシア・ヴィアルド(1821-1910)。 父はロッシーニの信頼も厚いスペイン出身のテノール、マヌエル・ガルシア(『セヴィーリャの理髪師』の初演でアルマヴィーヴァ伯爵を歌っている!)で、姉は伝説のプリマ、マリ

10月21日、ロココの時代のトラジェディ・リリクに感慨... ラモーの『ゾロアストル』初演版...

アレクシス・コセンコ率いる、レザンバサドゥール-レ・グランデキュリーの演奏、ナミュール室内合唱団、レイナウト・ファン・メヘレン(オートコントル)のタイトル・ロールで、ラモーのオペラ『ゾロアストル』。 1734年、50歳、『イポリートとアリシ』(新たなトラジェディ・リリクとして賛否を呼んだ!)でのオペラ・デビュー以来、オペラ作家として、パリの音楽シーンを沸かせてきたラモー(1683-1764)が、1749年、パリ、オペラ座で初演したトラジェディ・リリク『ゾロアストル』...

10月20日、バロックからロココへ... うつろう中にこそ魅惑を生む、フランクール兄弟の音楽に聴き入る...

仏ピリオド界を担う次世代、テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(ヴァイオリン)と、ジュスタン・テイラー(クラヴサン)が、フランクール兄弟とその周辺を取り上げる、"LES FRÈRES FRANCŒUR"。 ヴェルサイユの宮廷音楽の一端を担ったアンサンブル、"王の24のヴァイオリン"の一員の父、ジョゼフ(1662-1741)の下に生まれた、ルイ(1692-1745)とフランソワ(1698-1787)のフランクール兄弟に、ルイの子でフランソワによって育てられたルイ・ジョゼフ(1

9月2日、セブン・スターズ・シンフォニー!往年の名画の世界へと誘われる...

フランスのマエストラ、アリアーネ・マティアクの指揮、バーゼル交響楽団の演奏で、映画ファンだったケクランが7人の映画スターをフィーチャした異色の交響曲、セブン・スターズ・シンフォニー。 ドビュッシー(1862-1918)、ラヴェル(1875-1937)の影に隠れ、あんまり目立たない、フランス、印象主義、もうひとりの重要人物、ケクラン(1867-1950)。実は、誰よりも印象主義を極めた作曲家でして... そんなケクラン、映画好きだったとのこと... で、映画好きが高じて生まれ

8月29日、ショパン、ドビュッシー、ハンガリーの現代音楽、19世紀のピアノが織り成す、ケミストリーに幻惑...

ベルギーのピアニスト、ヤン・ミヒールスが、19世紀のアンティークのピアノを弾き、ドビュッシー、ショパンの前奏曲、リゲティの練習曲、クルターグの"遊び"で織り成す、不思議な2枚組、"PRÉLUDES INTERLUDES POSTLUDES"。 1894年製、エラールのピアノで、ショパンの前奏曲集(1839)、ドビュッシーの前奏曲集、第1巻(1910)、第2巻(1913)を、1876年製、スタインウェイのピアノで、リゲティの練習曲集、第1巻(1985)から2曲、第2巻(198

7月16日、雨の日に、ブルーに響く音楽、ショパンからプーランクへ、青い詩情の魅惑...

フランスのアンサンブル、イ・ジャルディーニの中心メンバー、ポーリーヌ・ビュエ(チェロ)とダヴィド・ヴィオリ(ピアノ)の演奏で、ショパンとプーランクのチェロ・ソナタ... "BLEU"。 ショパンのチェロ・ソナタ(1846)と、プーランクのチェロ・ソナタ(1948)、という組み合わせ... 結構、攻めてる?なんて思いながら聴き出してみたのだけれど、いやいやいや、ビュエのチェロの豊潤な響きに導かれ、ブルーの世界にじゅわーっと染まってゆくようで... 魅了された! という、"B

7月15日、オペラじゃないマスネが新鮮!マスネのオーケストラ伴奏歌曲の美しさに、夢見心地...

エルヴェ・ニケの指揮、パリ室内管の演奏、シャンタル・サントン・ジェフェリー(ソプラノ)、ヴェロニク・ジャンス(ソプラノ)ら、フランス語圏の歌手たちが歌う、マスネのオーケストラ伴奏歌曲集。 ソプラノ、テノール、バリトンが歌う、歌曲、21曲に、ソプラノとバリトンによる二重唱。そこに、ピアノ曲集、『アルルカンの物語』から、コロンビーヌの夢、宗教的場面のオーケストラ版に、オペラ『テレーズ』から、愛のメヌエットの3曲を間奏曲のように挿んで... いつもとは、ひと味違う、歌曲という視点

7月14日、"シャンゼリゼのモーツァルト"、オッフェンバック、パリを脱し、月へ飛ぶ!

フランスの新世代、ピエール・デュムソーの指揮、モンペリエ国立歌劇場、ヴィオレット・ポルシ(メッゾ・ソプラノ)、シェヴァ・テオヴァル(ソプラノ)らの歌で、オッフェンバックのオペラ・フェリ『月世界旅行』。 1875年、パリで初演された、オペラ・フェリ『月世界旅行』。何と言いますか、異世界モノ?てか、ディストピア観も... 恋愛は病とされている月世界に、地球からもたらされた恋愛が、あっという間にパンデミック!で、大騒動となりながらも、地球の王子と月の王女が結ばれて、めでたし、めで

7月13日、フランス・バロックを彩ったヴィルトゥオーゾたちが描く互いの肖像の興味深さ... 織り成されるフランスの魅惑...

ポーランドのピリオド・オーケストラから派生した、 {Oh!}トリオによる、フランス・バロック、器楽の巨匠たちを巡る、興味深いソナタ集、"PORTRAITS LES CARACTERES FRANÇAIS"。 ルベル(1666-1747)のソナタで始まり、フォルクレ(1671-1745)の「ラ・ルクレール」、ドルネル(1680-1757)のソナタ「ラ・フォルクレ」、フォルクレの「ラ・クープラン」、クープラン(1668-1733)の『王宮のコンセール』、3番を挿み、ドルネルのソ

7月11日、やさしいメロディーに、やさしい歌声... 理屈抜き、癒される、18世紀、フランス、ブリュネット。

ベルギーのテノール、レイナウト・ファン・メヘレンが、率いるピリオド・アンサンブル、ア・ノクテ・テンポリスの伴奏で、18世紀、フランスの流行歌、ブリュネットを歌う、"OH, MA BELLE BRUNETTE"。 「ブリュネット」というと、髪色のイメージなのだけれど... いや、まさに!その髪色の恋人に歌い掛けるから"ブリュネット"と呼ばれる歌のジャンルが、18世紀、フランスにはありました!アルカディアに住まう羊飼いたちの、他愛ない恋の風景を歌う俗謡... 牧歌的で、誰もが口